鋸山ロープウェーと日本寺

地獄のぞき


 最近の外国人観光客は、2回目、3回目の来日という人が多い。だから東京に来ると、浅草寺、お台場、東京スカイツリーなどの定番の観光地は飽きてしまって、横浜、日光、鎌倉などへと足を伸ばすそうだ。しかしそれもマンネリ化して、飛騨高山、合掌造集落、千葉の鋸山と日本寺に行って感激しているという話を聞いた。高山と合掌造は知っているが、鋸山とは何だろうと思ったのがきっかけである。

 調べてみると、東京から木更津経由で延々とJRの電車に乗って3時間弱で浜金谷というところに行き、そこから鋸山ロープウェイに乗ればよいということである。バスを利用したり特急を使うと2時間半くらいにはなるらしい。それなら許容範囲だと思って、行ってみることにした。


鋸山ロープウェイ


 浜金谷駅に着いた。ロープウェイ山麓駅まで10分弱ほど歩く。行ってみると、小さな駅だ。スイス製のゴンドラで、40人乗りというが、とてもそんなに乗れるとは思えない代物である。ともかく山頂駅に着き、そこからは展望台まで階段を少し登る。

展望台からの眺め


展望台からの眺め


展望台からの眺め


 さて、展望台に到着した。目の前は浜金谷港、対岸の久里浜港まで東京湾フェリーが出ている。天気が良ければ富士山も見えるというが、残念ながらこの日は視界には入らなかった。東京湾を行き交う大型船舶がよく見える。左右は、青々とした緑だ。とっても気持ちがよい。その脇に看板があったが、それをじっくり見ないままに方向の矢印だけを見て歩き始めた。

地獄のぞき


 まずは、「地獄のぞき」を目指す。崖の上にせり出しているところがあり、それをそのように言うらしい。そこまでたどり着くには、結構な岩場を歩いて20分もかかった。まず、その対岸にある休憩所に行くと、「地獄覗き」は指呼の間だ。もちろんその間は断崖絶壁である。よくこんな所に突き出た岩があると思うくらいである。では次に、ぐるりと回ってその「地獄のぞき」そのものに向かう。かなり足場が悪いが、すぐ近くまで来て岩の上に立った。我ながら物好きだと思う。

途中の階段


折れ曲がってまた真っ直ぐ伸びている杉の木


 次は「百尺観音」(20分)にするか、磨崖仏(40分)にするか迷った末、まずは遠い方からと思って磨崖仏方面に向かった。 いやそれが遠いこと、遠いこと。斜面を上がったり下がったり、また下がったりと、だんだんロープウェイ山頂駅から離れるのが気になる。まだかまだかと思っているうちに、やっと着いた。途中、折れ曲がってまた真っ直ぐ伸びている杉の木を見つけた、その生命力に感心して、大したものだと思う。

薬師瑠璃光佛


薬師瑠璃光佛


 通称磨崖仏、御本尊の薬師瑠璃光佛は、岩に彫られた仏様である。長い間、荒れるにまかせていたが、同寺のHPによると「江戸末期になって、自然の風触による著しい崩壊があり、頭部の半分が崩れ落ち、膝の部分も埋没した状態になってしまいました。昭和に入り彫刻家八柳恭次氏の指導のもとに昭和44年、4ヶ年の歳月を費やし大仏の復元が完成いたしました。」ということだそうだ。


紫陽花


 さて、それから「百尺観音」に行くということになるのだが、またあの登り階段の山道を戻ってさらに20分というのはさすがにこたえるので、この日はもう帰ることにした。それでも別の道を通って登り、20分くらいで山頂駅にやっとたどり着いた。これはもう登山である。途中の紫陽花は美しかったが、ともあれ生半可な気持ちで来る所ではない。






 鋸山ロープウェーと日本寺( 写 真 )




(2019年6月16日記)


カテゴリ:エッセイ | 23:01 | - | - | - |
徒然302.東京五輪のチケット落選

全て落選


 東京オリンピック2020のチケット21枚、10セッションを申し込んだが、何とまあ全て落選し、全滅してしまった。

 5月24日に申し込んだのだが、その時はどの競技をいつ申し込むかとかなり綿密に検討した。その結果、確率を上げるために平日の予選を中心とし、また暑いのでなるべく室内競技とすることにした。もちろん、室外であってもどうしても見たい競技や行事、例えば、開会式、閉会式、サッカー、テニスは、例外的に申し込むことにした。それから、日時が重複してはいけないので、その点も抜かりなく考えて、上記の競技に加え、新体操、体操競技、水泳(アーティスティックスイミング)、バスケットボール、トランポリンを申し込んだ。合計10セッションの21席である。申し込んだときは、「これが全部当選すると何十万円か支払わなければならなくて困るが、まずそういうことはないだろう。しかし、本当に当たったら困るから、申し込むなら10競技で十分だ。」と思っていた。


2.jpg


 ところが、その見通しは甘かった。抽選結果が発表される本日の早朝、待ちきれずに東京2020組織委員会のサイトを覗いてみた。私の前に百数十万人もいる。それでも辛抱強く2時間近く待ってやっと私のマイページを確認したら、なんとまあ・・・10競技全部が「落選」となっている。

3.jpg


 引き続き組織委員会から来たメールは、次のようなものだった。

 「東京2020オリンピック観戦チケットの抽選に申込いただきありがとうございます。厳正なる抽選を行いました結果、誠に残念ながら、申込いただいたチケットをご用意することができませんでした。

【今後の東京2020観戦チケットの販売について】
 東京2020組織委員会では、東京2020オリンピック・パラリンピック観戦チケットの販売を今後も予定しております。詳細が決まり次第、東京2020公式チケット販売サイト等でご案内いたさせていただく予定です。」


 いや、それにしても全部が落選するとは思いもしなかった。こんなことなら、100競技くらいを申し込めばよかったと反省している。

 なお、本日付けの朝日新聞夕刊にも私と同じように全滅した人が載っていた。この人は都内のIT会社経営サイトの経営者で、60枚申し込んだのだが、その全ての「落選」を確認した。独自の試算で、当選確率は1ないし2%と見込んでいたという。

 これから、今年の秋には先着順の販売があり、来年春にもチケット発売所が都内にできるし、リセールのサイトもあるそうだから、これらのチャンスに掛けてみたい。




 申し込んでいた競技(全て落選)

申し込んでいた競技(全て落選)






(2019年6月20日記)


カテゴリ:徒然の記 | 21:09 | - | - | - |
ソニーのα7IIIを買う

α7III


1.α7IIIを選ぶ


α7III


 最近のカメラの世界は、まさに劇的な変化を遂げている。半世紀以上も続いたフィルムカメラから、今世紀に入ってデジタルカメラの時代になり、更に一眼レフからミラーレス一眼へ移行するようになったかと思うと、撮像素子が大きくなってAPSーC(23.4mm×16.7mm)から35mmフルサイズの時代へと、急速に目まぐるしく進歩している。実は私も、この流れに沿ってカメラを買い替えてきた。最近では初めて発売されたミラーレスのデジタル一眼であるオリンパス・ペンE−P1とそれに続くE−P3、そして一眼レフではあるがデジタルで本格的APSーCのEOS 70Dである。それぞれに味があって、写真を撮るのを充分に楽しませてもらった。

E−P1


E−P3



 昨年秋から今年春にかけて、キヤノン、ニコン、ソニーの主要3社から、35mmフルサイズのデジタル一眼カメラが出揃った。キヤノンはEOS R(又はRP)、ソニーはα7III(又はα7RIII)、ニコンはZ6で、本年5月初旬のお値段は、それぞれEOS(19万円、14万円)、α7(21万円、30万円)、Z6(21万円)だった。

EOS 70D


 私の持っているデジタル一眼レフカメラ(EOS 70D)は、そろそろ4年目になろうとする。仕事が一段落する今年の秋から重点的に海外に出掛けて景勝地の写真を撮るつもりだが、このカメラはそれには嵩張るし、やや重たく感じるようになった。また、せっかくなので、良い風景写真は、フルサイズで撮りたい。そういうことから、上記3社のカメラから選ぼうと考えた。まず、ニコンはあまり馴染みがないし、性能が変わり映えしない割には値段が高い。ということで、キヤノンかソニーかの選択になる。

 いまキヤノンのEOS 70Dを持っているから、スムースに移行するにはEOS RPが一番だ。キヤノン風のボタン操作にも慣れているし、上記機種の中では、価格が最も安い。ただ、現在3本持っているレンズのうち、フルサイズ対応は1本だけだし、気に入っているタムロンのレンズは残念ながらAPSーCであって、フルサイズではない。フルサイズの画像をクロップすれば使えなくもないが、結局はAPSーCサイズになるから意味がない。EOS RP側も、それ専用のレンズは、実質的にまだ1本しかない。キヤノンはこの分野に手を付けるのが遅かったので、レンズの品揃えでは大きく後手に回っている印象だ。

 それなら、レンズ資産もたくさんあって今後も使いそうなメーカーを選ぶべきで、それはソニーである。カメラメーカーの中で最も早くフルサイズに取り組んできたから、フルサイズのミラーレス一眼対応レンズ(Eマウント)の種類が豊富である。そうすると、α9は私にはオーバースペックだから、α7III又はα7RIIIということになる。それぞれ21万円、30万円か・・・発売が昨年3月と今年2月というだけで9万円の差となっているが、実をいうと、この2つのカメラには素人にとってさほど性能面での違いはないと思っている。もちろん、2420万画素と4200万画素というのは大きな差であるが、4200万というのはあまりに大き過ぎて、私には扱いかねる。それに、元々ソニーのカメラを使っていればレンズに投資をする必要がないので、α7RIIIを選ぶところだが、今回の私の場合はカメラとレンズの両方を買わなければならないので、今回はα7IIIを選択して、その分をレンズ資産への投資に回そうかと考えた。どうせ、今回買うカメラをまた買い換える数年後には、もっと良いカメラ本体が発売されるので、その時に奮発すればよいと思った。


2.レンズを2本選ぶ

 では、レンズはどうしようか・・・APSーCでタムロンの18-300mmレンズが非常に使い勝手が良かったので、フルサイズでそういうものは・・・あるわけがない。探したところ、ソニーのズームレンズ FE 70-300mmというものがあった。15万円もするが、これにしよう。次に70mm未満をカバーする適当なレンズはないかと調べたら、タムロンの レンズ (Eマウント)28-75mm がとても評判が良い。理由は、F値が2.8と、非常に明るいからである。先程の FE 70-300mmのF値が4.5から5.6なので、その明るさが際立つ。約10万円もするけれども、それだけの価値はある。


ソニーのズームレンズ FE 70-300mm


α7RIIIにつけたタムロンの レンズ (Eマウント)28-75mm


 という検討を経て、カメラ本体を21万円で、レンズ2本を合計25万円で買うことにした。数年後にカメラを買い換えるときに、レンズの方は、そのまま使えるだろうと思っている。今回、購入したものの詳細は、下表の通りである。

 さて、Amazonに注文したら、カメラ本体を含めてその大半を翌日に持ってきてくれた。箱から、カメラ本体を取り出すときが、無上の楽しみである。あれれ・・・本体はこんなに小さいのかというのが第一印象である。昔のオリンパス・ペンE−P1の時代に逆戻りしたかのごとくである。それに、別途注文したタムロンの レンズ (28-75mm)が届いたので、何かを撮りに行こう。ちょうど梅雨の晴れ間だから、紫陽花が良い。鎌倉の名月院に向かった。


3.名月院の紫陽花

 北鎌倉駅に降り立ったのは、6月16日(日)午前9時20分である。名月院は、ここから10分もかからないと思ったのも束の間で、少し行ったところで「名月院の最後尾」という看板を持ったガードマンがいた。そこからズラリと人の列が続く。聞いてみると、30分は掛かるそうだ。仕方がないので、その列に並ぶ。延々と並んで、名月院の門をくぐったのが10時頃だった。


名月院


名月院


 そこから、α7IIIを取り出して、紫陽花などの花を写し始めた。マクロモードにすると、背景がものすごくボケる。これは素晴らしい。人物のポートレートでは非常によく写ると思う。風景モードにすると、竹林や葉の緑と空の青さが際立つ。ソニーの撮像素子と液晶画面の色は本当に鮮やかだと感心した。

 この日は本当に見物人の数が多かった。紫陽花の花半分に強い日光が当たっていることが多かったので、HDRで撮りたかったのだが、慣れないα7IIIのダイヤルをいじくっているうちに後ろから押されるという具合で、十分に試し撮りが出来なかった。特に残念なのは、有名な丸窓を上手く撮れなかったことである。今しばらく時間があれば、何とかなったのに、あれだけ混雑が酷いと、ゆっくりしていること自体が迷惑なので、さっさとその場を離れた。やはり、日曜日なぞに鎌倉へ行くべきではない。


名月院


 そのほか、α7IIIについて感じたことは、まずシャッターが軽い。その上、シャッター音をサイレントモードにしておくと、果たして押せたのかどうか、あるいは何枚撮ったのかが全くわからないほどだ。一眼レフの、あのEOS 70Dのカシャカシャという連続シャッター音に慣れた身としては、これは凄いとしか言いようがない。次に、スイッチを入れると画面に被写体が映る。それを見て撮るのは、昔のオリンパス・ペンE−P1と同じだ。ところがE−P1にはなかったファインダーがα7IIIにはあり、それを片目で覗き込むと、自動的に画面がオフになるという仕組みで、これは便利だ。もう一つ、E−P1の画面は、現実の被写体とタイムラグが生じて、動きの早いものにはなかなか付いていけなかった。その点、このα7IIIではそういうフラストレーションを感ずることはなかったので、これも大きな進歩だと思う。

名月院


 反面、気温30度の下で2時間ほど連続して撮っていると、α7IIIの躯体が熱を帯びてきた。ああ、これはE−P1と全く同じ現象だ。一眼レフではこんなことはなかった。やはり、通常の撮影では、画面は使わずに、ファインダーを覗いて撮るべきだろう。また、α7III本体は565gと軽いが、このタムロンの レンズ (28-75mm)は550gで、この組み合わせだとバランスが良くて持ちやすい。ところが、ソニー のズームレンズ (FE 70-300mm)は854gだから、これを付けるとレンズがずっしりと重い。まるでカメラというよりレンズを持ち歩いているようだ。まあ、そのうちに慣れるだろう。


 名月院の紫陽花( 写 真 )



4.代々木公園のイベント

ワールドグルメ&ミュージックフェスタ


 今度は、動きのある被写体でソニーα7IIIを試すつもりで、先々週のベトナムに引き続いて踊っている人を撮ろうと、代々木公園で開催中の「エジプト・フェスティバル2019」に行ってみた。フェスティバルのオフィシャル・アカウントを見たのだが、当日のタイム・スケジュールが見当たらない。仕方がないので、出演するはずの舞踊団のHPを見たら出演は12時、2時、4時だとわかったので、先週と同じく屋外ステージだろうと思って、午後2時に間に合うようにイベント広場に向かうことにした。

 広場に足を踏み入れたところで、確かにイベントをやっていたのだけれども、どうも様子がおかしい。エジプトとは全く関係がないようなのである。背の高い黒人男性やエネルギッシュな黒人女性が、跳びはねて何やら踊っている。ああ、これは、サルサだ。間違いない。周りを見渡すと、サルサ料理やモヒート、ラム酒やテキーラなどを売る屋台が並ぶ。後から調べてみたら、「サルサ・ストリート・フェスティバル」だった。サルサダンスのパフォーマンスや特設ステージではラテンフィットネスをやっている。陽気な雰囲気がこれでもかとばかりにまき散らされている。これは場違いなところに来てしまったと思いつつ、屋外ステージの方に向かった。


ラテンフィットネス


 その屋外ステージでは、日本人の女の子2人が、楽器を演奏して歌っている。その場馴れしている様子からして素人ではないし、エジプトに関係する音楽でもなさそうだ。それが直ぐに終わり、ステージを片付けて次の出し物の用意だ。もう2時になるので、エジプトの踊りかと思って待っていたところ、出てきたのが、日本人の女の子だ。それで、「ワールドグルメ&ミュージックフェスタようこそ。」などと言うので、やっとここではないと気が付いた。

ワールドグルメ&ミュージックフェスタ


 何とも間が抜けた話だが、いずれにせよ今日はソニーα7IIIとソニー のズームレンズ (FE 70-300mm)を使った動きのある被写体の試し撮りだから、実は被写体にはこだわらない。では、この歌手のお嬢さんを撮らせてもらうことにした。申し訳ないが、お名前はわからない。ただ、お年は32歳とのことだった。それにしても、この子、よく歌って動く。

ワールドグルメ&ミュージックフェスタ


 プログラムの「P」モードにして動きの少ない場面を、「シーン」モードのスポーツにして飛び上がる場面をそれぞれ撮ってみたところ、良く写る。次に、初めて「ビデオ」モードで撮ってみた。パソコンで見ないとわからないが、まあ映っている。4Kだそうだ。家に帰って見てみたら、映像も音声もしっかり撮れている。これは、ビデオカメラとしても充分に使えそうだ。ただ、いきなり撮ると当然焦点は合っていないから、写真を撮る要領で合焦してからビデオボタンを押すとよいらしい。

ワールドグルメ&ミュージックフェスタ


 ということで、ひとしきり歌手のお嬢さんを撮らせてもらって、少しはカメラに習熟したつもりである。それにしてもこのカメラ、例えば、顔の皺など、恐ろしいくらいに細かなところまで写る。もちろん動きのない人物を撮るにはそれなりの「人物」モードで撮るから、顔の皺などはデジタル的に処理されて消されると思うが、この「P」モードは、写りすぎである。

エジプト・フェスティバル


 さあ、帰ろうと思ったところで、「エジプト・フェスティバル」をようやく見つけた。欅並木の方で開かれていた。特設ステージというのも、ごく小さな慎ましやかなものだから、遠くからはわからなかったのは仕方がない。その小さなステージで、多くの人たちが手と腰を振り振り、これまた陽気に踊っていた。ちなみに、この日は、「サルサ」、「グルメ&ミュージック」そして「エジプト」の3つのフェスティバルが、仕切りもなく隣合って開催されていたのである。

代々木公園の薔薇


代々木公園の薔薇


 帰りには、代々木公園内を通ったので、満開の薔薇、紫陽花、サルビア・ガラニチカ、百合の花を撮ってきた。このズームレンズ (FE 70-300mm)の望遠端で撮ると、当然ながら面白いように花の周辺がボケて、花が浮き出るように見える。最短撮影距離は1mである。

代々木公園のサルビア・ガラニチカ


代々木公園の百合





5.サンシャイン水族館


コブダイ


 さて次の撮影の練習の場として、難易度が高い水族館に行くことにした。水槽の中の魚のうち特に熱帯魚の場合は早く動くので焦点を合わせにくいし、ほかの魚も水槽が暗いことが多いので、これまた撮りにくい。自宅からほど近いサンシャイン水族館を選んだ。

ナポレオンフィッシュ(メガネモチノウオ)


 まずは、大水槽の中の魚である。最初に出てきたのは、「コブダイ」である。これは、ゆっくりと動いてくれるし、物おじせずに近づいてくれるので、撮りやすい。「Pモード」で大迫力の写真が何枚か撮れた。次は、これまた大型の「ナポレオンフィッシュ(メガネモチノウオ)」である。私はこの魚が大好きで、水族館に行ったら必ずその写真を撮ることにしている。

コブシメ


クラゲ


 イカの仲間の展示があった。暗い中で、しかもイカの体は白く透き通っていて、焦点がなかなか合わない。あきらめて、隣の水槽にいた「コブシメ」を撮る。これもイカの一種なのだそうだ。それから、クラゲの水槽に行く。白い照明にしてくれれば撮れるのにそれは一瞬にすぎず、ほとんどが青い照明なので、あまり良い写真にはならなかった。ところが、この写真だけは、まあまあ見られる。「AUTO」モードである。

女性ダイバーが餌をあげる


 それからダイバーによる給餌の時間ということで、再び大水槽に戻る。女性ダイバーが餌をあげると、そこに熱帯魚が群がる。幻想的といってもよい。「AUTO」モードである。それから、私が好きなグレート・バリア・リーフの水槽に行く。こちらの熱帯魚は、動きが速いので「Sモード」の1/320秒で撮る。青い魚は「ナンヨウハギ」だ。これは動きが速くて、なかなか捕捉しにくい。方向転換をするその一瞬を捉えたのが、この写真である。色もちゃんと出ている。黄色い魚は「キイロハギ」だ。これも、かなりの速さであるが、しっかりと捉えられた。焦点合わせは、けっこう速いので、満足である。イソギンチャクに隠れた「カクレクマノミ」を撮ってみたら、うまく撮れている。これまでのカメラの中では、一番良いと思う。

青い魚「ナンヨウハギ」


黄色い魚「キイロハギ」


イソギンチャクに隠れた「カクレクマノミ」


 屋外エリアに出て、天空のペンギンを見ようと思ったら、ペンギンではなくてペリカンが空中を泳いでいた。来た時間が悪かったようだ。それでも、ちょうど、アシカのショーが始まった。それを「スポーツ」モードで撮ったのだが、目の前の飼育員さんとアシカに焦点を合わせたつもりなのに、カメラが勝手に、その向こうにいる観客の目を検出してそれに焦点を合わせてしまうので、困ってしまった。これを止めさせることはもちろんできそうだが、そのためにメニューのボタンを弄くっていると撮るチャンスを逃すので、何とか撮り続けたが、性能が良いというのも、良し悪しだと思った。

飼育員さんとアシカ


 前のカメラEOS 70Dと今のα7IIIと比較して大きく違う点は、撮像素子(イメージ・センサー)のクリーニング方式である。EOSの場合は、電源を入れたときと切るときの両方でクリーニング・モードが自動的に動き、カメラがブルブルと震えてクリーニングされていた。だから、クリーニングなんて、全く縁がなかった。ところが、α7IIIの場合はそういう自動で行ってくれる仕組みがないので、いちいちメニューを立ち上げて手動でクリーニングをする必要がある。それだけでなく、マニュアルによるとその度に電源を切ってレンズを外し、ブローアーで撮像素子の下側を吹きとばせというのである。やや、面倒なことになってしまった。


 サンシャイン水族館( 写 真 )



6.不忍池の蓮

不忍池の蓮の花


 今年の梅雨は、しとしと降る雨が長く続いて、日照不足で野菜が「L」字型に曲がってしまって売り物にならず、野菜の価格が高騰するという有り様だ。せっかく新カメラの試し撮りをしようにも、雨が多くてはなかなかその機会がない。本当は雄大な景色や夜景を撮りたいのだけれども、ついつい手近な花や室内の水族館を撮って、お茶を濁すくらいだ。

不忍池の蓮の花の雨の水滴


 6月末から7月にかけての季節は、紫陽花がほぼ終わって、蓮の花が咲く頃である。新聞記事によると、千葉市の千葉公園の大賀蓮、行田市の古代蓮の里などが有名であるが、ご承知の通り、蓮の花はわずか4日間の命であり、それも夜明け頃に咲いてお昼前にはもうあらかた閉じてしまうので、朝早く行かなければ間に合わない。ところが、私の家から行田市の古代蓮の里に行くには、片道2時間近くかかるので、毎年行こうとは思うのだけれど、面倒な気がして止めてしまう。それでも、昨年は埼玉県毛呂山町に蓮と睡蓮を撮りに行ったことがある。白い花びらに僅かにピンク色がかかった美しい蓮の花があって、それなりに楽しめた。

不忍池の蓮に隠れる雀


不忍池の川鵜


不忍池の蓮の花に向かっている蜂


 ところで、私の家は、都内有数の蓮の名所となっている不忍池(上野公園)の近くなので、朝早くても何とか起きて、蓮の花を撮りに行くことができる。7月7日と13日に行ってみた。まだ、蓮はさほど咲いてはいなかったものの、ズームレンズ (FE 70-300mm)の望遠端を使っても、雨に濡れた蓮の花びらに付いた水滴が、歪みもなく実に綺麗に写っていた。試しに雀、川鵜などの野鳥にもこのズームレンズを向けてみたが、早い動きにもかかわらずシャッター速度1/500ほどで美しく撮れた。肉眼では見えなかったが、蓮の花に向かっている蜂の姿まで写っていた。ただし、蜂がいたとは知らなかったので、単なる「Pモード」だった。

不忍池の弁天堂と手前の蓮の花


 上の写真は、遠く離れている弁天堂と、手前の蓮の花を画面に同時に入れようとした。ズームレンズなので、このまま撮るとどちらか一方がものすごくボケてします。そこで、F値をかなり上げて22にして撮ってみたら、焦点を遠くの弁天堂に合わせても、手前の蓮の花がさほどボケないで済んだ。そういうわけで、このズームレンズは、なかなか使えることがわかった。唯一の欠点があるとすれば、どうしても画角が狭いということで、これは仕方がない。超望遠レンズの宿命である。


 不忍池の蓮( 写 真 )



7.ロボット・レストラン

ロボット・レストラン


 新宿歌舞伎町のロボット・レストランに再び行ってきた。前回は、この悠々人生に「平成27年2月11日に行った。」と記録があるので、それから4年半も経っている。それで、まず全体の雰囲気はどうだったかというと、お客は、前回は日本人客が2割、外国人観光客が8割という割合だったが、今回はお客の大半が外国人観光客となってしまっている。これは、驚きだ。出てくるポップコーンのサイズも、日本の映画館のドリンク・カップのようなものではなく、まるでバケツのようなカップに入っている。これもアメリカの映画館並みだ。肝心の出し物はというと、全体の流れのようなものは、ほとんど変わっていない。でも、ロボットたちやダンサーの衣装などは、ほぼ全部が入れ替わっていて、ますます外国人が喜びそうなものとなっていた。

ロボット・レストラン


ロボット・レストラン


ロボット・レストラン


ロボット・レストラン


ロボット・レストラン


 今回のカメラは、ソニーのα7IIIで撮ったのであるが、あの暗くて照明が様々な色へと千変万化するにもかかわらず、その割には非常によく撮れていたので、嬉しかった。本来なら、色々と諸元を調整して撮るべきなのだが、撮影条件が時々刻々変化するし、場面の展開が目まぐるしい中で細かい調整が不可能だから、仕方なくプログラム(P)モード一本やりで撮っていた。それでもカメラの性能がそうした変化に十分追い付いているから、かなり使える写真が多かったのは驚きだ。前回キヤノンEOS70Dを持って行ったときは、100枚撮った中で使える写真はわずか10枚にも満たなかったが、今回は100枚中80枚は、まあまあ見られる写真だった。これも、ソニーα7IIIがカメラとして如何に優れているかを示している。


 ロボット・レストラン( 写 真 )



8.越中八尾おわら風の盆

おわら風の盆の雪洞


 さて、ソニーのα7IIIの試し撮りの最後は、「越中八尾おわら風の盆」である。おわらの鑑賞は、なんといっても夕方にそぞろ歩きをしながら町流しを観るところにある。ところが、明かりといえばボンボリ程度で余りにも暗い上に、おわらの踊りはゆっくりしているものの、それでも手などは早く動く。その中で従来のカメラを使うと、フラッシュなしで撮影をするのはほぼ不可能である。

 現に、これまで2回にわたって写真を撮ろうとしてきた。1度目は2011年の「前夜祭」である。 そのときのカメラはオリンパスE−P3だったが、どれも真っ暗に写ったり、たまに撮れても幽霊のようにボケたりして、とても使い物にならなかった。2017年にはキヤノンEOS70Dを持って行って 「月見おわら」を撮ったが、これも少しはマシだったものの、総じて似たりよったりだった。でも、おわらには踊りの中で一瞬ポーズをとる場面があり、そのときはまあまあの写真が撮れた。しかし、肝心の踊りで動いている撮りたい場面が撮れないので、フラストレーションがたまった。そういう伏線がある上で、今回新しく買ったソニーのα7IIIとタムロン・レンズ 28-75mm F/2.8 Di III RXD を持っていったというわけである。さて、どうなるか。

 私が最も感動したのが、「おたや階段」下の広場で午後8時から始まった「鏡町」の皆さんによる「おわら風の盆」である。 石畳が敷かれている小さな四角い広場で、その一角に階段の降り口と並んで「地方(じかた)」の皆さんが揃い、胡弓、三味線、太鼓をバックに朗々と「歌われよ わしゃ囃す」から始まって「越中で立山 加賀では白山 駿河の富士山三国一だよ」と続き、歌と囃子が続いていく。その途中で、三方から踊り子さんたちが出てきて踊る。哀愁あり、叙情あり、感動ありの芸術性の高い踊りである。それで、肝心の写真はどうなったかというと、次の通り、あの暗い中でしかも動く被写体を非常に良く捉えている。このカメラとレンズの性能には、とても満足している。なお、これらの写真は、地方(じかた)の音楽や歌いと一緒に見ると、ますます情感が増す。


「鏡町」のおわら風の盆


「鏡町」のおわら風の盆


「鏡町」のおわら風の盆


「鏡町」のおわら風の盆


「鏡町」のおわら風の盆


「鏡町」のおわら風の盆


「鏡町」のおわら風の盆


「鏡町」のおわら風の盆




 本場おわら風の盆( 写 真 )

 本場おわら風の盆 (ビデオ)








  今回購入したカメラと部品の構成



(1) ソニー (SONY )ミラーレス一眼 α7III ボディ ILCE-7M3 212,700円


α7III ボディ ILCE-7M3



(2) ソニー (SONY )ズームレンズ FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS Eマウント35mmフルサイズ対応 SEL70300G 150,309円


ズームレンズ FE 70-300mm



(3) ソニー (SONY) MCプロテクター 72mm VF-72MPAM 5,772円


MCプロテクター 72mm VF-72MPAM



(4) ソニー(SONY) 円偏光フィルター VF-72CPAM 12,850円


円偏光フィルター VF-72CPAM



(5) ソニー (SONY) αレンズ用フード ALC-SH144 2,128円


αレンズ用フード ALC-SH144



(6) ソニー (SONY) SDXC メモリーカード 64GB Class10 UHS-II対応 @13,473円 2個


SDXC メモリーカード 64GB



(7) ソニー α7III NP-FZ100 互換バッテリー 2個 + 充電器 7,599円


α7III NP-FZ100 互換バッテリー 2個 + 充電器



(8) Kenko 液晶保護フィルム ソニーα7III用 802円


Kenko 液晶保護フィルム



(9) タムロン(TAMRON) レンズ 28-75mm F/2.8 Di III RXD 99,500円


タムロン(TAMRON) レンズ 28-75mm



(10) KENKO 67mm、PRO1D(タムロンのレンズ保護フィルター) 3,445円


 KENKO 67mm、PRO1D



(11) HAKUBA ドライボックスNEO 9.5L スモーク 防湿庫 KMC-40 1,482円


HAKUBA ドライボックスNEO 9.5L スモーク 防湿庫 KMC-40



(12) HAKUBA レンズ専用防カビ剤 KMC-62 446円


HAKUBA レンズ専用防カビ剤 KMC-62







合計 523,531円(こんなにかかってしまった。)




(2019年6月19日記。4.は23日追記。7.は8月14日追記)


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チームラボ・ボーダレス

デジタルアート・ミュージアム


 トランプ大統領歓迎晩餐会の席で、たまたま隣り合わせたアメリカ政府高官(女性)から、お台場のデジタル・ミュージアムに行ったという話を聞いた。その興奮冷めやらぬようで、「あれが次世代の美術館だわ。素晴らしかった」とまで言う。それまで私は、「どうせプロジェクション・マッピングの室内版だろう」と思っていたので、あまり行く気がなかったが、それではと俄然行く気になった。

 まずは、予約する必要がある。チケット・サイトを開き、日付をチェックし、クレジットカードで支払う。すると、メールが届く。普通ならそれが入場チケットなのだが、前日にならないと貰えないという。そうする必要性がよくわからないが、確かに前日になってメールが来て、そこに書かれていたアドレスをクリックすると、入場チケットになるQRコードが出てきた。それを持って出掛けた。

 場所はお台場のパレットタウンで、ゆりかもめ青海駅で降りて観覧車の下を通って入る。正式には「森ビルデジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス東京」というらしい。長い名前で覚えにくいから、表題は「チームラボ ボーダレス」とした。会場は、外国人観光客も多くて、いやもう、大変な人だかりだ。入り口で傘やら荷物やらを預けて会場に入る。中には微かな光があるだけで、真っ暗だ。でも、だんだん暗さに眼が慣れてきた。


デジタルアート・ミュージアム


デジタルアート・ミュージアム


 入場して早々に写真を撮ろうとしたのだが、後ろから次々に観客が押し寄せるからカメラのボタンを設定している暇がないし、暗いからボタンもはっきりと見えない。手探りでやっている過程で、変なボタンを押してしまったようだ。構えてもちっとも撮れない。諦めて下に向けるとシャッターがおりる始末だ。だから、しばらくの間は、全く撮れなかった。そのうちようやく少し明るい所に出たので、カメラの設定を見たところ、どういうわけか、セルフタイマーになっていた。

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 それから撮り始めた。床が平らでないところに行くと、壁からその盛り上がった床に掛けて水が流れるような所があり、それにカラフルな花の画像が混じって次々に流れていく。非常に幻想的な光景である。たまたま白い服を着た女性にその光が当たると、またそれも光景の一部となる。女性が動くとゆらゆらと揺れて、なかなか美しい。2階に上がる階段の壁にも、お花でいっぱいの画像が走る。くっきりしてこれも綺麗だ。

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 長い廊下の壁には竹林の画像と、蛍のような黄色い点が飛び交う。丸いドームのような床に、火の鳥がキラキラと光跡を残し、羽根を広げたり閉じたりして飛ぶ。また、別の鳥が飛んできた。見ていて飽きない。壁の方に眼をやると、大きな鯨みたいなカラフルな動物が豪快に泳いでいる。見ていて楽しい。

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 大きな瓢箪をひっくり返したようなものがたくさんある部屋に行った。それが青色、赤色、昼光色、オレンジ色と様々に変わる。その次の部屋では子供たちがぴょんぴょん飛び跳ねると、それに応じて下の模様も変わる。小さな子も大きな子も、皆夢中になってやっている。結構なことだ。

デジタルアート・ミュージアム


デジタルアート・ミュージアム


 次の部屋に入ると、大人も子供も一生懸命に何やら書いている。壁をみると、海の動物がたくさん動いている。ただ、よく見ると、あまり洗練された絵ではない・・・一体、何だろうと思ったら、これらの中には名前が書かれているものもあったから、観客が描いた絵だったと気が付いた。観客参加型か・・・これは、面白いことをする。

デジタルアート・ミュージアム


デジタルアート・ミュージアム


 歩き疲れたので、ミュージアム内の喫茶店に入った。それも、真っ暗な中にある。入り口で茶葉が入った小さな瓶を買い、それを持ってひとりひとり案内される。「何でこんなに暗いのだろう、人の顔もロクに見えない」と思った。やがて頼んだお茶が来て、その理由がわかった。お茶の表面にプロジェクターの光が当たるようになっていて、お花の模様などがカラフルに浮き出てきたのである。実に綺麗だ・・・ここまで徹底しているとは思わなかった。確かに、来てみてよかった。






 チームラボ・ボーダレス(写 真)


 チームラボ・フラネッツ(写 真)




(2019年6月16日記)


カテゴリ:エッセイ | 23:07 | - | - | - |
パソコンは遂に8台目

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1.パソコンが壊れて買換え

 自宅で常日頃、使い続けてきた富士通パソコン(LIFEBOOK WAR2/R。型名FMVWRA2B78)が、2019年5月21日、遂に動かなくなってしまった。私のような使い方をしていると普通は3年強くらいしか持たないところだが、4年8ヶ月間も、よく動いてくれたものだと感謝しなければならない。手元の記録によると、このパソコンは2014年9月19日(製品発表時期2014年5月)、富士通ショッピングサイトWEB MARTを通じて購入し、価格は、211,968円とある。

 実はこのパソコン、購入して3年ほど経った約2年前にも、突然Windowsが立ち上がらなくなったことがある。夏の暑い日だった。もう3年経ったから寿命かもしれないと思いつつ、念のために別にバックアップしておいたイメージを使って再インストールをしたところ、幸い無事に復活してくれたという出来事があった。ところが、それから1年ほどして、バッテリーが完全に消耗して使えなくなった。これは単に取り替えるだけだと思ってメーカーから部品を買おうとしたところ、型が古すぎてもう売っていない。やむなく八方手を尽くしてようやく確保したが、入手後によくよく見てみると、それは中国からの輸入品だった。でも、ともかく使えた。そういう前歴があるので、今回はもはや仕方がないと観念して、買い替えることにした。

 前回は富士通のWEB MARTのインターネット通販で買ったが、今回はもう少し範囲を広げて探そうと、Amazonで検索した。想定したスペックは、ノートパソコンで、画面が17インチか15.6インチのワイド液晶、HDDが出来れば2TB、コアがインテルi7、メモリは大きいに越したことはないがさほどこだわらない、光学ドライブがスーパーマルチというところである。

 そうすると、画面が15.6インチのワイド液晶、SSD(256GB)HDD(1TB)、コアがインテルi7、メモリは16GB、光学ドライブがスーパーマルチ、Windows10(64ビット)という仕様の、希望に近いパソコンが見つかった。なんとまあ、やはり富士通のWEB MARTだった(型名:FMVWD1A37L)。よほど富士通パソコンと相性が良いものと見える。価格は、185,980円である。注文したら、4日後に届いた。以前のパソコンは黒色だったが、今回の新パソコンは紺色なので、少し新鮮に見える。


今回の新パソコン



2.セットアップと使用準備

 それでは、また数年後にやってくる買い換えの時のために、やや技術的だがメモを残しておきたい。

 (1) まずは最初に、Windows 10のセットアップをしなければならない。ACアダプタを接続して電源を入れる。20分ほどで終了した。次に自宅の無線LANに繋ぎ、マイクロソフト・アカウントに切り替え、アップデートナビの初期設定をする。このパソコンは、顔認識だからパスワードを入れる必要がなくて楽だ(もっとも、顔認識できない場合に備えてPINを設定する必要はある)。その過程で、ウェブのブラウザが「Microsoft Edge」になった。以前の「Internet Explorer」が重たくなりすぎたので、その後継のようだ。Googleの検索画面のように、読みたくもないニュースが出る。「お気に入り」のバーの出し方がわからない。しばらく使っていたが、どうも扱いにくいので、ブラウザは「Google Chrome」に変えた。

 (2) ここまでは、マウスなしで操作した。この新パソコンはAmazonで買ったので、無線のコードレス・マウスは添付されていなかった。これは困ったと思ったが、試しにこれまでのパソコンで使っていたコードレス・マウスの無線USB部分を新パソコンに差し込んでみたら、ちゃんと認識されて、直ぐに使えたので、上手くなっていると感心した。

 (3) セキュリティソフトとして、「McAfee」が3年間分付いていたので、「Norton」はもう使わないことにした。その「McAfee」を動かしてみると、「2022年5月まで使えるが、それ以降も使うために自動継続するから、クレジットカード番号を入れよ」という表示が出る。しかし、そもそもそれまでMcAfeeという会社が存続しているとは限らないし、だいたい、そんな先のことについて、クレジットカードで支払いたくない。だから、その手には乗らず、自動継続はしないことにした(ところがその後、下記(16)の通り、結局いろいろと考えて、1年間だけ延長を行った)。

 (4) この新パソコンには搭載ディスクが2つあって、CドライブがSSD(256GB、全体がCディレクトリ)、DドライブがHDD(1TB、全体がDディレクトリ)である。システムはもちろんCディレクトリのSSDに入っていて高速なのであるが、256GBではいかんせん容量が少ない。出来れば500GBほどあれば良いのだが、そういう製品はなかった。こんなに小さいと、システムを入れるだけで一杯になりそうだ。特に問題なのは、「Document」と「Download」、それに「iTunes」を使った「iPhone」や「iPad」のバックアップ先が初期設定だとCディレクトリになっていることだ。それだけでもうCドライブが満杯になって動かなくなる。

 仕方がないので、まず、「Document」、「Download」、「Picture」の場所を変えることにした。この中で「Download」と「Picture」だけは、無事にDディレクトリに変えられたが、「Document」は赤字で「移動できません」の表示が出てうまくいかなかった。その原因として、セットアップ途中で入れさせられた「One Drive」の自動バックアップが足を引っ張ったのではないかと思った。だから、そちらを停止したところ首尾よく解決して、いずれもDディレクトリに変更できた。それはよかったのだけれど、私は、「iPad」で作業する時に参照したいので、文書類は可能な限り「Document」ではなく、Dディレクトリに置く「Dropbox」に蓄積しておくことにした。

(参 照) http://azby.fmworld.net/support /info/2hdd/

 (5) とりあえずWindows10が動かせるようになったので、まずは、しばらく更新できていなかった私のこのHP「悠々人生」の手入れから始めたい。そのためには、「窓の杜ライブラリ」から、NexusFile(統合ファイル管理)、Vix(画像一括加工)、TeraPad(テキスト・エディタ)、BunBackup(バックアップ。64ビット版)を取得してインストールした。それから、ディスクを通じて「Homepage Builder」と、ついでに「筆まめ」をインストールした。私はHTML言語が書けるので、もはや「Homepage Builder」本体はほとんど使わないが、その付属ソフトである「ファイル転送」(ファイルをアップロードするFTP)と「Webart Designer」(画像処理ソフト)はよく使って重宝する。だから、これらはHP「悠々人生」の手入れに必須といってよい。

 (6) 念のために、回復ドライブを作った。Amazonで32GBのUSBメモリを持ってきてもらって、それで作成した。30分ほどで呆気なく終わった。そのうち、必要なソフトを全部入れた段階で、Cディレクトリ全てをミラー形式でバックアップしたいと思っている。Dディレクトリは、別途、3TBのHDD(2つ)にダブルでバックアップしている。ちなみに、今回の新パソコンにも、既にバックアップ済みのこの3TBのHDDからデータをコピーして、その内容を回復させた。

 (7) さて、それからやや重たいソフトである「iTunes」をインストールする。ポイントは、Cディレクトリではなくて、Dディレクトリに入れることだ。「iTunes」本体は、あっという間にインストールできたが、その反面どこにインストールするかという選択する場面もなかったので、どうにもならず、Cディレクトリに入ってしまった。もっとも、本体のサイズは大したことがないので、まあいいだろう。問題はバックアップの場所である。私のiPhoneXとiPad、それに家内のiPhoneのバックアップ・サイズはおそらく180GB近くにもなるので、Dディレクトリに移すしかない。

(参 考) http://azby.fmworld.net/support /info/2hdd/

 その具体的な方法であるが、富士通のサポートの指示通りに行う。まずは画面左下の「検索欄」に「cmd」と打ち込み、出てきた画面の中の「管理者として実行」にチェックを入れて、黒いコマンド・プロンプト画面を出し、次のように打ち込む。ちなみに、私のユーザー名は「yama san」なので、「C:¥Users¥yama san ¥Apple¥・・・」となっているが、これをなぞって自分もやってみたい方は、この部分をそれぞれのユーザー名にすることになる。

C:¥Windows¥system32>mklink /d “C:¥Users¥yama san ¥Apple¥MobileSync¥Backup” “D:¥Computer¥iTunes Backup”

 すると、「シンボリック リンクが作成されました」と出てくる。これで、元のCディレクトリの「Users」以下には、Dディレクトリの該当部分へのリンクが張られるだけになり、データそのものはDディレクトリに収納される。

 (8) ところで、iTunesのバックアップの際、iPhoneを新パソコンに接続するときには、新パソコンの認証をしてもらわなければならない。そこで認証しようとしたところ、認識数は最大5つと決まっているので、それを越している場合には、「既に5に達しているので認証できない」との警告が出る。ではどうするか。結論からいうと、その5つの既存の認証を全部解除するしかない。そこで全て解除し、やっと新パソコンの認証を得た。それからバックアップをした。念のためにチェックすると、目論見通りDディレクトリに入っていた。

(参 考) https://www.iphone-utility.com/topic/change-itunes-backup-destination.htm

 (9) ブラウザベースの「Evernote」と「Box」は、「Google Chrome」の上で問題なく立ち上がった。次は、「Dropbox」だ。これは外出先でiPhoneやiPadと連携するのでとっても重宝している。ただ、データ量が多いので、やはりDディレクトリにしたい。Dropboxの公式ページからインストーラーをダウンロードしたら、自動的にDropboxディレクトリを探してくれたので、手間は全くかからなかった。

 (10) ということで、新パソコンにつき一通りのチューンナップが終わった。ここまでで、丸2日ほどかかったことになる。何が面倒だったかといえば、(1)の初期設定が一番で、次いで(7)の「iTunes」バックアップ先の変更だろう。これは、多少の知識が必要だ。

 (11) 念のためにソフトで二つのディレクトリの残容量を見てみたところ、Cディレクトリが60GB、Dディレクトリが590GBと出た。あれあれ、Cが少なすぎる。そこでCディレクトリの内訳を見たら、Dropboxが100GBも使っているではないか。上記(8)は勘違いで、実はDディレクトリにはなっていなかったのだ。そこで、Dropbox同期フォルダ変更手順に従い、「システムトレイの中にあるDropboxアイコンをクリック→Dropboxの画面中の歯車のアイコンをクリック→基本設定→右上の同期→Dropbox フォルダの場所中の移動ボタン→Dディレクトリを指定」ということで、Dディレクトリに移し替えた。再度チェックしたところ、Cディレクトリの残容量は、目出度く160GBとなった。やれやれ、これだからパソコンは、気が抜けない。

 しかし、それにしてもDディレクトリは1TBもあるのに、もう510GBも使っている。半分を越しているではないか。その内容を確認したところ、主なものは、昔の書類を入れてある「Cabinet」100GBのほか、「iTunesバックアップ」185GB、「最新Photos(今年の始めから)」80GB、「悠々人生」45GBである。これらだけでも410GBにもなっている。なかでも、今年の初めから撮りためた写真が、もう80GBに達しているとは思わなかった。まだ半年なので、今年の終わりにはその倍近くになるかもしれない。いやこれは・・・恐れ入った。個人レベルでも、ビックデータの時代になってしまった。

 (12) そういえば、「McAfee」に鞍替えしたので、「Norton」の自動更新を停止しないといけない。まず、シマンテックストアの注文情報確認ページを出して「メールアドレス」と「注文番号」を入れた。すると、私が使っている製品に関する情報が出てきた。そこに、「自動延長サービスの申込状況確認・停止手続き」というボタンが現れるはずなのに、出てこない。3回ほどやってみたが、やはり出ない。別途、iPadでも試してみたが、これでもダメだ。

 「一体どうなっているのだろう。ユーザーに停止させないためか。」などと邪推したほどだ。「仕方がない。明日にでもサポートに電話しようか」と思ったところで、気がついた。「この注文番号は昨年の更新時のものだからではないか。その前の年の注文番号にしたら、ひょっとしたら動くかもしれない。)と。そう考えて、一昨年の注文番号を入れてみたら、そのボタンが出てきて、やっと停止すらことができた。ここまでで、45分もかかってしまった。全く時間の無駄使いである。

 (13) OSのWindows10は、順調に動いてくれているが、一つだけある不満は、Photo Viewer で画像をクリックした時に、前後の画像に進むボタンがないことである。これだと、いちいち画像を閉じて見たい画像をダブルクリックしなければならない。これは面倒だ。そこでインターネットで調べると、「Restore Windows Photo Viewer」を使えばよいという記事があった。問題は、これが信用できるかだ・・・。載せている会社を見ると、あのインプレスだ。数多くのフリーソフトを提供している会社なので、まあ良さそうだと判断して、試してみることにした。すると、使えるようになり、「既定のアプリ」を「Windows Photo Viewer」にすることができた。

 (14) 一応、新パソコンの復旧作業が完全に終了したので、バックアップ・ソフトであるBunBackup(64ビット版)を動かしてみた。問題なく動作する。それで、2つの3TBのHDDの内容を整理しながら、それにバックアップした。なお、自宅の無線LANの「LANDISK」として3TBのHDDを一つ置いているので、それにもバックアップした。このLANDISKは、特に操作することもなく、新パソコンから認識することができたので助かった。

 (15) ただ、このようなHDDには容量の限界がある。私の場合は、過去に撮ったり昔のアルバムをスキャンして取り込んだ写真が既に2TB近くに達している。加えて、外付けHDDの中に収めておいても、パソコンと繋がっていないときや、iPhoneやiPadからは見られない。そう考えているときに、たまたま、「今お使いのDropbox plusをグレードアップしたので使ってください」というメールが来て、2TBまでクラウド上でスペース(容量)を提供してくれるそうだ。少し値上がって月1,200円かかるが、これを利用することにした。ただ、私のパソコンの中身が全てDropbox社に渡ることになる。これは、信用するほかない。

 次の段階として、どう操作すればよいのか・・・。ともかく、Dropboxにアクセスしたところ、「スマート・パスを使うように」とのことで、クリックして手続を行った。すると、「およそ1時間後に通知が届くので、記載された手順に沿って設定を完了してください」ということだった。なぜそんなに待たせるのか、よくわからないが、ともかく待っていた。ところが、待てと暮らせど、その通知メールが届かない。Dropboxにメールで問い合わせて、やっと通知がきて解決した。

 (16) 上記(3)で、セキュリティソフト「McAfee」を3年間使うので、それでよしと思っていたら、マカフィー社からメールが届いた。それによると、「現在、マカフィー・リブセーフ3年間の使用となっているが、4年目にさらに1年間延長しようとすると、8,980円かかるが、今だと2,980円で済むから、いかが?」というわけである。なかなか上手な勧誘だ。これまで問題なく使えているし、どうせ3年以上使うだろうから、その程度のお金なら今払ってもいいかと思って、延長することにした。

 (17) ということで、約1週間でパソコンの設定が終わり、ほぼ日常通りのパソコン生活に戻った。振り返ると、CドライブがSSD(256GB)、DドライブがHDD(1TB)という構成だったために、(7)の「iTunes」のバックアップ先をCからDディレクトリへと変更する必要が生じ、これが今回の作業の一番のヤマだった。

 これからは、Dropboxに2TBも保存してどこからでもアクセスできるようになった。だから、次にパソコンを買い換えるときは、画像の取扱いを迅速かつ容易にするため、CPUを高性能、メモリを大容量にして、あとはさほど容量の大きくないSSD(2個)でも良いのかもしれないと思っている。





(メ モ) これまで自宅で使ったパソコン一覧


【1台目】1993年から97年まで PC9821Ne(NECのノート。OS:MS-DOS、後にWindows 3.1、CPU:i486、メモリ:16M、HDD:340MB)

【2台目】1997年から2001年まで MN−5500(シャープのノート。OS:Windows 95、CPU:MMX Pentium 150HZ、メモリ:64MB、画面:11.3inch、(SVGA)TFT800X600の1677万色、HDD:3GB)

【3台目】2001年から2003年まで PC−MJ720M(シャープのノート。OS:Windows MeからXPへアップグレード、CPU:Pentium III 800MHz、メモリ:256MB、画面:14.1型 XGA対応 低反射ブラックTFT、HDD:30GB)

【4台目】2003年から2007年9月まで FMV−BIBLO NB16(富士通のノート。OS:Windows XP、CPU:Pentium 4、メモリ:514MB、画面:15型のスーパーファイン、HDD:40GB)

【5台目】2007年9月から2010年9月17日まで FMV−BIBLO NX90WN/D(富士通のノート。OS:Windows VISTA、CPU:Intel Core2 CPU T7200 @ 2.00GHz、メモリ:2GB、画面:17型、HDD:200GB)

【6台目】2010年9月17日から2014年9月19日まで VAIO VPCJ11AFJ(ソニーのデスクトップ。OS:Windows 7 Home Premium(64bit)、CPU:Intel Corei7-2.67GHz、メモリ:8GGB、画面:21.5型、HDD:1TB)

【7台目】2014年9月19日から2019年6月1日まで FMVWRA2B78(富士通のノート。OS:Windows 8、CPU:Core i7 3632QM(Ivy Bridge)/2.2GHz/4コア、メモリ:8GB、画面:15.6型、HDD:1TB)

【8台目】2019年6月1日から現在まで FMV LIFEBOOK AH WA3/D1(富士通のノート。OS:Windows 10、CPU:Core i7、メモリ:16GB、画面:15.6型ワイド、約256GB SSD + 約1TB HDD)





(2019年6月13日記)


カテゴリ:エッセイ | 19:52 | - | - | - |
ベトナム伝統音楽人形ショー

蝶踊り


 先日、私の職場にベトナムの人たちがやって来られて、国際交流の一環として見学の後に懇談をし、意見交換を行った。私は、昨2018年12月にダナンとホイアンを訪れて写真を撮ってきたばかりなものだから、この懇談をことのほか楽しみにしていた。すると、たまたまダナンから来た偉い人がいて、最近の現地の話題で話が弾んだ。

 実は、私は8年前にこんな文章を書いている。「これでも私は、ベトナムに1回だけ行ったことがある。しかし、20年ほど前のハノイなので、仕事以外で見たものといえば、ホーチミン将軍の遺体と、科挙の合格者を祭った孔子廟、それに例の水中人形劇だけ・・・である。しかし、そんな昔話はもうすっかり過去のことで、現代のベトナムは、これからますます発展するだろう。中国を挟んで東の日本と西のベトナムは、安南節度使を勤めた阿倍仲麻呂以来の縁がある。いずれも、国民が勤勉で人口も多い点(ベトナムは約8600万人、日本は約1億2752万人)、国が南北に長い点、米が主食である点など、共通点が多い。これから、日本が大事にしていきたい国のひとつである。(2011年9月18日)」

 今も「日本が大事にしていきたい国」という認識は変わらないが、この間、大きく変わったと思うことがある。それは、ベトナムがここ最近、大いに経済発展を遂げ、それが人々の態度や立ち居振る舞いに良い影響をもたらして、どことなく余裕を感じさせるようになったことだ。見方を変えたら、90年代のバブル経済崩壊後の日本経済が沈滞してほとんど経済成長がみられなかった一方で、ベトナムなどのアセアン諸国が順調に発展していっただけのことかもしれない。ともあれ、それと同時に、かつて高度経済成長を成し遂げた日本人としては、かつての栄光はどこに行ったのかと自問したい気がする。

 そうした経済発展を遂げつつあるベトナムのような国は、文化の面でも余裕が出てきたものとみえて、最近、かなり進歩したのではないかと感じる。というのは、平成23年に代々木公園で「ベトナム舞踊・アオザイショー」を見たときは、特に舞踊は、まだまた粗削りだなと思ったものである。ところが、今回、同じ代々木公園で行われた「Vietnum Traditonal Music Puppet Show」(ベトナム伝統音楽人形ショー)は、ベトナム人の器用さと洗練された伝統芸が程よく混ざりあって、なかなか芸術水準が高くなったと感じる。もちろん、芸術性の善し悪しは、これを演じるパフォーマー集団の質に左右される。その点、今回のパフォーマーは、ベトナム文化スポーツ観光省から派遣されたと言っていたから、それだけに演技がよかったのかもしれない。ただ、惜しむらくは、演目や内容についての説明が全くないものだから、我々観客も、どういう踊りなのか理解が今ひとつだったことだ。こういう点は、公演のパンフレットかホームページにでも載せておいていただければよかったのではないかと思う。

 ということで、私が勝手に命名した踊りの順序に従って、以下に写真を並べていきたい。なお、私はカメラを「キヤノン EOS70D」から、「ソニーα7III」のフルサイズに切り替えたので、この写真がEOS70Dで撮る最後の写真となる。早い動きにも、結構付いていくことができて満足している。

 余談だが、今回のフェスティバルでは、メインステージのほかに特設舞台でベトナムの水上人形劇(ムアゾイヌオック)が披露されたようだが、私は既にハノイや平成26年9月に横浜で見学しているので、今回はパスをした。また、会場では私の好物のドリアンが売られていた。やや小ぶりのものの値段を聞くと、重さを測ってくれて3,250円だという。現地価格の3倍だが、日本で売られている売価の半値だ。それならばと購入し、その場で食べてみた。ところが収穫してから日が経つせいか、やや乾燥が進みすぎて匂いは弱い。肝心の味はといえば、ドリアン特有の、あの高級チーズのようなねっとりとした感触があまりない。やはり、値段相応の味だった。


(1)蝶踊りと旗振り


旗振り


 さて、メインステージでのベトナム伝統音楽人形ショーの様子である。最初は、男性が出てきて、カラフルな旗を両手に持ってそれを振る。どういう意味があるのかわからない。だから、「旗振り」としか表現できないのだけれども、共産国らしくマスゲームを行うときなどに使われるのかもしれない。

旗振り


蝶踊り


蝶踊り


 次に、腰周りに蓮の花のようなピンク色の花びらを付けた華やかな女性ダンサー5人が登場し、優雅な踊りを見せる。ピーターパンに出てくる妖精ティンカーベルのようで、なかなか美しい。1人で両手を左右に動かしたり、5人が横に並んだり縦になったり、まるでマスゲームの小型版だ。次に場面転換のようで、男性が出てきて、笛で鳥のさえずりのような音を出す。耳が痛くなるほど大きな音だ。

蝶踊り


蝶踊り


 それが終わると、再び男性による旗振りがひとしきりあってから、また女性ダンサーが登場した。今度は蝶の羽根のようなものを見に付けている。これは優雅としか言いようがない。ただ、惜しむらくは蝶の羽根が内側に描かれていることで、外側にも全く同じように描くと、もっと見栄えがするのではないかと思った。


(2)カルメン人形


カルメン


カルメン


 突然、カルメンの曲が流れてきた。ベトナムとカルメンとは結びつかないなと思っていたら、上下が黒でスカートが赤の女性ダンサーが現れて、スペイン風の踊りを始めたから、一瞬、違和感を覚えたが、なかなか上手なので、面白いと思って観ていた。

カルメン人形


カルメン人形


カルメン人形


カルメン人形


 すると、男性が操り人形を持って登場した。それを合図に、3人の女性ダンサーがいずれも「カルメン人形」を持って踊りだした。なるほど、これがこの劇団の本業のようだ。ダンサーたちは、人形を操りながら、しかも自分で踊らなければならない。踊るだけでも大変なのに、一人で踊り手と操り手の二役をこなすという活躍ぶりだ。しかもよく見ると、例えば、人形がスカートの端を持ってたくしあげたりするほどの細かい操作をやったりしている。おっと、人形を振り回し始めた・・・色々とやるものだ。加えて、ダンサー全員が左手を上げてポーズをとっていた場面があったが、実は人形の方も同じポーズをし、そのためにダンサーは左手に操り糸を持っているという芸の細かさだ。それを客席には笑顔を振りまきながら行うのだから、これはこれでかなりの修練が必要だろうと思う。感心してしまった。

ベトナム女性人形


ベトナム女性人形


 やがて場面が変わって、今度は主役がカルメン人形からベトナム女性人形になった。女性と男性の操作者が、腰位の高さの人形を操る。今度の人形はベトナムの農民がよく被る日よけ傘(ノンラー)を持っているから、それだけ操るのが難しい。ところが、この日よけ傘が表現のポイントであるから面白い。それを身体の前に密着させて持つか、それとも片手でやや上向き加減にするかで、受ける感じが全く異なってしまう。私は飽きずに、その日よけ傘の持ち方を眺めていた。

ベトナム女性人形


ベトナム女性人形





(3)ろうそく踊り


ろうそく踊り


ろうそく踊り


 次の出しものは、私もこれを何と言うか表現するに困って、「ろうそく踊り」とでも言っておこう。宗教的意味がありそうなのだが、例によって説明がないので、よくわからないのが残念なところである。舞台の真ん中に「ろうそく」が添えられた花籠が恭しく置かれて、その前でグリーン色の衣装に身を包んだ一人の女性ダンサーが踊る。そのうち、花籠から両手に3本ずつ、火を灯したろうそくを持って踊る。まるで、巫女さんのようだ。やがて、ピンク色の衣装の3人の踊り手がそれを支えるように一緒に踊る。それから、先程の花籠を頭に載せて踊り出す。そのうち、鉦を持ったオレンジ色の踊り手も入ってくるといったものである。ともかく、優雅で賑やかで、カラフルで陽気で、かつ楽しいひと時を過ごすことができた。主催者と出演者に深く感謝したい。

ろうそく踊り


ろうそく踊り


ろうそく踊り









 ベトナム伝統音楽人形ショー( 写 真 )




(2019年6月9日記)


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