iPhone6プラスを購入

iphone6plus500.jpg



1.アメリカ・アップル社は、2014年9月9日(日本時間10日)、新型携帯端末のWatchとともに、スマートフォンのiPhone(アイフォーン)シリーズ最上位新機種である「iPhone6」と「iPhone6プラス」を近く発売すると発表した。前者の「6」が4.7インチ、後者の「6プラス」が5.5インチと、従来の「iPhone5」の4インチから、ひと回りもふた回りも大きくなった。ところが私はこの発表のときには、むしろWatchの方に気をとられていた。そしてiPhoneについては、「ああ、iPhoneが大きくなるのか、これで買い替え後は現在のiPhone5の4インチという、あんな小さい画面を見なくて済むなぁ」という程度の感想だった。

 そう考えていたところ、新聞によるとiPhone6は世界中で人気を博していて、12日に予約を開始したら世界中で24時間に400万台もの予約注文があったそうな。とりわけ大型の「6プラス」は、画面が大きいだけに生産工程での歩留まりが悪くて、2ヶ月待ちだろうという。私の現在のiPhone5についての2年契約が切れるのが今年の11月だから、それまでに2ヶ月ある。とすれば今は9月中旬だから、ここで申し込んでおくべきだろうと考えた。でもauのショップに足を運ぶ暇はないなと思いながらauのWebサイトを見てみたところ、インターネット申込みというのがあった。そこでは料金プランなども合わせて申し込めるから、時間の節約になる。よし、これでいこうと思って、家内のものと合わせて2台分を申し込むことにした。それが13日(日本時間)の夜のことである。今から思うと、アップルが予約を開始した、まさにその日だった。

 まず機種は、5.5インチという大型のiPhone6プラスにした。これまで、小さな画面のiPhone5をいつも覗き込んでいて、こんなことをしていては、そのうち目が悪くなると思っていたからである。次に料金については、au特有の妙な用語、例えば「カケホとデジラ」などというのは馴染みがないものの、説明を読んでいくと何だ、簡単なことだった。結局、私はかけ放題+定額データ通信5GB、それにiPad用のテザリングオプションとし、家内のはかけ放題+定額データ通信2GBにした。私たちは家のWifiを使うことが多いから、定額データ通信の容量はあまり多くなくてよいのである。予約の台数はdocomoでは一人1台に制限されていたが、auでは、二人分を一緒に申し込めた。ありがたい。これが全て終わったのが、9月13日の土曜日の真夜中のことである。さてこれから、2ヶ月後の吉報を待っていようという気持ちであった。

2.私は、iPhone6シリーズがいつから発売になるのかよく知らなかったけれど、どうやら19日(金)からだったらしい。この間、日本のdocomo、auそしてSoftbankの携帯大手3社は、この発売直前まで、料金設定や端末の下取りキャンペーンなど、顧客獲得に向けてぎりぎりの駆け引きを続けたようだ。まず最初、auとSoftbankの2社が、接続料金や端末の価格と割賦販売条件を発表したが、docomoは決めきれなかった。かつてdocomoは、iPhoneの取り扱いを巡ってアップルと大いに揉めた。その結果、Softbankと数年遅れでそれに続いたauに後れをとって顧客の大量流出が続き、文字通り一社負けの状態となっていた。それが昨年ようやく取り扱いに参入することが出来て、流出に歯止めがかかりつつあるという土俵際の状態である。そういう訳で、まさに今が顧客の獲得の正念場となっているから、慎重になっていたのだろう。そして、あっと驚く旧端末の下取りキャンペーンを発表した。他社のSIMロックがかかったiPhoneを、しかも元の値段の半額という高額で下取りするというのである。考えてみれば当たり前で、そうしないと他社から乗り換えさせることができないからだ。

 するとその直後の9月17日、Softbankも、他社のSIMロックがかかったiPhoneを下取りすると発表した。これはdocomoと全く同じ内容である。さて、私がWebで申し込んだauはどう出てくるかな、同じ内容を出さないと独り負けだろうな・・・などと思いつつ、同じ17日の真夜中にauのWebページを調べたところ、対抗策が書かれていた。「下取りキャンペーン」として「他社の携帯電話をご利用中のお客さまが、MNPを利用して2014年7月25日以降発売の4G LTE対応のauスマートフォンを新規契約いただいた場合、他社の携帯電話を最大4万3200円相当で下取りするおトクな特典」を付与するそうだ。額も内容も全く同じだ。消費者にとって、これは大歓迎するところである。それにしてもiPhone5の64GBが3万2400円、iPhone4Sが2万4840円なので合計すると5万7240円だって・・・そんなに・・・買ったときの半額に近いではないか、これを大盤振る舞いと言わずして何と言おうか・・・まるで仁義なき闘いだなと他人ごとながら心配するけれど、新興国にでも持っていくのであろうか。それにしても、通信業界というのは妙な世界だ。

3.まあ、私は門外漢だからどうでも良いし、そもそも手に入るのはかなり先だから、その間にまた状況は変わるだろうと、のんびりと構えていた。すると、9月18日の午後2時40分、突然次のようなメールが入った。

【au予約商品入荷のお知らせ】iPhone 6 Plus ゴールド 128GB
大変お待たせいたしました。ご予約いただいておりました以下の商品が入荷いたしましたので、ご来店をお待ちしております。
 予約番号 :85XXXX
 予約店舗 :ビックカメラ
 予約機種 :iPhone 6 Plus ゴールド 128GB
 申込内容 :MNP新規
 予約商品のお受取りにあたり、来店予定日のご登録をお願いいたします。http://au-order-mail.kddi.com/  なお、お取り置き期間は明日より3日間とさせていただいております。やむを得ず、お取り置き期間の3日を超過する受取りを希望される場合、お手数ですがご予約店舗までお問い合わせください。また、事前準備をお済ませのうえ、ご来店いただくとスムーズに商品のお受取りができます!
 ・料金プラン、オプションサービスの事前登録 ・データのバックアップ ・契約に必要なご本人さま確認書類等の準備
事前準備の詳細は、以下URLにアクセスしてご確認ください。詳細はこちら http://au-order-mail.kddi.com/
【その他のご案内】ご来店の際には、本メールならびに契約に必要なご本人さま確認書類等を必ずご持参ください。


 そして1分後に今度は家内の分について同じ内容のメールが入った。入手出来るのは2ヶ月くらい先だろうとのんびり構えていたので、これには驚いた。でも、最新版が入手できるこんなまたとないチャンスを逃すことはない。善は急げとばかりに翌日の昼に引き取りに行くこととして、その旨を登録した。他方で現在のiPhone5のバックアップを済ませ、その日のうちにSoftbankの店でMNPつまり電話番号の転出証明書を貰った。その費用は、MNP証明書の作成に2160円、iPhone5の残債が1万2000円、2年契約中途での解約ペナルティが1万260円の、合計2万4420円である。それに家内の分は残債がないので、1万2420円だった。合わせて、3万6840円か・・・ならば、私の古いiPhone5の64GBの下取り価格3万2400円と大差ない。なるほど、こういうところに下取りが効いてくるのかと感心した。

4.それで、翌日19日のお昼にビックカメラに行って、iPhone6プラスを2台、受け取ってきた。あらかじめ契約内容を登録して行ったから、確認されることも特になく、スムーズに手続きが済んだ。そのとき、既に下取りキャンペーン対象のiPhone5の64GBと、iPhone4Sを初期化(リセット)し、かつ買ったときの化粧箱に入れて持って行った。ところが、化粧箱は必要ないといわれ、本体だけで良かった。しかもその場でちょっと動かしてみる程度のチェックだった。しかし、その場で約束した額の半額をポイントとして与えられるにとどまり、残りの半額はチェックの上で来年2月にauWalletに入金するという形で交付するそうだ。auWalletというのは何なのかよく分からないが、コンビニか何かの支払いに使えるらしい。それで下取りキャンペーンなどというのは、いささか誇大広告のように見えるけれども、実質的にSoftbankからのMNP証明書代金と2年契約の違約金が出れば、それで良しとしよう。

 ところで、これで月額の費用はどうなったのかというと、私はかけ放題、接続料金、定額データ通信5GB、それにiPad用のテザリングオプションでそれぞれ2700円、300円、5000円、0円(2年間)、家内のはかけ放題+定額データ通信2GBで2700円、300円、3500円。だから、合わせて月に1万4500円だ。これから、固定回線とセットで、私から1410円、家内から934円が割り引かれるから、結局、1万2156円となる計算である。このほか、分割支払金が、私が4140円、家内が3555円なので、先の分と合わせると、月に1万9851円となるはずだ(ただし、下取りがあるので、当初3ヶ月ほどは分割支払い金は請求されない。)。従来は、月に1万6000円から1万8000円くらいだったから、まあ、そんなものかもしれない。(【後日談】を参照)

5.新聞によると、アップル表参道店では19日午前8時の発売開始を前に1000人以上が行列を作り、開店と同時に店員がハイタッチで客を出迎えたという。中には16日午後2時から並んでいた会社員もいたらしい。しかし、私が行ったビッグカメラでは、お昼に行ったせいか行列もなかったしそんな高揚感を全く感じさせられることなく、ほとんど待たされないでカウンターに行けた。だから、今でもそんな狂想曲騒ぎがあったなんて本当かなという感じである。ところがそれどころか、22日になってアップルは、「iPhone6」と「iPhone6プラス」の合計販売台数が、19日の売出し日を含めて発売後3日間で1000万台を超え、過去最高を更新したと発表した。私と家内のは、そのうちの2台だ。そんなつもりはなかったとはいえ、狂想曲に加担したかと思うと、いささか面映ゆい。iPhone6のひとつ前の世代である「iPhone5s」と「5c」のときは、発売日を含めて3日間で900万台超を販売していたが、「6」と「6プラス」はこれを上回る販売台数である。主要市場の中国ではまだ販売していないというのに、滑り出しはなかなか好調ではないか。

 参考までに、スマートフォンの各社のシェアをIDCの調査でみてみた。2014年4〜6月の統計で、まず日本では、アップル(iPhone)43.6%、ソニー18.3%、シャープ14.3%、韓国サムスン10.2%、京セラ6.1%で、アップルが圧倒的なシェアを誇る。ところが世界では、アップルは韓国サムスンの後塵を拝している。つまり、韓国サムスン24.9%、アップル11.7%、中国ファーウェイ(華為技術)、中国レノボ6.7%、韓国LG電子4.8%で、日本勢は影も形もない。

6.さてそれでは、「iPhone6プラス」の使い勝手はどうかというと、電話にしては大き過ぎるというのが第一印象である。とりわけ、合わせて購入した手帳型カバーのスピーカーに相当する部分に穴が開いていないので、電話をするときに、いちいちカバーを開けて喋らなければならないのは不便だ。まだ発売されたばかりだから、カバーのチョイスが少ないのは仕方がないけれど、もう少し経って適当なカバーが出たら、買い換えようと思う。あるいは突飛なようだが、スピーカー部分に道具で穴を開けてしまうのも手だ・・・と思って、翌日パンチ穴を開ける機械で本当に横長の穴を開けた。すると綺麗に出来て、音が良く聴こえるようになったのは、まるで笑い話のようである。

 その反面、情報端末としては、これに勝るものはない。何しろiPhoneだから、従来からのアプリはそのまま使えるし、検索その他何もかもスピードが速くなった。電池の持ちも良くて、これまでは6時間も使えば終わりだったが、半日は持ちそうだ。積んでいるメモリーもかなり大きいようで、情報量が多くてメモリーを食うEvernoteやi手帳もサクサク動くし、いくつアプリを開いても、落ちることはなくなった。これなら、重たくて持ち歩きにくいiPadを開く回数が減りそうである。それから、これはiOS8に変わったからだろうが、「メモ」に写真を貼り付けられるようになった。これは便利で、何かを思いついたときなど、写真とともにメモを取ることができる。ますます活用出来そうである。

 それに、TouchIDつまり指紋認証機能は使い勝手を非常に良くしてくれている。最初の立ち上げの画面でホーム・ボタンを押したらそのまま指紋認証となって直ちに開始することができる。加えてこの機能はKeeperなどのソフトも連動しているから、それらにいちいち数字を打ち込まなくてもよい。また従来は、新しいアプリをインストールするたびにアップルIDを入れる必要があり、そのほかも何かと数字を打ち込む場面も多かったが、これもTouchIDで済ますことができる・・・というわけで、こんな便利な情報端末はないと思っている。ただ一つ困ったことは、大き過ぎてワイシャツのポケットに入らない。ズボンのポケットも、腰周りがゆったりとしているズボンはともかく、ジーンズのポケットに入れるのは、とても無理だ。背広なら内ポケットに入るけれど、夏の省エネ・スタイルの時は困ってしまう。いっそ、首にでもぶら下げたい気分である。






【後日談】その後1週間ほどして、「iPhone6」と「iPhone6プラス」を入手したレポーターから携帯大手3社を比較した記事が書かれるようになった。その人によっていろいろで、それぞれ注目している点が違うが、ここでは、価格通信速度を取り上げよう。

 まず価格は、当初2年間の支払い総額に限っていうと、auが圧倒的に他社より安い。例えば他社からauにMNPで乗り換えるケースでは、docomoが17万8740円、Softbankが14万8889円に対し、auは11万3490円となっている。これは、私が当初、自分で試算したものより、「auにかえる割 Plus」というものがあって、要するに「LTEプラン」の月額基本料934円(税抜)を最大24ヶ月間にわたって無料にできるからである。大盤振る舞いもいいところで、これこそ文字通り、うれしい誤算というものだ。

 次に通信速度は、これもauが他社を圧倒している。都内の任期待ち合わせ場所前で各社の通信速度を比較したところ、ダウンロード速度ではauが41.46Mbps、docomoが29.89Mbps、Softbankが24.44Mbpsであった。その理由として言われているのは、iPhone6が新たに対応した「TD−LTE」と「キャリア・アグリゲーション(CA)」だそうで、前者は「WiMAX2+」として運用し、後者は「4G LTE」を800MHzと2.1GMHzの2つのバンドを束ねて運用しているからだそうだ。現に私も試してみたが、驚くほど速度がはやくて、満足している。


(2014年9月26日記)


続きを読む >>
カテゴリ:エッセイ | 23:21 | - | - | - |
インターネット通信費用の見直し

葛西臨海公園の曼珠沙華



1.私の家の通信環境は、つい先月まで高速インターネット接続がUCOM光というプロバイダーで、月4752円、これにテレビ用の東京ケーブルテレビが月4104円、そしてケーブルテレビで使っているKDDIのIP電話が約2500円なので、合計すると月約1万1400円ほどであった。つまり、これらの通信環境を維持するのに年13万6800円かかり、これにNHK衛星契約が年2万4770円だから、年間で16万1570円を支払っていることになる。もちろんこのほかに夫婦二人のiPhone携帯電話代があってそれは年間で20万円ほどだから、それに比べればこの通信環境の方は大したことはないので、これまでさほど気にならなかった。ところが、とりわけインターネット接続について、近頃よくチラシが投げ込まれるようになった。それを見ると、次第に高いなあと思うようになった。

 それには、「auひかりご利用可能棟入居者様向け期間限定サービス集中受付のお知らせ」とあって、高速インターネット接続が月2866円になるから、それだけでも月1886円、1年間で2万2632円もの節約となる。この接続サービスを利用してさらにauのスマートフォンを使えば、月1440円分、その通信料から差し引いてもらえるそうだ。家内と二人で2880円だから、1年間で3万4560円となる。両方合わせると年間約6万円の節約だ。これなら、見直す価値はありそうだと思ったのである。

2.ところで、なぜ高速インターネット接続がUCOM光というプロバイダーだったのかというと、話は今から9年前の2005年にさかのぼる。当時、私は住んでいるマンション管理組合の理事長をしていたのであるが、新興の(株)USENという会社がやってきて、「当マンションの地区をインターネット接続サービス地区に加えた。月額回線利用料は、4800円、モデムレンタル料900円、メールサービス300円、IP電話500円という料金を適用するから、機器を置かせてほしい」と言ってきた。回線速度を聞くと、100Mbpsというから、これはその当時の最速である。その頃、私が使っていたADSLの最高速度が10Mbpsだったので、少なくともその何倍かは出るはずだ。このクラスの速度だと当時は1万円が相場だったから、その半額だ。これは思い切った価格設定だと思ったし、事実その通りであった。

 しかし、仮にそれがマンションまでは光ファイバーであるものの各部屋までは既存の電話線を使うという仕組みの場合だったらかなり速度が落ちると聞いていたから、そうなのかと聞くと、「いやいや当社は既存の電話線の管の中に光ファイバーを通す技術を持っているから、まさにFTTH(Fiber To The Home)、つまり各部屋まで光ファイバーを通します」という。これが決め手となって私は納得し、皆さんに推薦することにした。すると、わずか1ヶ月間に、全戸数の3分の1もの部屋がこの回線を敷設することにしたので驚いたことを覚えている。ただ、敷設した後で回線速度を計測してみると、30Mbpsくらいだったから、公称の3分の1しか出ていなかったが、それでも相当速いと感じたので、十分に満足していた。

 ところが、それから月日が経ち、このUSENという会社が左前になったのかどうかは知らないが、せっかく始めたこの光ファイバー事業(インターネット接続事業)をプロバイダーのソネット(Soーnet)に譲渡した。確かその頃にspaaqsという事業名になり・・・それで結局UCOM光となり、つい最近、その会社が丸紅アクセスソリューションズ株式会社に吸収合併されて確かアルテリアネットワークス社とかいう名前になったらしいが、詳しくは承知しない。ともあれ、個人相手のインターネット接続事業としては相変わらずの形で続いているのだが、料金もサービスも当初のままで、少しも改善されないのである。

 たとえば、電子メールのボックスの容量は確か当初の20MBのままなのだ。いまどき、一つのメールの添付ファイルサイズが10MBというのも珍しくないのに、それが二つ来るともうボックスが一杯になってしまう。これでは全く使えない。それから、実に困るのが、どういうわけかこのメールアドレス宛に強力なウイルス付きメールが年に数回ほど送られてくることだ。こちらのパソコンではNortonがそのたびに検知して刎ねてくれるから良いものの、こんなメールくらい、システム側で排除することが当たり前だろうと思うのだが、どうもそうではないらしい。それやこれやで若干の不満を抱えていたものの、まあ長年加入していることだからと、鷹揚に構えていた。ところが、最近になって、冒頭に述べたチラシをよくよく読んでみて考え直した。

3.というのも、つい最近、KDDIがこのマンションに光ファイバーの機器を設置したのだが、これを利用したときの価格が、前述のようになんと月2866円なのである。しかもこれには、有名な接続業者であるSo−netの料金も含まれている。加えて、auのスマートフォンを使えばもっと安くなる。これでは、替えた方が良いと思うようになった。調べてみると、マンションまでは光ファイバーだが各部屋までは既存の電話線を使うという仕組みらしいから通信速度は落ちると思われるが、それでもこの価格は魅力的である。それに、ケーブルテレビで使っているIP電話がたまたまKDDIだから、そのまま移行できる。ついでに東京ケーブルテレビも、番組表の送付をしてこなくなった頃からあまり見なくなったので、こちらも止めてしまおうということになり、解約を通告した。すると、衛星放送が入らなくなったので、NHKの契約が衛星から地上波1万3990円となって、こちらもお得になった。

 こうやって乗り換えて約1ヶ月が経過したが、インターネットは誠に快調である。一番驚いたのが回線速度で、これまでの30Mbpsから43Mbpsと、かえって大きく改善したことである。もちろん、同じマンションで何軒が使うかによってこの数字は異なるが、それにしてもこれほど早くなるとは思いもしなかった。もう一つは、同じKDDIのIP電話なのに、東京ケーブルテレビ時代より音質がはるかに良くなったことである。理由はよく分からないが、通信速度が速いのと、機械が新しいからなのかもしれない。これも嬉しい誤算である。

4.ということで、通信環境とNHK契約の見直しで、年間8万2660円もの節約となった。それどころか、加入して45日が経ったからというよくわからない理由で、Soーnetから「KDDI指定代理店限定 So-net 光 (auひかり) 20000円キャッシュバックキャンペーン」とやらで、私の銀行口座に2万円が振り込まれてきた。これとさきほどの額とを合算すると、これから1年間は10万2660円もの節約だ。もっとも、この2万円は2年間分ということだから、9万2660円という方が正しいかもしれない。いずれにせよ、この2年間のインターネット接続料金は月2866円から1666円を差し引いて月1200円となった。以前の4分の1ではないか・・・どうなっているのだろうと怪訝に思うほどの大盤振る舞いだ。やはり独占というのはよくない。競争環境がないとこれほどまでにぼったくりの対象になるのかと改めて思った次第である。

 これは乗り換えて良かったと考えていたところ、私のマンションにまた新たなチラシが入った。UCOM光からである。それによると、月額基本料金が2800円のところ、それを2年間1990円、2年目以降は1640円とするというのである。「ええっ、月額基本料金が2800円だったのか、すると私が9年間にわたって支払ってきた月4752円以上という金額は一体何だったのか」という悔しい思いである。そうか、実はとっくの昔に償却が終わった設備でしこたま儲けていたというわけか。そういうときに、私のような「脱退者」が出て、しかも私がご丁寧にその理由までこれこれしかじかと詳しく説明してあげたことから、UCOM光としては焦って極端な値下げで対抗してきたものとみえる。でも、まだSoーnetのレベルには追いついていないのはご愛嬌だ。

 これは、携帯電話会社のやり方と同じ構図である。あの世界においても、長年の加入者から高い料金をとる一方で、MNPを使って他社から乗り換えてくる客に大きな額の報奨金を渡すという商売を長く続けていた。最近は総務省の指導で下火になったようだが、iPhone6が発売されたから、いつまた再燃するかもしれないといわれている。これもまた、今回、私がされたように、長年の加入者を犠牲にしつつその上に立って、他社からの乗換え客を優遇するものである。それにしてもこのUCOM光、私が9年間にわたって月4752円以上もの料金を支払ってきたのに、新規顧客は月1640円とは、いやはや馬鹿にされたというか、コケにされたというか、我ながら呆れてものも言えないほどだ。

 しかし、過ぎたことは今更言っても仕方がないから、かくなる上は、他で取り戻すことにしたい。ちょうどスマートフォンの2年契約がこの11月に切れるので、それを契機にMNPを使ってauかdocomoに乗り換えることにしよう。家内と一緒にすれば効果も倍だろうと、各社の料金プランが出揃ったところで、比較してみようと思っている。auひかりを使っているので、通信料から差し引かれるのが家内と二人で月2880円だから、それだけで1年間で3万4560円の節約となる。これに加えて年末になれば新たなサービス料金が出るかもしれないので、大いに期待したい。

5.ここまで書いたところで、2014年9月9日(日本時間で9月10日)、アップルがiPhone6の発売を発表した。私も家内もiPhone 6 plusにして、それぞれ128GBと16GBにするつもりだ。現在はSoftbankだけど、iPhone自体には問題ないが、オフィスでの電波が弱いのが問題である。電波のインジケーターが4本中、1〜2本しか立たないのだ。都心の真ん中にあって、この有り様である。皇居の方向を向いているからかもしれない。だからMNPを使って転出しようと思う。転出先としてauは、auひかりとのセットで家内と二人で月2880円も割り引かれるのが有利である。しかし、現在使用中のiPhone5を下取りしてくれないので困る。SoftbankのiPhone5を下取りしてくれるのは、docomoだけで、最高4万3200円という思い切った値段だ。私と家内の機種は5と4Sだから、合わせて4万円として・・・それでもauひかりのおかげで通信料から差し引かれる月2880円と比べたら、大したことがない。やはりauにしようかなと傾きかけているところである。


【後日談】

 この直後の9月17日、Softbankも、他社のSIMロックがかかったiPhoneを下取りすると発表した。さて、auはどう出てくるのかな・・・などと思いつつ、同じ17日の真夜中にauのWebページを調べたところ、対抗策が書かれていた。下取りキャンペーン」として「他社の携帯電話をご利用中のお客さまが、MNPを利用して2014年7月25日以降発売の4G LTE対応のauスマートフォンを新規契約いただいた場合、他社の携帯電話を最大4万3200円相当で下取りするおトクな特典」を付与するそうだ。消費者にとって、これは大歓迎するところだ。それにしてもiPhone5の64GBが3万2400円、iPhone4Sが2万4840円なので合計すると5万7240円だって・・・そんなに・・・これを大盤振る舞いと言わずして何と言おうか・・・他人ごとながら心配するけれど、新興国にでも持っていくのであろうか。それにしても、通信業界というのは妙な世界だ。



(2014年9月16日記、17日追記)


カテゴリ:エッセイ | 23:40 | - | - | - |
ベトナムの水上人形劇

001.jpg



 ベトナムの水上人形劇(ムアゾイヌオック)が行われるというので、横浜の赤レンガ倉庫に行ってきた。もともとこの催しは、代々木公園で開かれるベトナムフェスティバル2014の一環だった。ところが、その開催場所の代々木公園では、今年の夏にどういうわけかデング熱のウィルスを保有する蚊が発生して、これまでに100人を超える患者が確認された。しかもその数がどんどん増えているのに、未だ蚊の駆除が確認できていないという有り様であることから、開催の1週間ほど前になって急きょ中止されたものである。

 私は、17年前にベトナムに行く機会があり、そのときにこの人形劇をハノイの劇場で観たことがあるので、今回行われる人形劇をぜひまた観てみたいと、見物を楽しみにしていた。中止になるかもしれないと一時はやきもきしていたが、嬉しいことに、場所を変えて横浜の赤レンガ倉庫において行われることになったので、家内と一緒に出掛けたというわけである。

 自宅から千代田線に乗って明治神宮前駅で副都心線に乗り換え、みなとみらい線に直通の電車で行くと、1時間ちょっとで着く。ちょうどお昼ごろに元町・中華街駅に到着したから、そのまま横浜ニューグランド・ホテルに入って食事をした。それから日本大通り駅に戻って、そこから横浜税関の脇を通り赤レンガ倉庫まで歩いた。海風が心地よく、青い空に筋雲が出ていて美しい。その中にあって赤いレンガの倉庫は、なかなか洒落た雰囲気を醸し出している。その赤レンガを背景に、水上人形劇の舞台が設えられていた。

001.jpg


001.jpg


001.jpg


 ポンポコ、ビューンビュンビュンと打楽器と弦楽器の音が聞こえてきて、劇が始まった。向かって右手に楽器の奏者、左手に歌い手がいる。舞台上に目をやると、正面の簾の陰からふんどしのようなものを締めた農民のおじさん人形が出てきた。開演の口上を述べているらしい。おお、いきなり2匹の龍が出てきた。口から煙が出ているので、花火を咥えているのかもしれない。何しろ地面に当たるところが水だから、いくら火を使ってもよいようだ。

 おやおや、今度は龍がお互いに水を掛け合っている。その動きが早くて、しかも水の舞台を右から左まで広く使っているから、見ていて飽きない。まさに龍神様という気がしてきた。こういう神様に田圃が守られているのだろう。水牛に乗った笛吹童子が出てきたと思ったら、2人の農夫が水牛で田圃を耕している。次は、農民の女性が2人出て来て、腰を屈めて何やら植えている。ああ、これは田植えではないか。日本でも農村の長閑な風景であるが、それはベトナムでも同じなようで、植えたばかりの苗床を前にして、嬉しそうだ。やはり、あちらも稲作農村国家であるらしい。

001.jpg


001.jpg


001.jpg


 さきほどの農夫のおじさんと、竹籠を持ったおばさんが、何やら犬のようなものを追いかけ回している。これは面白い。舞台の一方では、家鴨の一団がヒョコヒョコと出てきて、その犬が隙を突いてそれを狙っている。おじさんとおばさんが怒って追いかけっこが始まる。ああ、間違っておばさんがおじさんの頭を竹籠に入れたりして、もう滅茶苦茶だ。そうこうしているうちに、とうとう家鴨の一匹が犬に咥えられてしまった。ちなみに、私が「犬」だと思った動物は、どうやら狐だったようだ。

001.jpg


001.jpg


 場面が変わり、一転して色々な楽器を演奏する一団が出てきた。顔からして楽しそうな雰囲気で、日本で言えば、さしずめちんどん屋というところか。ああっ、王女様のような二対の大きくて優美な女性と、その侍女というか、舞踊団の女性たちのような数体の人形が登場し、なかなか優雅な踊りを繰り広げた。礼をするのも、両手を広げて舞うのも、なかなか美しい。さきほどの2匹の龍のように、亀や麒麟のようなものまで出て来た。しかし悲しいかな、なにをやっているのかわからない。ベトナム語を少しでも解すると、もっと味わい深いものになったのにと、残念である。

001.jpg


001.jpg


001.jpg


 わずか30分ほどの劇だったが、それなりに楽しめた。惜しむらくは、劇の説明がもう少し丁寧だったならば、もっと面白く感じたと思うのであるが、登場した人形は何かを言う程度のごくごく簡単なものだっただけに、いささか残念であった。見終わったあと、家内と異口同音に言い合ったことは、この人形たちをどうやって動かしているのだろうという疑問である。水の深さは浅いので、人が潜って操るには全くの不向きである。簾の中から操るにはいささか遠いし、しかも登場人物が多いと混線してしまうのではないかと心配する。そういえば、劇の最後に出て来て。挨拶をしてくれた人形操者たちは、腰から下だけが濡れていたなと思い出した。これは分からないと思ってネットで調べてみた。すると、まずこれは11世紀頃からベトナム北部の紅河デルタの農村地帯で演じられている伝統文化だという。その人形を操る方法だが、竿の先で人形を支えて糸で首や手の操作をするようだ。それだけに難しく、簡単な人形で1年、難しいもので5年の経験が必要だという。上演される物語の多くは民話や伝説に基づいているらしいが、まるで知識がない。日本の歌舞伎の筋と似たようなものであろうか。

001.jpg


001.jpg


 最後に、少し港の雰囲気を味わおうと、シーバスに乗ってぷかり桟橋へ行った。ちょうど帆船が入港していて、その出港の様子を眺めた。そこの2階でお茶をしてベトナムについて語り合い、みなとみらい駅から乗って帰京した。

001.jpg


001.jpg







(2014年9月13日記)


カテゴリ:エッセイ | 22:36 | - | - | - |
| 1/1PAGES |