初孫ちゃんは3歳半

「さくらぽっぷ」さんイラスト



 土曜日の朝、初孫ちゃんのお世話を3時間だけ、引き受けることになった。両親が帰ってくるお昼までの間、一緒に動物園に行こうという計画である。初孫ちゃんの紅葉のような小さな手を握り、タクシーに乗って近くの動物園へと向かう。まず、正面のお花の前で記念写真を撮った。以前の初孫ちゃんは、写真の被写体になろうとするその瞬間、右肘を挙げて右手でしっかりと「」の字を作ったうえで顔を傾げていた。しかし最近では、それほど几帳面にはしなくなり、どうかすると「」の字が一本指になってしまったかのごとくちょこんと頬に添えるくらいになってしまったのが、むしろ自然で微笑ましい。その小さなモデルさんの写真を撮った後、動物園の中をどんどん進んで行った。

 虎のところに来た。「Oh! Tiger!」と叫ぶ。インターナショナル・スクール系の幼稚園に通っているから、日英両語がちゃんぽんになってしまっている。「Tigerはどうやって吠えるの?」と聞くと、そんなに開けなくてもいいのにと思うほどに口を縦に大きく開けて、「ガ〜オー〜ッ」と叫ぶから、思わず笑ってしまう。それを見て、初孫ちゃんもその可笑しさに気付いたらしくて、今度は口を横に大きく開けて笑う。表情豊かによく笑う子だ。

初孫ちゃんが撮った自分の両足の写真



 ライオンがいる。寝ていたライオンが一瞬の間だけ起きて回りを見渡し、たてがみのある顔を直立させていたが、すぐに倒れて眠ってしまった。それを見た初孫ちゃん「Lion!」と叫ぶ。うむ、結構良い発音だ。なるほど、英語として様になっている。そのライオンを指さす姿を写真に撮っていると、カメラに興味を持ったらしくて、貸してくれという。そこで、一眼レフカメラの紐を首に掛けてあげて、このボタンを押すんだよと教えたのである。すると、シャッターを押し始めたのだけれど、レンズを被写体に向けていないから地面を撮るばかり。しかも、連写モードになっている中、強い指の力でシャッターを押し続けるからぼけた地面の写真ばかりが撮られていく。中には自分の両足を撮った面白い写真もあったが、これだけではつまらない。「いやいや、こうやって相手に向けて撮るといいよ。ほらね」と教えたら、何と私にレンズを向けたので、指で「」の字サインを作って大きく笑った。すると、距離が近すぎて、私の顔だけが画面いっぱいに広がっている怖い写真がとれた。「おお、これはすごいね」というと、笑ってうなづく。

初孫ちゃんが撮った虎の写真



 それからというもの、ライオンの写真を撮りだしたが、これは動かないのでつまらないことに気付いたらしい。そこで、檻の中を動き回る虎の写真を撮らせたら、こちらの方がダイナミックで面白がったのだけれど、虎が自分の前を通り過ぎる頃にようやくシャッターを押し始めるから、結局のところ、虎のお尻しか写らない。そこで、虎さんがちょうどこちらにやってくる頃に構えてシャッターを押せばよいと教えたら、何枚か失敗したものの、やっと1枚、うまく撮れた写真があった。それを見つけて、2人して大喜びをした。「よく写したねぇ」というと、満面の笑みを浮かべた。

 その嬉しがっている姿をiPhoneで撮っていたら、「おじいちゃん、それ貸して」と言われた。それで、一眼レフとiPhoneとを交換した。メカが好きらしくて、画面を食い入るように見て、アイコンを触っている。携帯電話でやるように、指でギューッと押すようにするから、「いやいや、これはそっとタッチするだけでいいんだよ」と教えたら、手当たり次第にタッチし始めた。母親の携帯電話は、この調子でやられたらしい。こういう場面を予測して、私のiPhoneには、子供の興味を引きそうなものを予め入れてある。確か、金魚すくいと花火があったはずだと思って探すと、それらが見つかったので、まず金魚すくいをタッチした。すると、鑑賞モードになって、緑色の藻の下に出目金や和金が何匹かすいすいと泳いでいる。その画面をタッチすると、水面が揺らぐ。それが面白くて、初孫ちゃんは、ゲヘヘーッ、クックックと面白そうに笑って何回も試している。意外と、ゲーマーの素質がありそうだ。次に、花火のアプリは、最下段の丸やら猫やら魚からのマークをタッチすると、そういう形の花火が打ち上げられるという仕掛けで、これまた気に入って、上がる花火の色や形を楽しんでいた。

 それらをひとしきりやってみて、もう飽きた頃、「さあ、行こうか」と声をかける。「うん」と頷いて坂を下って行くと、キリンのところに出た。「背が高いねーっ」と話しかけると、頷く。柵に近づこうとして道を渡っている途中、初孫ちゃんが「ああーっ」と大きな声を上げた。そして何を言うのかと思ったら「団子虫ーっ」。なるほど、道路の真ん中に小さな小さな団子虫が一匹、這い回っている。初孫ちゃんは、小さな葉っぱを持って、それにちょっかいを出そうとしている。そして「これ、危ない?」と聞く。なるほど、かなり用心深い性格らしい。「いや、噛んだりしないから大丈夫だよ」というと、「お団子虫さーん」と言いながら、その葉っぱでちょんちょんとつついている。いつの間にか、「お」が付く団子虫になっていたので笑う。それが終わると、今度は「アリさーん」といって、視界に突然飛び込んできた蟻を一匹、眼で追いかけている。よくこんな小さい虫で、しかも早く動くものが見えるものだと驚いてしまう。いずれにせよこういうときは、「早く行こうよ」などと無粋なことは決して言わずに、好きなだけ、しかも心ゆくまで目新しいものを徹底的に観察させ、その好奇心を満たせてあげることが肝心だと思う。

初孫ちゃんが撮った花の写真



 ベンチがあったので、それに座り、傍の自販機でお茶を買った。初孫ちゃんに「お茶を飲む? 少し冷たいけれど」と聞いた。すると、「飲む、飲む」というので、蓋を開けて手渡した。口をすぼめて飲む。その様子を見つめていたら、恥ずかしくなってきたのか、リズムを付けてボトルの口を指さして、何やら歌い出した。ついには、ミュージカルみたいに両手を広げたり、体に両手を巻きつけるようにして、楽しそうだ。「それ、クラスでやっているの?」と聞くと、うんうんと頷く。この子の通っているインターナショナル・スクール系の幼稚園では体力重視のようで雨でも降らない限り、ともかく外を歩け歩けだから、手足は真っ黒になって筋肉の塊のようになっている。そうした運動に際しては、いつも何かしらの音楽やリズムが流れていて、それに乗って体を動かしているようだ。だから、何でもないときにも、体が自然に動き出してしまうらしい。ついでに、照れたときは百面相をしてくれるので、可愛い。

 ところが、ちょっとした事件が起こった。親子の熊の像がある遊び場で、少し大きな女の子が母熊の背中に乗って、降りてきた。それを見て初孫ちゃんも登る気になったらしくて、まず小熊の方に取り付いて、その背中の上に乗った。これはうまく出来たものの、少し危うい気がしたので、私が初孫ちゃんの右腕を支えていた。次に母熊の背中に飛び移ろうとしたところ、伸ばした足が届かなくてつるんと滑ってしまった。そして、大小2つの熊の間に体が落ち、私と繋がっていた腕を中心にくるりと反転して私の顔の真下に初孫ちゃんの顔が来た。私が腕に力を入れたものだから、それに支えられてそれ以上落ちずに助かったが、初孫ちゃんはびっくりして泣き出した。そこで、よしよしとばかりに背中を何回かたたいてあげると、泣き止んだ。これが今日唯一の事件だった。

 それから、ペンギンの方へ行き、その辺りに並んでる説明用の器械に付いているレシーバーを手に取った。そして始めたのが、ママへの電話遊びである。「もしもし、ママーぁ、いまね、どうぶつえん! ペンギンがいたよ」などとやっている。それがまた、真に迫って表情豊かにやるものだから、もう笑いころげてしまいそうだが、その笑いをかみころすのに一苦労だった。その電話を3回ほど、やっていた。

 それで自宅に戻り、着替えると早速サッカーの亀の子模様をした大きなビーチボールを抱えて、「おじいちゃん、サッカーする?」と挑戦的な目をして聞いてくる。「もちろん、やろう」と言った瞬間、それを待っていたかのように、その大きなビーチボールを蹴ってきた。なかなかのキック力だ。それでこちらも、ボーンと蹴り返すも、悲しいかな、あさっての方向へ行ってしまった。ちょっと、修業が足りない。初孫ちゃんは慣れたもので、3本に1本は、回転をかけずにまっすぐ飛ぶボールを蹴ってくる。そのほかの2本くらいは、ボールに回転がかかって途中で真横に行ったりする。まだ、ゴールという概念がないからいいようなものの、この調子でキックされたら当てられてしまうと思っていたところへ、初孫ちゃんが近づいてきて私に向けて蹴ったものだから、ボールが顔を目がけて飛んできた。思わず避けたが、いやいや、これは大変だ。これでまだ3歳半だから、先が思いやられる。しばらくやっていたら、さすがに疲れたものだから、私は壁に背中を付けて座った。すると初孫ちゃんからすかさず「Stand Up!」と命令が来る。「OK. Wait a moment.」といって立ち上がるものの、やれやれ、大変だ。そうこうしているうちに、やっと両親が帰ってきて、お役御免となったのである。私はそれから家に帰り、2時間ほど、ぐっすり昼寝をしてしまった。いささか体は疲れたが、孫の成長を目の当たりにして、心は本当に充実した1日だった。でも、若くないと子育ては出来ないものだと実感したのである。









  関 連 記 事
 初孫ちゃんの誕生
 初孫ちゃんは1歳
 初孫ちゃんは1歳4ヶ月
 初孫ちゃんは1歳6ヶ月
 初孫ちゃんもうすぐ2歳
 初孫ちゃんは2歳2ヶ月
 初孫ちゃんは3歳4ヶ月
 初孫ちゃんは3歳6ヶ月
 幼稚園からのお便り(1)
10  初孫ちゃんもうすぐ4歳
11  幼稚園からのお便り(2)
12  初孫ちゃん育爺奮闘記
13  初孫ちゃんは4歳3ヶ月
14  初孫ちゃんは4歳6ヶ月
15  孫と暮らす日々





(2012年 6月23日記)


カテゴリ:エッセイ | 22:59 | - | - | - |
徒然237.飛鳥山公園の紫陽花

飛鳥山公園の紫陽花



 飛鳥山公園の紫陽花(写 真)


 もう梅雨も終わりかけの時期だけれど、どこかで紫陽花が咲いていないかなと思っていたところへ、飛鳥山公園に飛鳥の小径なるものがあり、紫陽花が見ごろだということがわかった。そこで、王子駅に出かけてみたのである。飛鳥山公園といえば八代将軍徳川吉宗の命でここに桜をたくさん植えて、江戸の名所としたところであるから、そのうち桜の季節に行ってみようと思っていたが、紫陽花も植えられているとは知らなかった。

飛鳥山公園のアスカルゴ



 我が家からは千代田線の西日暮里経由でJR京浜東北線に乗換えて王子駅に降りてもいいし、あるいは南北線で東大前駅から直接、王子駅に行ってもよい。結局、行きは前のルート、帰りは後のルートにした。王子駅に降り立って改札口から出たところ、早速、例の「アスカルゴ」という愛称の飛鳥山公園モノレールが動いている。確かに、蝸牛のエスカルゴに似てなくもない。それがゆるゆると坂を昇ったり降りたりしているところは、蝸牛そのものである。そのアスカルゴが昇降している坂の両脇にも紫陽花は咲いているが、目指す紫陽花が咲く飛鳥の小径は、向かって左手の方らしい。つまり、飛鳥山公園全体は、いわば細長い小山のようになっているが、飛鳥の小径というのは、その小山の端のラインとJRの線路との間の細長い小道なのである。

飛鳥山公園の紫陽花


飛鳥山公園の紫陽花



 ああ、紫陽花があった、あった。細長い小山のような飛鳥山公園の端のラインに沿って、ちょうど腰の高さまで石垣が積んであって、その上に紫陽花が途切れなく植えられている。それがずらーっと並んでいるのを見ると、なかなか壮観である。普通に植えられている紫陽花だと、どうしても上から見下ろす形となるけれど、こちらの紫陽花は、そもそも腰の高さのところに植えられているから、非常に見やすいし、場合によっては紫陽花の花を下から見上げるようになるので、それもなかなか良い眺めとなる。紫陽花の種類としては、セイヨウアジサイとガクアジサイばかりだが、花の大きさが大ぶりだし、色合いも見事だったので、被写体としては、これに勝るものはないとばかりに、たくさん写真を撮っていった。紫陽花の中には、青なのか紫なのか赤なのか、はたまた白なのかわからないようなどっちつかずの曖昧な色合いのものも珍しくない。そういう場合には、色調が鮮やかになるフィルターを掛けてみたら、驚くほどくっきりとした写真になった。

飛鳥山公園の紫陽花


飛鳥山公園の紫陽花


飛鳥山公園の紫陽花


飛鳥山公園の紫陽花


飛鳥山公園の紫陽花


飛鳥山公園の紫陽花


飛鳥山公園の紫陽花


飛鳥山公園の紫陽花


飛鳥山公園の紫陽花



 こうして、紫陽花を撮りに撮って、いささか飽きてきた。ちょうど飛鳥山公園に沿った小径の端までたどりついたので、公園の方へと登っていった。公園内には、北区の飛鳥山博物館があり、たまたまドナルド・キーン博士展を開催していた。昨年の東日本大震災を契機に日本国籍を取得して鬼怒鳴門さんとなった博士が、いったいなぜこんなところにと思ったが、次の説明を読んで納得した。

ドナルド・キーン展の冊子の鬼怒鳴門さん


 「私の人生は日本と日本文学・日本文化に関わる、長い一筋の道でした。古河庭園の緑に魅せられ北区西ヶ原に住むようになって、ほとんど40年、愛着を持つこの地で様々な執筆活動を続けて来ました。永住を決意してのこれからは、一人の北区民として、いつまでも私を魅了してやまない日本への理解をいっそう深めて行きたいと思っています。」 なるほど、これから古河庭園を散歩するときに、鬼怒鳴門さんにお会いするかもしれない。また、楽しみがひとつ増えた。




(2012年 6月24日記)


カテゴリ:徒然の記 | 18:16 | - | - | - |
徒然236.堀切菖蒲園

堀切菖蒲園の入り口




1.堀切菖蒲園の道すがら


 堀切菖蒲園の道すがら(写 真)


 昨年に引き続き、また今年も堀切菖蒲園へと出かけた。その道すがら、再び紫陽花をはじめとする季節の花でいっぱいの道を通り、そのあちこちに咲いている見事な花々の写真に撮っていった。まず、なんといってもこの道沿いにある紫陽花が素晴らしい。薄い青色、濃い青色、藍色、ピンク色、白色の西洋紫陽花があるかと思えば、額紫陽花も立派である。その紫陽花づくしの合間には、七変化、未央柳、桔梗、ブルーサルビア、小海老草などの花々まである。ああ、これはすごい・・・金魚を入れてある甕の水の中には、素晴らしい睡蓮の花まであるではないか・・・と思ってよく見ると、これはどうやら造花らしい。あやうく、恥をかくところだった。

道すがらの紫陽花


道すがらの紫陽花


素晴らしい睡蓮の花?でも造花らしい


七変化


未央柳


桔梗


ブルーサルビア


小海老草


道すがらの紫陽花


道すがらの紫陽花


道すがらの紫陽花




2.堀切菖蒲園の花菖蒲


 堀切菖蒲園の花菖蒲(写 真)


花菖蒲を描く女性


 そこを通って、昨年ここに来たときと同様、紫陽花を撮りに来たのか何を取りに来たのかわからなくなってきた頃にようやく堀切菖蒲園にたどり着いた。小ぢんまりとしたスペースに、江戸菖蒲を中心に200種、6,000株の花菖蒲を鑑賞できるというのが触れ込みである。今年はいささか工夫してあって、菖蒲田の手前にそれぞれの花菖蒲の風流な名前を黒地に白地抜きで書いた札が立ててあった。中には江戸菖蒲の原種なるものがあったが、たいそう小ぶりだった。山紫陽花と同じく、こういうものから育種して大きな菖蒲を育てていったのだろうと推察する。

 しかし、ここでもネーミングが、いささか地に足をついていない気がする。五月晴れ、児化粧(ちごけしょう)、夕日潟(ゆうひがた)、沖の波、大淀、小町娘はまあまあだが、星月夜(ほしづきよ)長生殿(ちょうせいでん)、石橋(しゃっきょう)、鳳凰冠(ほうおうかん)、玉宝蓮(ぎょくほうれん)に至っては凝りすぎという気がしないでもない。浦安の舞というのも、クエスチョンマークだ。だいたい、名前が付けられた花菖蒲とイメージがかけ離れている。それとも、これは江戸趣味なのか、よくわからない。でも、そんな名前のいわれの詮索より、単に花菖蒲を眺めて「ああ、きれいだな」と思う方が、はるかに健康的である。

 木陰で、花菖蒲を描いている小柄な女性を見かけた。そのカンバスに目をやると、印象派の画家のようにまるでモネの睡蓮を思わせるパステルカラーの色使いだ。しばし、後ろから見させてもらった。花菖蒲と淡い緑色とが、よく調和している。

花菖蒲


花菖蒲


花菖蒲


花菖蒲


花菖蒲





(2012年 6月17日記)


カテゴリ:徒然の記 | 21:42 | - | - | - |
徒然235.東京おもちゃショー

シュライヒ社の中世の騎士




 東京おもちゃショー(写 真)


 既に一週間ほど前より梅雨のシーズンに入っているから、せっかくの土曜日だというのに、無情にも霧雨がしとしと降っている。先週の紫陽花に引き続いて花菖蒲でも撮りに行こうかと思っていたのに、これでは屋外での撮影は無理というものだ。そこで屋内でも撮れるイベントはないかとiPhoneで探したところ、有明の東京ビックサイトで東京おもちゃショーなるものを開催している。ちょうど孫の相手をする際に役立つかもしれない、ではこれにするかと思って行くことにした。



 家から地下鉄とゆりかもめで40分、着いてみると親子連れで会場はごった返している。でも、入場のときの整理は手慣れたもので、たとえば何十人かを区切って順に入れたりしているかと思えば、エスカレーターには係員が両手を広げて乗って、人混みが殺到するのを防いでいる。昔あった事故の教訓がまだ生きているようで、誠に結構である。会場は上の階と下の階とに分かれていて、まずは上に行ってみる。

トヨタの着替えのできる車




 トヨタが着替えのできる車なるものを出品していた。座席部分がポコンと持ち上がる。面白いがこれでは公道を走ることは難しいだろう。まあ、遊園地の乗り物がせいぜいだ。んんっ・・・あれは・・・公文が、おもちゃに進出している。少子化だから、低年齢層に顧客を広げようとしているのだろう。ぬいぐるみ専門の店がある。ぬいぐるみというものも、買った当初はいいのだけれど、洗えないからすぐ汚くなる。親にとって良し悪しだ。あれあれ、ラジコンの小さなヘリコプターがあって、結構自由に飛んでいる。子供さんに操縦させていたが、すぐに落ちてしまっている。とりわけ上下方向の操作が難しそうだ。

スマートペット



 大手の会社、バンダイのブースに入る。ナントカというキャラクターというのが目白押しで、どれがどれだかさっぱりわからない。どれを見ても、ガンダムのおもちゃのように見える。子供が小さかった頃は、円谷プロダクションのスーパーマン・・・ではなかった・・・ウルトラマンの種類を覚えたものだが、もう無理だ。ああこれか・・・スマートペットといって、iPhoneを顔に見立てた犬のおもちゃだ。アプリをダウンロードしてこのワンちゃんを操ることが出来るらしい。本日発売とのこと。

パンで作ったアンパンマン


ポケットモンスター



 やなせたかしのアンパンマンがあり、驚いたことに、本当にパンで作ったようなその顔がある。かなり大きい。それを見ていたら、外国人が通りかかって、「Oh! Bagelman!」と言っていたので、思わず笑ってしまった。そういえば、ベーグルを巨大にしたものに似ていなくもない。ポケットモンスターがあった。まあこれは少し前までは、とても小さい子たちのヒーローだったが、まだ健在のようだ。どういうわけか、フジヤのペコちゃんがいた。これは懐かしい。私が小さい頃からあるものだ。最後に、ガンダムがあった。いろいろな種類があるようで、こんなにも数があったのかと思うが、それにしても次から次へと考え付くものだと感心するやら、あきれるやら。しかし、年代が新しくなるほどに、こういうロボットの模型は精巧になっているようだ。現にそのガンダムの直前に陳列してあった最新の人型(フィギュア)シリーズは、比較的小さいのに、顔に生き生きした表情が出ているし、風に吹かれてたなびくような形の衣装も素晴らしい。実によく出来ている。これはガンダム時代から更に進歩を遂げていると思った。

顔に表情が出ているし、衣装も素晴らしい


ガンダム



 その辺りを出て、今度は1階の会場へと移動する。道の真ん中で何やらゴソゴソ動いていると思ったら、模型の戦車である。ラジコンで動くだけでなく、そのスイッチを押すと、弾まで飛び出すという細かな技を披露する優れたものだ。先のヘリコプターにしろこの戦車にしろ、ラジコンがこんなにも手軽になって、実に羨ましい限りだ・・・。それからさらに行くと、ロゴランドである。ロゴといえば、ひと昔前までは、ブロックばかりで、たまに人の顔をしたブロックもあったが、それも「私は本来はブロックそのものです」といわんばかりの無骨な顔形をしていたが、最近のは全く違う。どこを見てもふつうの写実的な人形となっているのである。もちろん、まだ主体はその無骨なロゴブロックなのであるが、そのうち写実風が主流になっていくのかもしれない。

ロゴ


ロゴ



 Schleich(シュライヒ)というブースがあった。これは、すごく精巧な人形を売っているドイツの会社で、今年で78周年の動物フィギュアの老舗ということだが、日本でいうと、海洋堂のようなものであるまいか。目の前に戦士のフィギュアがあったが、古代ローマの兵士はもちろん、日本の武士のフィギュアも、非常によく出来ている。これほどリアルなものは、日本人の感覚ではなかなか作ることができないと思う。ヨーロッパの騎士も動物も妖精も、誠に素晴らしい出来である。ガンダムやポケモンのように、まるで空虚な仮想の世界を作りだすよりは、これは現実の世界を想像力をもって再構成したものであるから、はるかに健全な気がする。それにしても、こういう趣味を兼ねたような商売を出来るというのは、なかなか羨ましい気がする。今回のショーで一番感心した会社である。

シュライヒ


シュライヒ



 最後に、番犬ガオガオの実演をやっていた。何でもないときの番犬は、顔を横にして眼をつぶり、幸せな表情で寝ているような感じである。そこに、カードを繰って、その出た順に番犬の顔の真下にある骨を拾うというものである。白い骨はダミーで、主に色のついた骨を拾わされる。しばらくやっていると、いきなり番犬が前を向き直って両眼を剝き、しかもガオッとうなる。それが結構こわくて、なかなかの人気である。そういえば昔、酒樽に入った海賊のおもちゃがあって、外からその酒樽に刀を突き刺していく、やがて刀がツボにはまると、突然その海賊の頭が飛び出すというもので、これもスリリングでなかなか面白かったが、それと同じ発想である。しかし、これはまだウチの孫には早そうだ。もう少し待たなければ・・・楽しみは先というわけである。

番犬ガオガオがお休み中



番犬ガオガオが両眼を剥く





(2012年 6月16日記)


カテゴリ:徒然の記 | 23:58 | - | - | - |
徒然234.豊島園の紫陽花

豊島園の紫陽花



豊島園の紫陽花(写 真)は、こちらから。


 東京はきのうから入梅ということであるが、しとしとと一日中霧雨が続いた前日とは打って変わって、きょうは晴れてしまった。めずらしく天気予報が当たった。しかも、気温は26度とかなり暑い。では、せっかくの晴れ間だから写真を撮りに行くとして、紫陽花にしようか、それとも花菖蒲にしようかと迷った末、久しぶりに豊島園の紫陽花を見に行こうかということになった。自宅から池袋回りで西武線経由、新宿回り大江戸線経由という2つのルートがあるが、確か7年前に見に行ったときは新宿回りだった。そのときにはなかったiPhoneの乗換案内で調べたところ、所要時間も料金も、さほどの差はない。大江戸線は階段の上り下りがきつくてたまらないので、西武線経由で行ってみた。

豊島園の紫陽花


 いかにも遊園地らしい入り口をくぐって中に入る。周りは、小さなお子さん連れの家族ばかり。まだまだ、こういう健全な家族の姿がある限り、日本は大丈夫だと思ったその矢先・・・あれあれ妙な連中がいる。紫の長い髪に真っ黄色の和服を着ている。その隣には真っ黄色の髪で真っ黒の衣装、金のベルトに幕末の新政府軍の軍服、それに番傘を持って刀を差している。緑色のネズミの格好をした3人連れが通りかかった・・・何なんだ、この連中は?まるで漫画の世界から抜け出てきたみたいだ。そこでハタと気が付く。これって、いわゆる「コスプレ」というものか?

豊島園の紫陽花


 家族連れであふれる遊園地内のあちこちで、そういう連中が跳梁跋扈している。申し合わせたようにたいていが3〜4人のひと組で、お互いに写真を撮りっこしている。ただし、別に害はない。着いたばかりだが、ちょっとお茶でも飲もうとベンチに座り、たまたま前に座った同年代の夫婦と言葉を交わす。

「いったい、何なんでしょうね。あの連中は。あれって、格好良いとでも思っているんですかねぇ」

「いやまったく、番傘とか、狐のお面とか、刀なんて、20歳近くの子が喜ぶものですかねぇ」

「あれれ、ネズミの格好をした3人組が来ましたよ。ネズミなんて、あんな汚らしいものにねぇ」

コスプレっていうんですかねぇ。我々の小さい頃には、母親から漫画なんて読むと馬鹿になるからやめなさいって言われたれど、ようやくその意味がいまわかったような気がします」  (一同、大笑い)

豊島園の紫陽花


 とまあ、思わぬことで寄り道をしたけれど、遊園地の端に、目指す紫陽花の一角があり、そちらに向かう。あった、あった。紫陽花をひとつひとつ、撮っていく。大輪の紫陽花と、いわゆるガク紫陽花とがあり、色も土が酸性のときは青色に、アルカリ性のときは赤色になるというが、実際には、青、ピンク、赤、淡い紫、そしてこれらが組み合わさったものと、ますます複雑になっている。7年前は140種だったものが、今では200種だという。一般に西洋紫陽花は、普通に見かける大きな花であるが、それに比べて日本古来の紫陽花は、花が小さくてチマチマしている。それにもかかわらず、たとえば楊貴妃などと大げさなネーミングをするから、実際に見る花とのイメージのギャップが大きくなって、かえって良くない気がする。いや、これというのも、広い世の中を知らないからなのかもしれない。まるで現在の日本を象徴しているような感がする。写真を撮りに撮ったせいか、この日はいささか疲れてしまった。

豊島園の紫陽花


豊島園の紫陽花


豊島園の紫陽花


豊島園の紫陽花


豊島園の紫陽花


豊島園の紫陽花


豊島園の紫陽花


豊島園の紫陽花


豊島園の紫陽花


豊島園の紫陽花


豊島園の紫陽花







豊島園の紫陽花(2005年)




(2012年 6月10日記)


カテゴリ:徒然の記 | 21:51 | - | - | - |
iPadを使う

iPad



 早いもので、私がiPhone4Gを使いはじめてから、来月でもう2年となる。その間、昨年12月にはiPhone4Sへと買い替えた。4Gと4Sの違いは、はっきりいってしまうと、音声感応型の人工知能(とまでいうと、いささか買いかぶり過ぎではあろうが・・・)のSiriくらいで、そのほかにはこれといって素晴らしいと驚かされるような機能はない。とはいえ、このiOS5へのアップデートと合わせてアップル社が用意したiCloudという仕組みは、とても便利である。これは一種のバックアップ・システムなのであるが、クラウド上に自動的にバックアップしてくれるから、こんな楽なことはない。おかげで従来のようなiTuneを使ってパソコンにいちいちバックアップするようなことは必要がなくなった。もっとも、これを諸手を挙げて歓迎すれば良いというわけでもなく、たとえばアップル社に私の個人情報をすべて渡してしまったという薄気味の悪さはあるが、しかしそれを敢えてここで言うのは無粋というものであろう。

 ところで今回、仕事の都合上、iPadも使うこととした。というのは、仕事で使う書類が増えに増えて大きなカバンに2つにもなってしまった。しかも毎日何かしら加わっていく。下手をするとそのうちカバンが3つ目という事態にもなりかねない。本当にこれらがないと、始まらないから始末に負えない。しかしこれでは、秘書さんたちにも持ってもらえるとはいっても、とても機動的ではないし、そもそも必要なときに目指す資料がなかなか出てこない羽目に陥る。しかも、使う法令が法律だけでなく時折は政令も必要となってきた。そういうとき、法律集はあるが政令集なるものはあるはずがないので、非常に困る。そのような場面がちょくちょく出てきたので、これは困ったと思うようになった。

 しかし、iPhone4Sを使っていると、これはペーパーレスの極みのようなシステムだから、そんな問題はこういうデバイスを利用すれば一挙に解決できると思った。というのは、まず法令集については、iPhone4SのSiriに叫べば、Safariに検索結果を出してくれるから、これでまずおよその法令はわかる。それでもわからないような特殊な法令は、政府のやっている「電子政府の総合窓口 e-Gov」なるものを出して調べれば大体は把握できる。ここでわざわざ「大体」と言っているのは、困ったことにこのe-Govのデータは、その法令が施行されていないのにあたかもすべて施行されているがごとくに掲載されている。だから、それが場合によっては大問題になるからである。そういうわけで、正確な施行関係や改正経緯を知りたいというのであれば、ぎょうせいという出版社がやっている「Super法令Web」で調べればよい。その内容は毎週更新されることになっているから、施行によるタイムラグはほぼないといってよいだろう。これらを使えば、ネットで完璧に法令検索ができる。

 もうひとつ有力な武器は、Boxというアプリである。クラウド上にデータを保管してあって、いつでもそれを引き出せるサービスだ。私はこれに50GBも使えるスペースをもらっていて、そこに手持ちで公開できる文書をすべてpdf化してアップロードしている。大きなカバンに2つ分も入っている膨大な書類をすべてpdf化してここに入れたところ、50GB中、その分だけではまだ2GBにもならない。余ったスペースがもったいないから、ついでに毎月あるいは毎週購入している雑誌類をすべてpdf化して、やはりここに入れてある。それでも3GBを少し超す程度と、まだまだ入れられる。だから、Boxの入ったiPhone4Sを常時携帯しておけば、2つのカバンが不要となるし、雑誌のたぐいでも何でも、pdfにしたものはいつでも読めるということになる。

 そんなことで、すべての書類が掌の中に納まるという夢のような段階に来たのだけれど、そうなると今度は、iPhone4Sの画面が小さいという問題が露わになる。これだけはどうしようもない。そうかといって、またカバンの世界に戻るというのも、たまらない。それなら、同じiOSを使っていて画面の大きなiPadを買ったらどうかということになった。そういえば、昨年10月に、スチーブ・ジョブズが亡くなった後、今年3月になって新しいiPadがティム・クックによって発表された。これだと、画面が大きいだけでなく、高精細ディスプレイ「Retina Display」の採用でさらに鮮明になったというから、好都合である。

 ということで、先週末にiPadの最新版を手に入れ、土曜日から月曜日にかけて、その設定をしていった。まず、自宅とオフィスのWifiに接続する。そして、i.softbankメールの設定とともにソフトバンクのWifiスポットに接続するための一括設定を行う。それから、Gメールなど現在使っているメールの設定をする。そうすると、連絡先も自動的に同期されてくる。ああ、これは実に便利だ。それから肝心のBoxの設定をする・・・これもIDとパスワードを打ち込むだけですんなりと終わった。立ち上げると、ちゃんとすべての文書にアクセスできる。こうこれだけでもよいくらいなのだけれど、せっかくだからほかのアプリも入れておこう。そうそう、Evernoteがあった・・・そうだ、Dropboxもだ・・・などと、思いついたものをAppstoreから私のアップルIDでアプリをインストールしていく。そのやり方も、実に簡単だ。Appstoreの中の「購入済み」というボタンをタップすると、私のiPhone4Sに入れてあるアプリの一覧が現れるので、それから必要なものを取り出し、タップしていくと、順次インストールされる。そうやってインストールしたアプリのアイコンを使いやすいように、並べていくのである。そうやって、土日の2日間で、必要な設定はあらたか終わってしまった。

 ただまあ、このままでは裸のiPadだ。取っ手や紐もないから持ち運びにくいし、ガラス面を覆うものがないと壊しそうなので、有楽町のビックカメラにそのカバーを買いに行った。iPad専用のカバー売り場へ行くと、ピンからキリまで商品が並んでいる。蛇腹のように単にガラス面を覆うものから、革製で全体をしっかりと覆い、ビデオを見るときは立てかけ、タイピングするときはもっと寝かせられるものまで、いろいろである。その中から、5,000円ほどで高かったが、後者のタイプでしかも持ち手が付いているものを選んだ。賢いことに、カバーを閉めると、カチッと言って電源も切れるから便利だ。ということで、そのカバーを付けて写真を撮ってみたが、問題なく撮ることが出来た。よしよし・・・と。

 その夜、帰宅してそのiPadを私のパソコンに接続してみた。すると、iTunesが自動的に立ち上がり、くるくると回って、何かしている。あれあれと思ってみていると、私のiPhoneに入れてあるアプリがすべて、こちらのiPadにインストールされようとしている。まあ、いいかと思ってしばらく放っておいたら、200個近いアプリがすべてiPadに入ってしまって、再びそれらを整理する羽目になった。ひとつひとつのアプリを確認していくと、ほとんどが動く。iPadの右下に「2X」というボタンがあるのでタップすると、画面の大きさが2倍になる。元に戻そうとすると「等倍」のボタンを使えばよい。これも便利だ。ほとんどのアプリは、これで十分である。

 ただ、iPhoneに入れてあるデータのうち、iTunesからは自動的に転送されないのが原則のようだ。たとえば、「i手帳」、「支出管理」、「豊平文庫」などは、またこちらのiPad側でデータを入れる必要があるが、前2つはそれがとても面倒なので、これらはiPhone一本でいくこととする。しかし、当たり前のことだが、クラウドを使うアプリはそのクラウド上にデータが保管されているので、このiPadから取り扱うことができる。たとえば、Gメールとそれと連動したアドレス帳、Evernote、Dropbox、Keeperなどで、これらはiPhoneでも扱えたことが何のストレスもなくそのままiPadでも扱えるので、ため息がでるほどに便利このうえない。ただし、このうちKeeperは、追加料金850円を徴収されてしまった。しかし、iPad側で内容を変えると、それが自動的にクラウド上のバックアップデータセンターに送られ、それがそのままiPhoneでこのアプリを開いたときに自動的に更新されて表示される。しかも瞬時だ・・・ううーむと思わずうなるほど、まるで夢のような仕組みである。この快感は、これまでパソコン上でバックアップにさんざん苦労してきたからこそ、味わえるものである。

 もうひとつ、感激することがあった。これまで、iPhoneでiTunes U というアプリを使って、アメリカの有名大学の授業を聞いていたのだけれど、音声はしっかりと聞こえるのだが、画面が小さすぎて、それがどうにも読めずに困っていた。そんなことを繰り返した挙句、そのうち興味をなくして、せっかくの天文学の授業なのに3〜4回見ただけで終わっていた。ところが、試しにこのiPadで見たところ、画面が大きいので授業中のフリップもよく見えて嬉しかった。これなら最後まで授業を受けられそうである。日本にいながらにして、イェール大学の天文学の授業を受けられるなんて、まるで夢のような世界である。

 フォト・ストリームというものがある。これは撮った写真を一定期間保持してくれるシステムである。これまでは私はiPhone一本だったから、そのアルバムと同じ写真のみがフォト・ストリーム上に表示されていたが、iPadで写真を撮るようになると、その写真もまたフォト・ストリーム上に組み入れられて一緒に表示されるようになった。なるほど、それぞれ撮った写真を送り合う必要が一切ないのである。これはまた、うまい仕組みである。ところが、すべて良いことばかりではない。私は、iPhoneと、このiPadとを同一のアップル・アカウントで登録してしまった。これで助かることは、iPhone向けに買ったアプリをそのままiPad向けに転用できることで、言葉を換えれば再びお金を払って購入する手間がかからないということである。しかしその反面、別のアップル・アカウントにしないと、iCloud上で2つが統合されてしまって、1アカウント当たり最大5GBという上限があるその容量中に合計してカウントされてしまうのである。もちろんその場合は、増えた容量を購入すればよいだけの話であるけれど、それではいささか悔しい・・・というのは冗談のたぐいであるが、ネット・ユーザーとしては工夫の余地ありということになろう。ちなみに私は、Gメールの中の不要な添付メールを削除して対応した。



 ところで話は変わるが、私の職場で、私の主催によりiPhoneクラブというものを立ち上げることにした。参加資格は単に、iPhoneを持っていること、それだけである。仕事の後に、私の部屋に集まって、お菓子をつまみお茶を飲みながら、それぞれiPhoneで苦労したこと、面白かったことなどを話し合うのである。集まったメンバーを見て、驚いた。私と私の秘書さんを除くと、あとはこの2〜3年の間に入った人たちばかりである。つまり職場での最長老と、その逆に最若年層という、妙な組み合わせなのだ。それでも、あのアプリはどうだ、このアプリは面白い、あのアプリはやめておいた方がよい、こんなひどい目に遭ったから・・・などと、皆さん、苦労しているだけあって、話は尽きない。中には、auの携帯からアンドロイドに乗換えたが、よくフリーズしてしまい、あるときは電話帳がすべて消えたという憂き目に遭ったという。ところが、やっとauがiPhoneを発売したので、これに乗換えることが出来て、一息ついたという人がいた。そうかと思うと、買ったばかりのiPhoneを無くしてしまい、「iPhoneを探す」というアプリを知らなかったために取り戻せなかったという人もいた。

 しかし、一番面白かったのは、こういう話である。「○○部のKさん、面白いのよ・・・。上司のHさんから、iPhoneは良いから持ってみろと何回も言われて、本人はウィルスがいると嫌だと思って悩んだのだけれど、とうとう持たされた。でも、あの人、皆さんご存知のようにものすごく潔癖症だからやはりウィルスが怖くて怖くて、いまだに買ったままのアプリしか入れてなくて、自分ではひとつもインストールしていないのよね。それって、すごくない? すごいわよね。」・・・彼の顔を思い浮かべて、もう、一同、大笑いである。人の噂ほど面白いものはないという見本だが、彼はiPhoneとアンドロイドのスマート・フォンとではそもそもアプリの流通構造が違っていることをご存じないとみえる。つまり、iPhoneの場合はすべてのアプリにアップル社の審査があるから、アンドロイドのスマート・フォンに比べると、ウィルスにとりつかれる割合は、極めて低いのである。まあ、それにしてもiPhoneを持たされたKさんの反応は、いかにも彼らしいのである。腹がよじれるほど笑った後で、彼のこれからの長い人生、そんな調子で果たして大丈夫かと心配になった。



(2012年 6月 7日記)


 





  関 連 記 事
  iPhone 4Gの衝撃
  iPhone 4Gの10日
  iPhone 4Gの20日
  iPhone 4Gの30日
  iPhone 4Gの80日
  iPhone 4SとiOS5
  iPad を使用する
  iOS5からiOS6へ
  iPhone5へ機種変更
10   iPhoneの行く末
11   iPadのアクセサリー
12   iPhone6plusを購入
13   iPhone7plusを購入
14   iPhoneXへ機種変更
15   iPhoneバッテリー交換
14   iPhoneXのバックアップ
15   iPhone11 ProMaxへ機種変更
16   iPad Pro 12.9へ機種変更


カテゴリ:エッセイ | 20:02 | - | - | - |
徒然233.すみだ水族館

キイロハギ



 すみだ水族館(写 真)


 東京スカイ・ツリーがつい1週間ほど前の5月22日に開業し、たくさんの人出で賑わっているらしい。当面、タワーに登るのは予約のある人だけということであるが、せっかく入場券を入手しても、その日が雨だと悲しい。現に、開業当日は天候が悪くて、皆さんがっかりされたようだ。ところがその翌日は快晴となったから、皮肉というほかない。ということで、私も、予約が必要なくなってから天候の良い日を選んで行くこととしている。でも、自宅からスカイ・ツリーのあるところまでバス一本で20分ほどの距離にあるので、とりあえずその水族館に行ってみようと思い、出かけることにした。

すみだ水族館


東京スカイ・ツリー


 バスが隅田川を渡ったところで、しばらくして到着した。商業施設ソラマチのエレベーターを乗り継ぐと、5階がすみだ水族館の入り口である。1年パスポートを買ったので、そのカードに入れる写真を撮られたりして手間取ったが、中に入ってパンフレットで施設内を見ると、非常に小ぢんまりとしている。別にデータを比較したわけではないが、ざっと見たところでは、サンシャイン水族館の3分の1といったところである。これで何を展示しているのかというと、東京大水槽で小笠原の海を、そして館内で大きく見下ろすように作られた、ペンギンとオットセイの屋内開放プールらしい。

ミズクラゲ


 最初は自然水系といって水草の中にグッピーなどが入っている水槽だが、どこにでもよくあるものだ。次は、クラゲの水槽だ。ミズクラゲなどがいる。むかし、海水浴のときにこれにやられて、痛い目に遭ったことがある。海水浴場で少し沖に出て、ふと周りを見渡したら、これが団体でいたから驚いて、海岸に帰ろうとして方向転換したとたんに、足がこのクラゲに触れて刺されてしまった。そういう嫌な思い出のあるにっくき敵なのだが、こうやってふわふわと泳いでいるのを見ると、こんなことを数億年も続けていてよく絶滅しなかったと思う反面、それはやっぱりあれだけの強毒を持っていたからだとも思い、自然の妙味に感嘆するばかりである。

パシフィック・シーネットル


タコクラゲ


 クラゲの中に、パシフィック・シーネットルがいた。新江の島水族館ではこの成体を見たことがあるので、それを思えば、これはまだ相当若い個体である。ものすごい毒を持っているそうだ。その隣には、タコクラゲがいた。いつもせかせか泳いでいて、かわいそうなくらいであるが、どことなく、愛嬌がある。見ていて、飽きない。その次には、「ゆりかごの連なり」と題して、小さな水槽がたくさん並んでいたが、人だかりがすごいので、また次回見に来ようと思ってパスした。

ファインディング・ニモの主人公のカクレクマノミ


チョウチョウウオの仲間のハタタテダイ


ウミウシ


 その次は「光と水のはぐくみ・サンゴ礁」と題する中型の水槽が4つあった。ファインディング・ニモの主人公のカクレクマノミ、真っ黄色で口がとんがっているキイロハギ(冒頭の写真)、この2つの魚がとても可愛い。青色と黄色の2色の小さな熱帯魚バイカラード・ティーバックもなかなか愛嬌がある。チョウチョウウオの仲間のハタタテダイがいた。これは、よくツノダシと間違えられるが、ツノダシの方が口はもっととんがっている。同じ水槽中に、小さなウミウシがいた。これも、不思議な生き物である。あんなに目立つ外観を示しておきながら、貝殻のようなものを持たないで、どうやって身を守っているのだろうか、よくわからない。

マダラハタ


イセエビ


 砂地から細い体を伸び上がらせているアナゴがいたかと思うと、細長い葉っぱが縦に浮かんでいるようなヘコアユがいるし、ネオンテンジクダイという尾の中央に赤い斑点のある小さな魚もいる。動きが速いし体が小さいから、焦点がうまく合わない。焦点合わせを中央ではなく、一点に集中すべきだったかもしれない。次回は、それでやってみよう。次の水槽には、大きな魚がゆっくり泳いでいる。マダラハタというらしい。そこには、ネムリブカという「White reef shark」がいる。なるほど、これもやっぱりシャークか・・・そういえば、むかし南シナ海のティオマン島の南海の離れ小島で泳いでいたら、これが出現してびっくりした記憶がある。ああ、イセエビがいる。テレビを見ていたら、こんなものをタコが食べてるということを知った。タコも結構、グルメのようだ。

ペンギンの室内開放プール


ペンギンの室内開放プール


 その辺りから視界が開けて、見下ろすと、ペンギンの室内開放プールである。真ん中の岩を模った島がなかなかよく出来ている。その上に、ぼーっとつっ立っている2〜3羽のペンギンは、羽の色が黒くないので作り物かと思ったら、頭が動いたから生きている本物だとわかった。照明のせいだったらしい。

小笠原の海を模した「東京大水槽」ウミガメ


 同じところから、小笠原の海を模した「東京大水槽」を見下ろすことが出来る。上部をウミガメやらサメが泳いでいて、その下にはいろいろな魚が泳ぎまわっている。まるで、小笠原の海上で船の上から偏光フィルターで海中を見下ろしているみたいだ。神様の気分といえばいささか大袈裟か・・・。

青いお揃いのウェット・スーツを着た飼育係りの人


青いお揃いのウェット・スーツを着た飼育係りの人


 回り階段を下ってペンギンの室内開放プールの方へと降りていく。青いお揃いのウェット・スーツを着た飼育係りの人たちが、「今からエサの時間ですーーっ」と叫ぶ。面白そうだから、その近くへと行った。腰に着けた箱から、魚のアジを出して一匹ずつにやっている。しかもどのペンギンにやったのか、いちいち記録しているのである! だから当然、個体を識別している。それはどうやってやるのかというと、羽の根元に付けた輪の色らしい。それも、1羽1羽、名前があるらしい。そして、「はーい、レモンちゃんは、もうお仕舞い」などとやっている。いや、これはすごい。てっきり、エサのイワシをプールにばら撒いたら、それでおしまいかと思っていたら、これは徹底している。いったい、誰が運営しているのかと思ったら、運営する会社はオリックス不動産だという。ああ、この3月に京都で水族館を始めたあの会社かと思ったら、それ以前にすでに新江ノ島水族館を運営していたらしい。なかなか、科学的な手法である。

ペンギンの動きは早い


 それにしても、ペンギンの動きは早い。とても私のカメラでは特に水中の動きはとらえられない。ペンギンというのは、陸上ではよちよち歩きの赤ちゃんのごとくであるが、海中ではジェット機くらいのスピードで飛んでいく。なるほど、これでは魚は簡単に捕まえられるわけだ。ISO感度を最高度にして、シャッタースピードを早くしても、画面が真っ暗となって何にも写らない。そこで徐々にシャッタースピードを遅くしていって40分の1秒くらいにすると、白い腹の部分か何かがようやく写るが、とても使い物にならない・・・ということで、少し離れたところから撮って、やっと水中の動きを捉えることができた。プールの角に行ったら、一匹のペンギンが顔を近づけてきたので、やっと1枚、まともな写真が撮れた。そばにいた係りのお姉さんによれば、この子はこの位置が好きなようで、一番よく写真に撮られている個体だそうだ。

プールの角のペンギン


 振り返ると、東京大水槽の底部である。ミノカサゴがいたので、パチリと撮る。これは、動きが遅いからよいが、他の魚はなかなか撮れない。しかし、やや下がって水槽の全体像を撮ると、いろいろな種類の魚がいてなかなか素晴らしい。しばらく、見入っていた。もう20年くらい、シュノーケルを使ったダイビングには行っていないが、こんな海で泳いでみたいものだ。

ミノカサゴ


東京大水槽







(2012年 6月 2日記)


カテゴリ:徒然の記 | 13:11 | - | - | - |
| 1/1PAGES |