シンガポール航空A380就航
2008.04.18 Friday | by 悠々人生
昨年、ディスカバリー・チャネルで、エアバス社の新型機である総二階建てのA380の開発話を放送していた。さすがに、ものすごく大きいだけあって、部品の翼や胴体を運ぶのにいろいろと苦労したらしい。たとえば、翼を運ぶ特殊車両が工場に通ずる真夜中の道路をしずしずと動いていくと、両脇の家との間隔が数センチしかなかったりしていた。また、EUの規制で、非常事態に全乗客と乗務員が2分以内に避難できるように設備を作っていなければならない。それを実証するために、設備を作っては実際に500人ほどの人々に座席に座ってもらい、合図で一斉に避難してそのタイムを図るなど、いやまあ、こんなことまでという数々の開発苦労話が紹介されていた。
それで、出来上がった旅客機A380は、なるほどとっても大きい。何しろ総二階建てなのであるから当然ではあるが、それにしても、その大きいこと、大きいこと。かつて、ジャンボジェット機という言葉があったが、これは何といえばよいか、マンモスジェット機・・・、いやいや、あまりかわいくない・・・まあ、誰かそのうち適当なキャッチ・コピー家から、うまい愛称が出てくることを期待しよう。
そういうことを思っていたところ、何とこの5月20日から、成田とシンガポール間において、そのエアバス380が就航するようである。赤坂サカスに行ったところ、シンガポール航空がそのキャンペーンをやっていた。そこで面白いと思ったことは、完全な個室(スイート)を作るようである。これはファースト・クラスのさらに上のクラスとして作られるもので、その場のエアホステスさんによると、ファースト・クラスの料金の15%増しだという。それで、成田とシンガポール間はいくらかと聞くと、80万円とのこと。6〜7時間のフライトにこの料金は、ビジネス用途としてもちょっと高いとは思うが、たとえば金婚式など何かの記念日のプレゼントに使うものとしては、よいかもしれない。
しかしながら、昨今のような時期に、471席を備える超大型機を導入するというこのシンガポール航空の戦略が、果たして吉と出るか凶と出るかは、誰にもわからない。とりわけ、原油価格が三年間で倍になるという燃料費が極端に高騰する中で、燃料をガブ飲みするような、こんな超大型機が飛べるのか、かつての超音速旅客機コンコルドのようなことにならないか、気になるところである。むしろ、三菱重工が製造を決めた100席弱程度のリージョナル・ジェット機を数多く備えて、これで単価は安いが数多くの旅客をこなすという戦略の方がよいように、素人目には映るのだが・・・、はてさて、神のみぞ知るというところだろうか。
私は実はシンガポール航空には良い印象をもっていて、たとえば約20数年前に一家4人で世界一周旅行をしたときには、この航空会社を使った。というのは、当初、日本航空を使おうとしたのであるが、何かつまらない条件をいろいろと付けてきて使いづらかったので、他の航空会社を探した。そうしたところ、このシンガポール航空が私の要望に柔軟に答えてくれて、それでこちらにしたというわけである。
実際に乗ってみると、サービスはいい、愛想もいい、設備は最新というわけで、とても気に入った。その後かなり経って、南米ブエノスアイレスからシンガポールまでの長距離フライトにも乗ったが、やはり同じ印象であり、新しいものを積極的に取り入れていた。今回のA380の導入も、そうした良い伝統の流れであろう。また、以前アムステルダムで、ホテルの金庫にしまっておいた航空券が盗まれたときも、再発行を迅速に行ってくれた。あのような不安な心理状態のときに、適切な応対をしてもらったその経験が、その後ずーっと続くこの会社に対する好印象に繋がったのかもしれない。それとも、例の民族衣装サロン・ケバヤの制服を着て、ニコニコと応対してくれた、あのオランダ美人の地上職員さんが良かったからだろう。
(2008年4月17日記)