徒然044.雅楽演奏会





 宮内庁楽部の雅楽演奏会に行ってみた。大手門から皇居をずっーと入っていって、やや登ったところに会場がある。建物に入ってみると、白っぽい砂が敷いてあり、中央の舞台の周りの椅子に観客が座る。管弦と舞楽に分かれていて、前者は音楽だけ、後者は音楽に合わせて舞踊がある。

 管弦の演目は、双調音取、賀殿急、武徳楽、新羅陵王急ということだったが、正直いって笙と篳篥のボワーッボワーッという音が耳について、あまり違いがわからなかった。

 舞楽は桃李花、狛ぼこということであったが、ともかくテンポが遅い上に、動作も大きくなく決まりきっていて、どうも私のような現代人の典型には、耐え切れない。そのうち、眠たくなって目を閉じると、ドーンという大きな太鼓の音で、はっと目が覚める。そしてふと踊り手を見ると、目を閉じる直前と同じ格好だったりする。

 この管弦と舞楽の形式は、平安時代に出来上がり、それから今日まで千年にわたってそのままの形でこのように保存されているとのこと。さもありなん。




(2007年4月22日記)



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徒然043.根津神社のつつじ
 根津神社のつつじ祭りが始まった。昨年末に神社を大改修し、つつじの前に池をしつらえたり、楼門の前に小さな橋と川を作ったりして、なかなか凝った造りとなった。

 肝心のつつじはというと、4月18日現在、まだ六分咲きというところだが、咲き始めると早くて、21と22日の土日当りが満開だろう。それにしても、数年前までは、確か5月の連休頃まで楽しめたのに、これでは咲くのが早すぎて、こどもの日まで持たないかもしれない。開花がますます早くなっているようだ。


















(2007年4月18日記)



カテゴリ:徒然の記 | 23:49 | - | - | - |
徒然042.桜を見る会 2007






 今年もまた、新宿御苑で首相主催の「桜を見る会」、かつての観桜会が催された。いつもこの開催日には気を遣うらしいが、今年は4月14日の土曜日で、染井吉野は既に散っていたものの、八重桜が満開であった。相変わらず、空に突き出ているような、ドコモ・タワーが印象的である。



 いつも通り、陸上自衛隊の音楽隊が演奏する中で、公称11000人!の招待客が御苑内をそぞろ歩きをし、園内を一周した安部首相と握手をしようと殺到した。かくいう私も、写真とビデオを撮ったわけであるが、それはさておき、こういう機会なので、なつかしい昔の知り合いや友人に偶然出会い、家内とともに旧交を温めた次第である。

 ところで、この会が退けた直後、家内と一緒に温室を訪ねていろいろと見て回ることにしている。今年は、翡翠葛(ヒスイカズラ)が見事で、それから幹から直接、生っているカカオの実があった。本で読んだことはあったが、実物を見て改めてびっくりした。それから、アボガドの実も生っていたが、こちらはまあ常識的な生り方であった。









(2007年4月14日記)



カテゴリ:徒然の記 | 23:18 | - | - | - |
江ノ島水族館のクラゲ




 もはや数年前のことになるが、新装成った江ノ島水族館に行ったときに、何が一番おもしろかったかといえば、やはりクラゲである。青い水の中に、ふうわり、ふうわりと優雅に泳ぐ様は、まさにいやしのシンボルである。最初に出てくる黄色い傘のキノコのようなクラゲは、シーネットルといい、猛毒クラゲのようだ。その次の白いのは、もちろん海水浴客の敵、ミズクラゲである。赤くて足の長いヤツは、アカクラゲとのこと。そして、上下さかさまのような格好で泳いでいるのは、タコクラゲらしい。最後に、いろんな色をしてセコセコ、セカセカと泳ぎ回っているのは、その名もカラージェリーというそうだ。私なら、セカセカ・クラゲとでも名付けたい。



 小田急の江ノ島駅の形も、竜宮城のようで、面白い。








(2007年4月11日記)




カテゴリ:表紙の写真 | 22:19 | - | - | - |
ランという花

天使のスリッパといわれるパフィオペディラム


 近くの東京ドームでは、毎年2月頃になると「世界らん展」という催しが行われる。それには、色とりどり、形がまちまちな数々のランが出展されて、日がな一日歩き回ってもまったく飽きることがない。写真ではわからないだろうが、会場は、ランの花から出る甘酸っぱい香りに包まれている。


カトレアのように愛らしく


 それにしても、これらがランという同一の種であるとは、驚きである。たとえば天使のスリッパといわれるパフィオペディラムと、「カトレアのように愛らしく」のカトレア、それに贈答用に使われるファレノプシスとでは顔かたちがぜんぜん違う。優勝した花のデンドロビュームも同じ種で、高山の冷気の下でだけ咲く花だといわれても、にわかには信じがたいほどである。


贈答用に使われるファレノプシス


 聞いたところによると、なんでもランという花は約3500万年前に熱帯雨林に出現した。花の中では新参者であったから、ランが誕生した頃には熱帯雨林のめぼしい場所は、既に他の植物に占められていた。そこでランがとった戦略は、色鮮やかな花弁や匂いで虫たちを引き付け、特異な形をした構造物で虫の体に花粉を付けて遠くに飛ばすことだったという。それでこの美しい色と形と香りが生まれたらしい。


優勝した花のデンドロビューム




世界らん展




(2007年4月9日記)


カテゴリ:写 真 集 | 09:49 | - | - | - |
東京ミッドタウン
Fragment No-5-Caverna lunaris 



 六本木に先月末、開業したばかりの東京ミッドタウンに行ってきた。そこに入っているリッツカールトンの45階のレストランに予約を入れ、その下見に行ってきたわけだ。さすがにこれほどの高さになると眺めは抜群……といいたいところであるが、何しろ春だから、中国から飛んでくる黄砂で何もかもぼやけていて、近くの東京タワーですら、ぼけた蝋燭のように見える始末である。ホテルのうたい文句によれば、富士山も見えますということだけれども、そんなのは冬の晴れた日でもなければ実現しないだろう。それはともかく、黒い服を着たリッツカールトンのスタッフの皆さん、男も女も噂にたがわず、みな親切だった。





 下に降りてみると、ブティックやレストラン街などがあり、何しろ開業当初の頃だから、どこもたくさんの人が並んでいて、ともかくどこをみても、人、人、人の大混雑である。これでは何ともならないので、落ち着いた頃にまた日を改めて来てみることとした。レストランの中で入ってみたいと思ったのは、HAL Yamamshitaと、ROTI American Wine Bar & Brasserieである。前者は、別に2001年宇宙の旅のコンピューターとは関係なく、山下春幸さんという神戸系シェフのお店である。後者は、カリフォルニアのナパバレーのワインが飲めるという宣伝文句に惹かれた。

 少し昔話になるが、私は若い頃、アメリカの東海岸から西海岸まで、5週間にわたって旅をしたことがある。ビジネス・トリップなので、一流ホテルに泊まり、それなりにちゃんとしたところで食事をしたつもりであるが、食事がおいしいと思ったのは、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルスといった大都会に限られていた。それ以外は、中西部にしても南部にしても、まあ何というか、味がおそろしく単調なのである。早い話、ケチャップ、マスタード、バター、塩、マヨネーズの5種類しかない。それにどういうわけか、ブルドックのような日本風ソースもないし、むろんその頃は醤油も普及していなかった………というわけで、私はもう、飽き飽きしてしまった。

 ところがどうだ、アメリカ人は、これで十分に満足しているようなのである。そればかりか、逆にこれらのいずれかの味でないと、食欲がわかないらしい。ある日、旅の途中にシカゴで郊外生活を味わってみようと、都心部からやや離れた地域に泊まらせてもらったことがある。見渡す限り地平線まで小麦畑が続き、その中を一本道の道路がまっすぐに伸びているという風景が広がる。そこに赤々と夕日が落ちていくのを見ると、ガンマンでも出てきそうな気すらした。

 その道に沿って、これまた西部劇の映画の一シーンのような町があり、その中のとある家に、宿泊させてもらった。その家の女主人は、私が日本人だということで、スーパーで魚を買ってきた。それは白身魚で、何だろうと思ったら、「A Catfish」という。つまり、養殖のナマズだった。内心こんなものを食べるのかと思ったが、好意を無にするわけにいかないので、あとでおそるおそる口にしてみた。すると、意外にも、味は淡白、まるで鶏肉のようで何とか食べられたので、ほっとした。

 それに加えて、そのおばさんは、ご親切にもお米を買ってきてくれた。それも、カルロースというジャポニカ米なので、ぱさつかず、日本米と同じ種類である。私はもう一ヶ月ほど日本米を口にしてなかったから、思わず、「私が炊きます」と言ってしまった。そこで、おばさんに鍋を貸してもらって、米をとぎ、水の量をはかり、火加減に気を配って炊いた。はじめチョロチョロ、なかパッパなどと小さい頃に母に仕込まれた技が、何十年も経って、思いかけず役に立ったというわけである。やがて台所中に、お米が炊ける良い匂いが広がった。私はそれをかいで、何とも幸福な気分にひたったのである。そこでちょうど良い頃合いで火を止めて、おばさんに「10分くらい、そのままにしておいて」と頼み、台所を出た。

 そして、10分後に戻ってみると、何とそのおばさんは、せっかく炊き上がったお米の中に大量のバターを入れて、かき回しているではないか。私は、もうがっかりした。私が「お米というのはね、炊き上がってそのままの状態で食べると、食材の地の味が楽しめておいしいよ」というと、おばさんは「そんなの、味がしないから食べた気がしない」と言い張るのである。私は、「そうか、アメリカ人って、小さい頃からバターだのマヨネーズだのという人工的な味に慣れさせられてきたので、ひょっとして、いわゆる味オンチなのかもしれない」と思った次第である。

 しかし、その後、アメリカ人でも、食材の素の味がわかる人が増えたらしい。というのは、最近では、アメリカのどの地方に行っても、寿司屋のない都市を見つけることができないほど、日本の寿司が普及したからである。寿司というのは、生の魚と、酢飯と、わさびの混合味である。だから、ケチャップ、マスタード、バター、塩、マヨネーズの5種類の味しかわからないような程度の人には、味がしないのではないかと思うからである。

 寿司にせよ、中華にせよ、フレンチやイタリアンにせよ、料理というものは、文化の伝播が相手の国を豊かにするという典型例ではないかと考える。だから寿司と中華がこれほど普及し、また醤油も受け入れられた昨今のアメリカを見るにつけ、今や私は、アメリカ人が味オンチなどとは、決して考えなくなった。




(2007年4月7日記)




カテゴリ:エッセイ | 17:54 | - | - | - |
能登の観光
能登半島北西部の棚田


 2007年3月25日午前9時42分、能登半島沖合を震源とする震度6.9の地震があり、1名が死亡、181名が負傷した。輪島市、七尾市などが含まれるこの地方は、近年ほとんど地震がなかったことから、長らく地震の空白域と思われていた。しかしながら、去る04年10月の新潟県中越地震(震度7)と同様に、住民にとっては文字通り不意打ちとなった地震である。


和倉温泉源



 私は、2年半ほど前に能登半島へ観光に行き、半島中部の能登空港に降り立った。それからは、観光バスに乗って、まさに震源となった半島北部の西側をくまなく巡ったことから、現地の様子を多少は知っているつもりである。だから、まだ避難を続けておられる皆様には、心からのお見舞いを申し上げたい。

 ところでこの半島は、かつては漁業などで栄えた時期もあったようであるが、山また山の平地の少ない地形に棚田があり、わずかに塩田業があったことなどからすると、申し訳ないが、決して豊かとはいえない地域である。しかし、半島の真ん中に能登空港を作り、和倉に日本一の接客を誇る加賀屋があり、輪島の朝市を売出しなどと観光に力を入れていたが、その矢先の大地震である。地域の皆さんのせっかくの努力が無に帰すことのないように、祈るばかりである。



「ソーラン踊り」の祭典


 ところで、ここで見た「ソーラン踊り」の祭典は、威勢の良い大漁節風のソーラン節に合わせて、老若男女がそろって踊り狂う現代の伊勢参りのようであった。現にこれを見てから東京に帰ると、表参道商店街が、全国各地からソーラン踊りグループを集めて大々的に大会を開いていた。家族そろって参加できるし、チームワークも必要だし、踊りの振り付けにも工夫がいる。なかなか良い趣味だと思うが、いかがだろうか。


「ソーラン踊り」の祭典





(2007年4月6日記)



カテゴリ:写 真 集 | 22:36 | - | - | - |
安田講堂の枝垂れ桜




 文京区本郷の東京大学の構内は、歴史的建造物の周囲を銀杏がとり囲んているようなものである。そこで、特に秋になると、銀杏は黄葉するし、もみじなどの紅葉が実に美しい。たとえば三四郎池の周辺などは、まるで深山幽谷にいるような趣がある。

 それに続いて春も、東京大学の構内に数多くあった桜の風景がすばらしいものてあった。ところが残念なことに、昨年来、本郷通りに面していた数多くの桜の古木が切られてしまって、新しい建物を建築中である。

 ということで、構内の桜は、赤門の近く、医学部の周辺、安田講堂の両脇となってしまった。この写真は、安田講堂の脇にある枝垂れ桜であり、今や春の東京大学のシンボルのような存在となっている。





 ところで、今週から新学期の始まりである。長いお休みをエンジョイさせていただいた身には、ちとキツイ日々が続くが、休み中に充電させていただいた内容をさらにブラッシュアップし、新入生の顔でも見て、元気を出していきたい。そこで一句。

 桜舞う 赤門くぐる 新入生 ・・・ うぅむ、これは駄作だったなぁ・・・。



 桜咲き 赤門くぐる 新入生 ・・・ ますます、悪くなった・・・。

 新人を 桜吹雪が お出迎え・・・ これくらいで、まあ満足しておこうか。


 それにしても修行が足りないと反省。




(2007年4月1日記)




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