狂言と京舞
2007.02.15 Thursday | by 悠々人生
先月下旬に、家内と大阪京都に旅をし、風景、文物、お寺などを見に行ってきた。その際、一番感動したのは、やはり古都の京都であった。蹴上の都ホテルに泊まり、昼間はあちらこちらの寺社仏閣を参拝した。夕暮れになると先斗町界隈をそぞろ歩きをし、最後の日は花見小路を下り、祇園コーナーまで行って伝統芸能をお手軽に見てきたのである。その中で、面白かったのは、狂言と京舞であった。
狂言「棒縛り」のさわり………自分が留守にすると、二人の家来、太郎冠者と次郎冠者が大切な酒を飲んでしまうのに頭を悩ませていた者人は、ある夜、一計を案じた。まず太郎冠者の両腕を広げさせて棒にしばりつけた。次いでそれを笑いながら手伝った次郎冠者の手も前にしばり、そうして主人は、安心して出かけた。しかし、そんなことで怯むふたりではない。不自由な手で戸を開けて、太郎冠者がまず次郎冠者に酒を飲ませる。そして、次郎冠者も太郎冠者に飲ませ、大いに歌を歌い、主人が帰って来る頃には、すっかり酔っぱらっていたというもの。
京舞……… 舞踊のうち、「踊り」とは江戸時代に始まった歌舞伎の系統を引く。これに対し、「舞」は京都などの関西で発達していったものである。踊りは体の動きで表現するのに対して、舞は省略された動きの中で豊かに表現しようとしたという。京舞はもちろん後者の系統で、座敷芸として宮廷風の品の良さを取り入れて、雅た動きを示す。毎年春の「都をどり」は、優雅、豪華、絢爛というにふさわしいというもの。この日の二題のうち、何といっても「祇園小唄」がいい。今や、祇園を象徴する踊りとなっている。
祇園小唄 長田幹彦作詞・佐々紅華作曲
1 月はおぼろに 東山
霞む夜毎の かがり火に
夢もいざよう 紅桜
しのぶ思いを 振袖に
祇園恋しや だらりの帯よ
2 夏は河原の 夕涼み
白い襟あし ぼんぼりに
かくす涙の 口紅も
燃えて身をやく 大文字
祇園恋しや だらりの帯よ
3 鴨の河原の 水やせて
咽ぶ瀬音に 鐘の声
枯れた柳に 秋風が
泣くよ今宵も 夜もすがら
祇園恋しや だらりの帯よ
4 雪はしとしと まる窓に
つもる逢うせの 差向い
灯影つめたく 小夜ふけて
もやい枕に 川千鳥
祇園恋しや だらりの帯よ
舞妓さんの舞(ビデオ)
(2007年2月15日記)