徒然031.近頃の傷の手当て

 ニキビのちょっと大きなようなものができたので、皮膚科に行ってそれを取ってもらった。皮膚を2〜3センチほどカットしたので、数針縫ってもらったのだが、そのあとの手当の方法を知ってびっくりした。私の常識では、その傷のところに化膿止めの軟膏を塗り、滅菌ガーゼを当ててしっかりと固定して、1週間くらいはお風呂を控えるなどという注意を受けるはずであった。

 ところが実際は、2日分くらいの化膿止めの飲み薬をもらい、傷口にガーゼを当てられ、「きょうはやめておいた方がいいけれど、明日からはお風呂に入ってもいいですからね」と言われた。私が「そんな・・・」という顔をすると、医者は「いや、最近は、そうなんですよ」という。

 そういえば、待合室に有った本を暇つぶしに読んでいると、「傷の手当て」と題して面白い記事が載っていた。それによると、「負傷したとき、異物があればまずそれを取り除き、異物がなければそのまま、傷口を水道水で洗い流すようにし、それから傷口の乾燥を避けるために透明な被覆剤(家庭にあるものでは、ラップ・フィルムで代用できる)をかぶせて、落ちないようにサージカル・テープで止める」というのが正しい手当だというのである。

 ちなみに、従来は消毒薬を使っていたが、それでは自分の傷口を修復しようとしている細胞まで殺してしまうので、よろしくないというのである。そして、水道水の消毒力は、消毒薬とさほど違わないとまで書いてある。また、傷口から滲出してくる液体こそが修復するために大事なものなので、それをむやみに吸収するガーゼのような材料よりも、ラップ・フィルムのような被覆材を使うべきだとする。

 これでは、ほとんど自力で直せというのと変わらないではないかと思うのであるが、どうやら、そういうことらしい。この治療方法の方が、治りが早くてしかも治り方がきれいだという。それを読んで、ふと顔を上げると、治療室から出てくる人たちの、顔やら手の擦り傷に、透明なフィルムが貼られている。確かに、この治療方法が現に行われていた。それにしても、昨日の常識は、今日の非常識になるとは、何とも分かりにくい世の中である。




(2005年10月18日記)



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