徒然030.最新カーナビと郵政民営化

 2005年9月11日は、あのニューヨークの貿易センタービルなどへの大規模テロから、ちょど5年が経過する日である。ところが2005年9月11日は、日本では小泉首相が、郵政民営化を唯一の争点として打って出た、総選挙の投票日でもある。今日はその3日前であるが、先週末の新聞の報道によれば、自民党の圧勝という予想とされている。もちろん、この種の予想は外れるのが常であるから、何ともいえない。しかし、それにしても、今日はなぜ郵政民営化が必要なのか、身をもって体験した。

 事の起こりは、お昼に、私の乗ったオフィス・カーが事故に遭ったことである。小雨のそぼ降る中、私の乗った車が上り坂を右折しようとしたところ、坂の上から降りてきたタクシーが、停まらずにそのまま私の車の右後部ドアに、ドーンと音を立ててぶつかってきたのである。それだけでなく、そのタクシーは、ぶつかった直後にあわててその坂をバックしようとして、いったんはバックできたものの、どういうわけかブレーキが利かずに、すぐ落ちてきてまたぶつかってきたのである。いわば、同じところに二度ビンタをくらったようなものだ。おかげで、右後部ドアがへこんでしまった。

 タクシーの運転手が降りてきて「お体は、大丈夫ですか」などと、平謝りに謝った。こちらは、私はたまたま後部左の座席にいたし、運転手の席にも当ったわけではないので「ああ、二人とも大丈夫ですよ」と答えて、ぶつかった箇所をチェックし「それにしても、派手にやりましたなぁ」というと、タクシーさんは、頭をかいていた。そうこうしているうちに、近くの派出所から警官が来てくれて「ここは、よく事故があるんですよ」などといいながら、手早く書類を作ってくれた。私はしばらくその場にいたが、あとは運転手に任せて近くで用事を済ませた。

 私の車の運転手は、それから車を修理に出し、レンタ・カーをあてがってもらったらしい。夕方に帰る段になって、私はそのレンタ・カーをはじめて見た。私がいつも乗っている車と比べて、やや大きい。そして、運転席の横には、カーナビがある。いまや6〜7割の車がつけているカーナビであるが、実は悲しいことに、私の車には装着されていない。したがって、私は最新式のカーナビなるものを、初めて見たのである。

カーナビ画面 カーナビ後部画面



 それは、運転手とて同じで「これ、面白いですよ。」などと言いながら、信号で停まるたびにいじっている。私もそのカーナビを眺めて、よく出来ているとつくづく思った。何しろ出始めのカーナビは、車が川や海の中を走っているのは、ざらにあることだったから、そのわずか数年の技術の進歩には、すさまじいものがある。それに対してこのカーナビは、正確さはもちろん、表示もわかりやすい。手前の方と奥の方とでは、縮尺を変えているようで、まるで鳥瞰図のように見える。しかも、画面上で赤くなっている道路は、渋滞中であるらしい。確かに、至れり尽くせりとは、このことである。感心しつつも、運転手と一緒に楽しんでいるわけにはいかない。「おっと、前をよく見てね。」などと、私は気が気でない。

 また、運転手は、画面の下のボタンを押し始めた。『銀行』、『コンビニ』を押すと、いま走っている近くの銀行とコンビニが、ロゴ入りで出てくる。いやすごい。それどころか、車のギヤをバックに入れると、何とまあ、車の後ろの映像がカーナビ画面に出てくるのには、びっくりした。いったい、何だこれはという感じである。地図というより、情報端末と言うべきか。

 さて、カーナビに、『銀行』や『コンビニ』のボタンと並んで、『郵便局』というのがある。神田神保町を通り過ぎようかというとき、それを押してみた。すると、驚いたの何のって・・・。画面いっぱいに重なるように、郵便局のロゴがたくさん出てきた。大げさかもしれないが、わずか数ブロックの範囲内の、ありとあらゆるところに郵便局がある。ざっと数えて、20局はあったであろうか。それを見て、私と運転手は同時に叫んだ。「やっぱり、郵政民営化は必要なんだ!」




(2005年9月12日記)


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