皇居のしだれ桜
2004.03.31 Wednesday | by 悠々人生
私はいつも自動車での通勤途中に、皇居大手濠から桔梗濠にかけての内堀通りを通るが、四季折々にその車窓から眺めるこれらのお濠の諸々の美しさが気に入っている。いまの季節は、もう何といっても満開の桜である。しかもそれは、染井吉野ではない。普段はお堀端にひっそりとたたずんでいる何の変哲もないもので、全く目立たない風を装っている木だが、実は桜の木であることが、面白いのである。
ご承知のように皇居のお濠端には、美しい柳の並木が、たくさん植えられている。この桜の木は、普段はそれらの柳と区別がつかないほどの「しだれ桜」である。つまり、まるで柳の擬態をしているようにも思えてしまう木なのだ。
ところがこの季節になると、「よし、やっと私の出番よ」とでもいうように、驚くほどの変身をみせる。いつもは柳のようにだらりと垂れ下がっている幾本もの小枝だが、そこから、これでもかと言わんばかりに、見事な桜の花を満開に咲かせる。本当に見事な、すばらしい景色である。
あまりの美しさに、ちょっと車を停めてもらって、あわてて撮影したのが、この写真である。本物の美しさの何分の一かでも、そのうつろい行く桜の美を残せたらと思う。
(2004年3月31日記)