徒然018.年 の 功

 私の勤務先で永年勤続表彰をするので承知していただきたいとの回状がまわってきた。なんの気なしに「はて、今年は誰だろう」と思ってその紙を見たところ、何とその冒頭に私自身の氏名が上がっていて、勤続30年の対象者であるとのこと。

 自分ではこれまでいちいち勤続年数を数え上げるようなことがなかっただけに、「もう、30年にもなるのか」という驚きの気持ちや、「そういえば同期で入った21人の中で、まだ辞めずに残っているのは9人だから仕方がないか」という諦めの心境とかが心の中で交錯して、なかなか複雑なものがある。

 そういえば、この表彰対象には20年もあるが、私はそんなのもらった記憶がない。どうなっているのだろう。ひょっとしたら、忘れられたのかも。そういう意味では、今回はよく思い出してくれたものだ。よって「そんなの、いらない」などと要らぬ抵抗はせずに、せっかくだから有り難く表彰の栄に預かることとしよう。こういう素直な気持ちになれるところが、勤続30年という年齢の最大の功かもしれない。





(2003年11月20日記)


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