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新型コロナウイルス緊急事態宣言 (第2部)
13.新型コロナウイルスの伝播経路

 ここで、今回の新型コロナウイルスの由来に関する興味深い報告があったので、記録しておきたい。国立感染症研究所は、日本人の新型コロナウイルス感染者560人、世界の感染者4500人について、ウイルスのDNAを解析した。

 そうすると、新型コロナウイルスは、次の図の真ん中の武漢から端を発し、ダイヤモンドプリンセス号や初期の日本に伝播した。そして、北米西海岸にも伝わった。ところが、このウイルスの株の流行は、そこで一旦は終息したらしい。代わって猛威をふるったのは武漢から欧州へ飛んだウイルスの株で、欧州各地で暴れまわった後、北米東海岸に飛んで、ニューヨークなどで大惨事を引き起こした。と同時にそのウイルスの株は日本に伝わって、最近の流行をもたらした。つまり、最近3月から4月にかけての日本での流行は、3月に欧州から帰国した者によってもたらされたというのである。



国立感染症研究所による新型コロナウイルス伝播DNA解析(漢字と矢印は、筆者の追加)



 ちなみに、日本国内におけるウイルスの遺伝子的な特徴を調べた研究によると、令和2年1月から2月にかけて、中国武漢から日本国内に侵入した新型コロナウイルスは3月末から4月中旬に封じ込められた(第1波)一方で、その後欧米経由で侵入した新型コロナウイルスが日本国内に拡散したものと考えられている(第2波)。(5月14日付け官邸対策本部資料10頁)


(13は、4月28日記、5月14日追記)


14.決死の覚悟で病院へ

 ところで、この外出自粛の期間中、家内がどうしても病院に行く必要が生じてしまった。普段の持病の薬は、虎ノ門病院に電話してかかりつけの医師と話をさせてもらい、そこで処方箋を作成の上、自宅に送付したもらって、近くの薬局で入手することができたので、それは問題がなかった。ところが、連休の半ばに、家内が発熱したのである。37.2度くらいだから、大したことではないが、一瞬、新型コロナウイルスではないかとの疑念が頭をよぎる。家内は、私より若いが高齢者であることには違いなく、かつ持病があるので、高リスクだ。でも、症状をよくよく観察すると、風邪の症状は出ていないし、代わりに若干の腹痛を伴うので、これは2年前のこの同じ季節に罹ったあの病気ではないかと思い当たった。その時の記録を引っ張り出して読んでみると、やはりそうに違いないと確信した。

 弱ったことに、そうだとすると、病院に足を運んで抗生物質を処方してもらわないといけない。明後日から連休の後半が始まるから、明日5月1日の金曜日は最後のチャンスだ。もし病院に行かないまま連休中に悪化して救急車で運ばれても、熱があるので新型コロナウイルスと間違われて診察を受けられないというのでは困る。昨日は、救急車が搬送先の病院を探すのに50ヶ所も電話した事例があったそうだ。そうした状況は避けたい。ただ、明日に病院に行くのには間違いなく大きな危険を伴う。まるで、新型コロナウイルスの真っ只中に行くようなものだからだ。どうしたものかと思いながら、虎ノ門病院のウェブサイトを見る。すると、普段は午前8時半からの開院だが、午前8時から、全ての来院者に問診と体温測定を行うとして、次のような掲示があった。

 「緊急事態宣言の発令に伴い、新型コロナウイルス感染症対策のため、当院では全ての来院者に問診と体温測定を行うことになりました。問診、体温測定を行ってない方は院内へ入ることはできません。また、体温測定の結果37.5℃以上の発熱が確認された方・鼻水・のどの痛み・咳などの症状がある方は、当院にて症状に応じた診療を行うことにいたしますので、ご協力お願いいたします。」

 なるほど、病院の方もそれなりに警戒しているようだから、待合室で伝染るということはあまりなさそうだ。それではと、行くことに決めた。文字通り、必死の覚悟である。午前7時半に自宅を出なければならない。ただ、通勤時間に地下鉄を使うと危ないので、タクシーにした。そういうことで、当日は二人でタクシーに乗り込み、窓を開けて空気が流れるようにした。午前8時に病院に着いた。すると乗ったまま地下2階の入口に連れていかれて、そこで体温計を渡されて測り、問診票に記入させられた。問診票の問はありきたりのものだったが、最後の問にはビックリした。それは、「最近、永寿総合病院、慶応大学病院、墨東病院に行ったことはありますか。」というものだったからである。いずれも、院内感染が問題になっている病院だとはいえ、いささか露骨過ぎはしないか。

 そのスクリーニングが終わって、2階の受付に上がって行ったら、人が少ないのには驚いた。普段は高齢者でごった返しているというのに、空いていてガラガラだ。実感として4分の1ほどだ。それは待合室でも同じ。だから、予約外でも直ぐに診てもらえた。医師の診断は、やはり、2年前と同じ病気であった。抗生物質の処方箋をもらって、一件落着した。帰りは地下鉄で帰ってきたが、車内はガラガラだった。二人とも、新型コロナウイルスに罹っていないことを願おう。


15.緊急事態宣言の延長直前の状況

 4月30日の時点で、PCR検査で陽性とされた世界の新型コロナウイルス患者数(うち、死亡者数)の累積をみると(ジョンズ・ホプキンス大学まとめ)、次のようになっている。

世界合計  3,156,136人(227,705人)

 アメリカ 1,040,488人(60,999人)
 スペイン   236,899人(24,275人)
 イタリア   203,591人(27,682人)
 フランス   166,543人(24,121人)
 イギリス   166,441人(26,166人)
 ドイツ    161,539人( 6,467人)
 トルコ    117,589人( 3,081人)
 ロシア     99,399人(   972人)
 イラン     93,657人( 5,957人)
 中 国     83,644人( 4,637人)
 ..............................................
 シンガポール  15,641人(    14人)
 オーストリア  15,402人(   580人)
 チ リ     15,135人(   216人)
 日 本     13,965人(   425人)
 ベラルーシ   13,181人(    84人)

 これを見ると、日本は患者数にして29番目の国となっている。もっとも、日本ではPCR検査を十分に行われていないので見かけの患者数が少ないという批判があるのはその通りであるから、あまり大きなことは言えない。いずれにせよ、医療崩壊が起こったアメリカ、スペイン、イタリア、フランス、イギリスの死者数の多さは目を覆うばかりである。これから日本がこの道を通るのかどうかは、まだ分からない。

 他方、日本においては、4月30日は、8日の緊急事態宣言から約3週間が経過した日になる。そこで、5月1日午前10時半現在の都道府県の患者数を見ると、次の通りである。(NHK調べ)


都道府県の患者数




 これによると、東京都の患者数が4,152人と、全体の3割を占めている。その東京都の日毎の患者数の推移を見ると、次のように、4月17日にピークに達した後、漸減傾向にある。やはり、外出自粛と施設使用制限の効果が現れていることは、明らかである。ただ、まだ46人という高水準である。仮にこれが、1日に1桁の数人というレベルにまで落ちれば、とりあえずは安心ということになるのだが、それが何時になるかは全く見通せない。いずれにせよ、当初の緊急事態宣言の期限である5月7日にはとても間に合いそうにないから、その延長は間違いないという状況になっている。

 3月31日  78人
 4月 5日 143人
 4月11日 197人
 4月17日 217人
 4月24日 161人
 4月28日 112人
 4月30日  46人


東京都の患者数




 ところで、緊急事態宣言が出てからの動きをいくつか記録しておきたい。政府の専門家会議の方針は、人出の8割削減を目標としている。東京都であれば大手町、丸の内、新宿、銀座、渋谷などの繁華街においては、確かにこの目標は、ほぼ達成できている。ところが、問題は、住宅地近くの商店街や公園については、かえって人通りが増えてしまっていることで、例えば、戸越銀座商店街、巣鴨商店街、駒沢公園、砧公園などだ。これは、在宅勤務の人達が飽きて繰り出したものと考えられる。次に、湘南や鎌倉、沖縄などに観光客が押し寄せることで、これも都会のウイルスを観光地に撒き散らすことになるので、各自治体の首長が「来ないでほしい」と呼び掛けている。常日頃とは全く反対なので、皮肉なものだ。

 パチンコ屋の営業も問題となっている。これは、もちろん施設の使用停止要請の対象として明示されているが、東京都では、これに応じずに引き続き営業をしていた店が10軒あった。これに対し、新型インフルエンザ対策特別措置法第45条第2項に基づいてもう一度要請をして、それでも応じてもらえない場合には、同条第3項に基づき指示を行うことが検討されたが、それに至るまでに営業を自粛したようだ。他方、茨城県、千葉県、神奈川県などでも営業をしているパチンコ屋があり、しかも駐車場には他の都県のナンバーが目立つというので、ますます問題になっている。こうした県では、店名公表まで踏み切った県もある。関東地方以外では、大阪府、京都府、兵庫県、愛知県なども店名を公表した。意外だったのは、店名を公表すると、パチンコ・ファンがそこが営業している店だと認識して押し掛けるという「逆効果」があったことだ。 なお、店名を公表しても、なお営業を継続している店があったことから、兵庫県、神奈川県などでは、5月1日、第45条第3項の指示を行った。

 この点につき、西村康稔担当相は、4月28日の予算委員会で「特別措置法について『強制力を持つ形で検討せざるを得ないということも考えている』と表明して罰則の適用を示唆し、内閣法制局とも相談する」という姿勢を見せた。仮にそうなると、本特別措置法の性格が大きく変貌することになる。

 5月1日の専門家会議がまとめた報告書の概念図は次のとおりで、この内容が緊急事態宣言の延長に際して考慮されるものと思われる。


専門家会議がまとめた報告書


専門家会議がまとめた報告書


(14と15は、5月1日記)


16.緊急事態宣言を5月末まで延長

(1)4月7日の緊急事態宣言の元となった「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(3月28日)は、5月7日までを期限としていた。ところが、昨今の感染症とその対策の状況を踏まえ、緊急事態宣言を見直して、期限を5月末まで延長するとともに、その内容に一部変更を加えるために、基本的対処方針が5月4日に変更された。その変更された部分の骨子は、次の通りである(5月4日対策本部総理発言)。 政府や地方公共団体、医療関係者、専門家、事業者を含む国民の一丸となった取組により、全国の実効再生産数は1を下回っており、新規報告数は、オーバーシュートを免れ、減少傾向に転じるという一定の成果が現れはじめている。一方で、全国の新規報告数は未だ200人程度の水準となっており、引き続き医療提供体制がひっ迫している地域も見られることから、当面、新規感染者を減少させる取組を継続する必要があるほか、地域や全国で再度感染が拡大すれば、医療提供体制への更なる負荷が生じるおそれもある。このため、令和2年5月4日、法第32条第3項に基づき、引き続き全都道府県を緊急事態措置の対象とし、これらの区域において緊急事態措置を実施すべき期間を令和2年5月31日まで延長する。ただし、10日後の5月14日を目途に、専門家にその時点での状況を改めて評価をしてもらい、もはや緊急事態措置を実施する必要がなくなったと認められるときは、 期間内であっても速やかに緊急事態を解除する。


13の特定警戒都道府県とそれ以外の県の差(NHKニュースより)



東京都や大阪府など13の特定警戒都道府県では、引き続き、極力8割の接触削減に向けた、これまでと同様の取組をする必要がある。一方で、それ以外の県においては、感染拡大の防止と社会経済活動の維持との両立に配慮した取組に、段階的に移行する。例えば、これまでクラスターの発生が見られず、3つの密(密閉、密集、密接)を回避できる施設については、感染防止対策を徹底した上で、各県における休業要請の解除や緩和を検討する。なお、国民の皆様におかれては、まん延防止の観点から、引き続き、不要不急の帰省や旅行など、都道府県をまたいだ移動は極力避けるようにお願いする。

これからの1か月は緊急事態の収束のための1か月であり、次なるステップに向けた準備期間である。専門家からは、今後、この感染症が長丁場になることも見据え、感染拡大を予防する新たな生活様式の提案があった。様々な商店やレストランの営業、文化施設、比較的小規模なイベントの開催などは、この新しい生活様式を参考に、人と人との距離をとるなど、感染防止策を十分に講じながら実施して結構である。今後2週間をめどに、業態ごとに、専門家の協力を得ながら、事業活動を本格化させるための、より詳細な感染予防策のガイドラインを策定する。

 (参 考) 「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020年5月4日)

(2)専門家会議が提唱する新しい生活様式


○ 5月1日の提言では、感染の状況は地域において異なっているため、 感染の状況が厳しい地域では、新規感染者数が一定水準まで低減するまでは、医療 崩壊を防ぎ、市民の生命を守るため、引き続き、基本的には、「徹底した行動変容の要請」が必要となる。 一方で、新規感染者数が限定的となり、対策の強度を一定程度緩められるようになった地域(以下「新規感染者数が限定的となった地域」という。)であっても、再度感染が拡大する可能性があり、長丁場に備え、感染拡大を予防する新しい生活様式に移行していく必要がある、と指摘した。

○ これまでの提言でも、感染拡大を食い止めるために徹底した「行動変容」の重要性を訴え、手洗いや身体的距離確保といった基本的な感染対策の実施、「3つの密」を徹底的に避けること、「人との接触を8割減らす10のポイント」などの提案を重ねてきたところである。今回の提言では、5月1日の提言を踏まえ、新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」を具体的にイメージいただけるよう、今後、日常生活の中で取り入れていただきたい実践例を次のとおり、整理した。


新しい生活様式



○ 新型コロナウイルスの出現に伴い、飛沫感染や接触感染、さらには近距離での会話への対策をこれまで以上に取り入れた生活様式を実践していく必要がある。これは、 従来の生活では考慮しなかったような場においても感染予防のために行うものである。

〇 新型コロナウイルス感染症は、無症状や軽症の人であっても、他の人に感染を広げる例がある。新型コロナウイルス感染症対策には、自らを感染から守るだけでなく、自らが周囲に感染を拡大させないことが不可欠である。そのためには一人ひとりの心がけが何より重要である。具体的には、人と身体的距離をとることによる接触を減らすこと、マスクをすること、手洗いをすることが重要である。市民お一人おひとりが、日常生活の中で「新しい生活様式」を心がけていただくことで、新型コロナウイルス感染症をはじめとする各種の感染症の拡大を防ぐことができ、ご自身のみな らず、大事な家族や友人、隣人の命を守ることにつながるものと考える

(3)業種ごとの感染拡大予防ガイドラインに関する留意点


○ 今後、感染拡大の予防と社会経済活動の両立を図っていくに当たっては、特に事業者において提供するサービスの場面ごとに具体的な感染予防を検討し、実践することが必要になる。

○ 社会にはさまざまな業種等が存在し、感染リスクはそれぞれ異なることから、業界団体等が主体となり、また、同業種だけでなく他業種の好事例等の共有なども含め、 業種ごとに感染拡大を予防するガイドライン等を作成し、業界をあげてこれを普及し、現場において、試行錯誤をしながら、また創意工夫をしながら実践していただくことを強く求めたい。

○ ここでは、各業種のガイドライン等の作成に当たって求められる基本的な考え方 や留意点の例をまとめた。また、実際にガイドライン等を作成するに当たっては、適宜、感染管理にノウハウのある医療従事者などに監修を求めることにより、効果的な対策を行うことが期待される。


○ また、新型コロナウイルス感染症から回復した者が差別されるなどの人権侵害を 受けることのないよう、円滑な社会復帰のための十分な配慮が必要である。

(リスク評価とリスクに応じた対応)
○ 事業者においては、まずは提供しているサービスの内容に応じて、新型コロナウイルス感染症の主な感染経路である接触感染と飛沫感染のそれぞれについて、従業員 や顧客等の動線や接触等を考慮したリスク評価を行い、そのリスクに応じた対策を 検討する。

 ・ 接触感染のリスク評価としては、他者と共有する物品やドアノブなど手が触れる場所と頻度を特定する。高頻度接触部位(テーブル、椅子の背もたれ、ドアノブ、 電気のスイッチ、電話、キーボード、タブレット、タッチパネル、レジ、蛇口、手すり・つり革、エレベーターのボタンなど)には特に注意する。

 ・ 飛沫感染のリスク評価としては、換気の状況を考慮しつつ、人と人との距離がどの程度維持できるかや、施設内で大声などを出す場がどこにあるかなどを評価する。

(各業種に共通する留意点)
○ 基本的には、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく感染拡大防止策を徹底することが重要である。例えば、人との接触を避け、対人距離を確保(できるだけ 2mを目安に)することのほか、以下のものが挙げられる。

 ・ 感染防止のための入場者の整理(密にならないように対応。発熱またはその他の感冒様症状を呈している者の入場制限を含む)
 ・ 入口及び施設内の手指の消毒設備の設置
 ・ マスクの着用(従業員及び入場者に対する周知)
 ・ 施設の換気(2つの窓を同時に開けるなどの対応も考えられる)
 ・ 施設の消毒(症状のある方の入場制限)
 ・ 新型コロナウイルスに関しては、発症していない人からの感染もあると考えられるが、発熱や軽度であっても咳・咽頭痛などの症状がある人は入場しないように呼びかけることは、施設内などにおける感染対策としては最も優先すべき対策である。 また、状況によっては、発熱者を体温計などで特定し入場を制限することも考えら れる。  ・ なお、業種によっては、万が一感染が発生した場合に備え、個人情報の取扱に十 分注意しながら、入場者等の名簿を適正に管理することも考えられる。

(感染対策の例)
 ・ 他人と共用する物品や手が頻回に触れる箇所を工夫して最低限にする。
 ・ 複数の人の手が触れる場所を適宜消毒する。
 ・ 手や口が触れるようなもの(コップ、箸など)は、適切に洗浄消毒するなど特段の対応を図る。
 ・ 人と人が対面する場所は、アクリル板・透明ビニールカーテンなどで遮蔽する。
 ・ ユニフォームや衣服はこまめに洗濯する。
 ・ 手洗いや手指消毒の徹底を図る。
 ・ 美容院や理容、マッサージなどで顧客の体に触れる場合は、手洗いをよりこまめにするなどにより接触感染対策を行う。(手袋は医療機関でなければ特に必要はなく、こまめな手洗いを主とする。)


(トイレ)
 ・ トイレは、感染リスクが比較的高いと考えられるため留意する。便器内は、通常の清掃で良い。
 ・ 不特定多数が接触する場所は、清拭消毒を行う。
 ・ トイレの蓋を閉めて汚物を流すよう表示する。
 ・ ペーパータオルを設置するか、個人用にタオルを準備する。
 ・ ハンドドライヤーは止め、共通のタオルは禁止する。


(休憩スペース)
 ・ 休憩スペースは、感染リスクが比較的高いと考えられるため留意する。一度に休憩する人数を減らし、対面で食事や会話をしないようにする。 休憩スペースは、常時換気することに努める。共有する物品(テーブル、いす等)は、定期的に消毒する。従業員が使用する際は、入退室の前後に手洗いをする。


(ゴミの取扱い)
 ・ ゴミの廃棄で、鼻水、唾液などが付いたごみは、ビニール袋に入れて密閉して縛る。
 ・ ゴミを回収する人は、マスクや手袋を着用する。
 ・ マスクや手袋を脱いだ後は、必ず石鹸と流水で手を洗う。


(清掃・消毒)
 ・ 市販されている界面活性剤含有の洗浄剤や漂白剤を用いて清掃する。
 ・ 通常の清掃後に、不特定多数が触れる環境表面を、始業前、始業後に清拭消毒することが重要である。
 ・ 手が触れることがない床や壁は、通常の清掃で良い。


(その他)
 ・ 高齢者や持病のある方については、感染した場合の重症化リスクが高いことから、サービス提供側においても、より慎重で徹底した対応を検討する。
 ・ 地域の生活圏において、地域での感染拡大の可能性が報告された場合の対応について検討をしておく。感染拡大リスクが残る場合には、対応を強化することが必要となる可能性がある。
 ※ 業種ごとに対応を検討するに当たっては、これまでにクラスターが発生している 施設等においては、格段の留意が必要である。



(16は、5月5日記)


17.出口戦略をめぐる鞘当てと各国の状況

(1)4月7日に緊急事態宣言が発出されて、かれこれ1ヶ月が経過した。この間、全国ベースでは、次のように1日当たりの感染者数は4月11日の719人をピークに5月6日には105人となり、4月7日の260人よりは減って、3月25日の96人くらいの水準になってきた。外出自粛と施設の使用制限は、明らかに効果を上げている。


1日当たりの感染者数の推移(NHKニュースより)



 それは良いことだが、その反面、この間の経済的な打撃は相当なものである。とりわけ街中の飲食店、商店街などの小規模零細企業の皆さん、観光地の土産物屋さん、旅館やホテル、旅行代理店、派遣労働者、アルバイトで生計をたてていた学生さんなどは、お客さんや観光客が来てくれなくなった結果、仕事がなくなって収入源を絶たれた。やがてこれが、個人事業主のみならず中小企業から大企業にまで及ぶと、破産が続出してそれこそ経済が破綻しかねない。そういうことで、経済界からは一刻も早く解除してほしいという圧力が高まる。その一方でせっかく押さえ込みに成功しつつあるのに、その効果を確かめないままに安易に解除すると、元の木阿弥になるという心配が付きまとう。

 現に北海道では、札幌雪まつりなどに来た武漢からの観光客を感染源とする2月19日から3月16日にかけての第1波を、鈴木知事の「政治決断」としての緊急事態宣言で押さえ込み、4月6日にはいったん患者数がゼロとなった、ところが、4月9日頃からまた第2波の流行が始まった。これは、ちょうど転勤の季節で東京から転勤者がどっと流入したこと、東京で大学生活を送っている子供たちが、春休みと授業がないので北海道に帰省したことなどから、東京で流行している新型コロナウイルスが持ち込まれたというのが定説である。今回の国全体の緊急事態宣言もこのようなことになれば、1ヶ月以上に渡る努力も水の泡となる。


北海道の1日当たりの感染者数の推移(NHKニュースより)



 かくして、緊急事態宣言からいつどのように脱して経済、仕事、学校、日常生活をいかに正常な姿に戻すか・・・これを「出口戦略」と称するらしいが・・・これが問題となる。これについて、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室長から各都道府県知事あてに「緊急事態措置の維持及び緩和等に関して」という事務連絡が5月4日に出されている。その内容は実に色々なことが書かれているが、簡単に言えば、次の図のようなものである。つまり、13特定警戒都道府県とそれ以外の県とに分ける。前者の13は、外出自粛などを引き続き行い、施設の類型に応じて若干の緩和を行う。後者のそれ以外は、各県知事の判断でかなりの緩和も認めるというものである。


施設の使用制限に関する今後の方針



 そして、前述の通り、「10日後の5月14日を目途に、専門家にその時点での状況を改めて評価をしてもらい、もはや緊急事態措置を実施する必要がなくなったと認められるときは、 期間内であっても速やかに緊急事態を解除する。」という。ところが、この点につき、吉村洋文大阪府知事が噛みついた。曰く「『具体的な基準を示さず、単に延長するのは無責任だ。困っているのは大阪だけじゃない。(政府は)具体的な指標を全国に示してもらいたい』と指摘。大阪府の基準は、(1)感染経路が不明な新規感染者が10人未満(2)検査を受けた人に占める陽性者の割合(陽性率)が7%未満(3)重症病床の使用率6割未満――の3点。これを「警戒信号の消灯基準」とした。(1)と(2)の数値は日々の変動が大きいため、過去7日間の平均(移動平均)をみる。」(5月6日付け朝日新聞朝刊)

 何やら、緊急事態宣言発出時の緊急事態措置を巡っての4月8日から10日かけての国(西村担当大臣)と小池百合子東京都知事とのやり取りを彷彿とさせるものである。その時は、小池知事に軍配が上がった。しかし、今回は明らかに吉村洋文大阪府知事の方が誤っている。新型インフルエンザ対策特別措置法には、具体的にどのような「まん延の防止に関する措置」を講ずるかは特定都道府県知事の裁量の範囲内であるから、それを国に一律に決めて欲しいというのは、法律を読んでいない証左である。仮にそれが緊急事態宣言そのものの解除宣言(同法32条5項)というのであれば、それは政府対策本部長(総理)の権限であるから、府知事からとやかく言われる事柄ではない。若さによる勇み足だろう。

 案の定、西村担当大臣はツィッターで、「緊急事態宣言からの『出口』ということなら、国が専門家の意見を聞いて考える話だ」と述べた。これに対して、吉村知事もツィッターで「「西村大臣、仰るとおり、休業要請の解除は知事権限です。休業要請の解除基準を国に示して欲しいという思いも意図もありません。ただ、緊急事態宣言(基本的対処方針含む)が全ての土台なので、延長するなら出口戦略も示して頂きたかったという思いです。今後は発信を気をつけます。ご迷惑おかけしました」とした。

(2)ところで、各国の状況をみると、次のようだ。

 ドイツは3月16日から隣国との国境管理を強化し、18日に緊急事態宣言を発出して外出や営業の制限を行ってきたが、感染の状況が好転してきたことから、4月20日に小規模商店の営業を認めるなど一部を緩和し、引き続いて5月6日に完全に撤廃した。ただし、1週間に10万人当たり50人を超える感染者が出た地区には、再び制限をかけるという。

 アメリカでは、トランプ大統領と共和党が経済に与える打撃を懸念して、都市封鎖の早期解除を各州に働きかけている。共和党の知事にはこれに呼応して緩和する動きがある。ところが全米で最大の感染者を出しているニューヨーク州のクオモ知事は慎重である。それというのも、新規感染者の数が5月5日には2239人、新たに入院した者が601人、3月下旬の水準まで減少してきているとはいえ、絶対数がまだまだ多い。日本ならびっくりするような数字だ。そういう意味で、経済活動を再開するには、感染者と入院患者の数を大幅に減らす必要があると考えているからだ。

 マレーシアは、3月18日に東南アジアで初めての活動制限令(MCO)を出してロックダウンに踏み切った。その活動制限令は3回にわたって延長され、最終の延長による期限は5月12日までとなっていた。ところが、5月1日に突如として活動制限令の大幅緩和が発表された。政府が定めた規制内容(SOP)を遵守するという条件付きながら大部分の企業、工場、商店、レストランの操業が認められようになった。その背景には、活動制限令が功を奏して新規感染者が激減していると同時に、その弊害として経済的損失が1日当たり24億リンギット(590億円)と見込まれているからだという。規制の導入も早かったが、規制の撤廃も早い。さて、この判断が吉と出るか凶と出るか、今後の推移に注目したい。



(17は、5月7日記)


18.日本の出口戦略と緊急事態宣言の解除

(1) 4月7日の緊急事態宣言時には、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県を対象にしていた。その後、4月16日に政府は「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を見直して、これに北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県及び京都府の6道府県を加えて13都道府県とする一方、宣言の対象を全都道府県に拡大し、5月6日までとした。そしてゴールデンウィーク後半の5月4日、その13特定警戒都道府県では、外出自粛などを引き続き行いつつも、施設についてはその類型に応じて若干の緩和を行う。それ以外の県では、各県知事の判断でかなりの緩和を行うことを認めるようになった。

 その上でゴールデンウィーク明けの5月14日には、政府は再び「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を見直して、「北海道、埼玉県、千葉県、 東京都、神奈川県、京都府、大阪府及び兵庫県については、直近1週間の 累積報告数が10万人あたり0.5人以上であることなどから、引き続き特定警戒都道府県として、特に重点的に感染拡大の防止に向けた取組を進めていく必要がある。上記以外の39県については、緊急事態措置を実施すべき区域としないこととなるが、これらの地域においても、基本的な感染防止策の徹底等を継続する必要があるとともに、感染の状況等を継続的に監視し、その変化に応じて、迅速かつ適切に感染拡大防止の取組を行う必要がある。」とした。

 つまり、特定警戒都道府県だった13のうち、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県及び福岡県の5県を特定警戒都道府県から除外した。そして従来から特定警戒都道府県ではなかった34県とともに、合計39県について、「緊急事態措置を実施する必要がなくなった」として、速やかに当該措置が解除された。これにより、緊急事態措置を実施すべき区域は、「北海道、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、京都府、大阪府及び兵庫県」だけとなったのである。

(2) NHKニュースサイトで関連する次のデータを見ると、まず、日本全国の1日当たりの感染者数は、4月11日の720人が最大で、多少の揺り戻しはあるものの、全体としてはそれから漸減している。もはや最大の危機は去ったと思って良いだろう。感染者の累積グラフも、次第に平らかになりつつある。問題は、新型コロナウイルス対応のベッド数で、入院患者による占有率を見ると、北海道は71%とかなり高い。それに比べて、例えば、空港で旅行客、そして県境で県外ナンバーの車のドライバーの体温をチェックしていた山形県は、わずか7%ではないか・・・騒ぎすぎだ。それより、東京都のこの数字は何だ。126%ということは、入院待ちが26%もいるということか。こんなところで患者になったら一大事だ。石川県が61%だと?何故だ。吉村知事が活躍している大阪府は35%か。これなら、まあ大丈夫だろう。というわけで、問題は、東京都と北海道だということがわかった。


日本国内の感染者数(1日当たり)


日本国内の感染者数・重症者数、死亡者数


日本国内の感染者数(累計)


都道県別感染者数(累計)


新型コロナウイルス対応病床数・入院患者数・ベッド占有率・軽症者はホテル


全世界の感染者数(累計)


(3) 5月20日の報道によると、緊急事態宣言を継続している8都道府県につき、政府は21日に解除できるかどうかを決定することとしており、その際の目安は、ヾ鏡の状況、医療提供体制、PCR検査などの監視体制だという。特に,蓮直近1週間の新規感染者数の累計が人口10万人あたり0.5人程度以下とのことである。

(4) 5月21日、政府は、新型コロナウイルス感染症対策本部を開いて再び「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を見直し、次のように決定した。「北海道、埼玉県、千葉県、東京都及び神奈川県の5都道県については、直近1週間の累積報告数が10万人あたり0.5人以上であることなどから、引き続き特定警戒都道府県とする。それ以外の42府県については、緊急事態措置を実施すべき区域とはしないこととするが、感染の状況等を継続的に監視し、その変化に応じて、迅速かつ適切に感染拡大防止の取組を行う。中でもオーバーシュートの予兆が見られる場合には迅速に対応し、直近の報告数や倍加時間、感染経路の不明な症例の割合等を踏まえて、総合的に判断する。」

 そして、安倍首相は、同日の記者会見で「関東の1都3県と北海道については、緊急事態が続くこととなりますが、新規の感染者は確実に減少しており、また、医療のひっ迫状況も改善傾向にあります。そのため、週明け早々、25日にも専門家の皆様に状況を評価していただき、今の状況が継続されれば、解除も可能となるのではないかと考えて」いると述べた。出口戦略が加速しているという印象を与えた。

(5) そういうことで、まだ緊急事態措置が続く東京都(小池百合子知事)は、「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」を公表して、次のような説明をしている。これが、なかなか分かりやすいので感心した。すなわち、

  ゞ杁淹態宣言下においては、外出自粛等の徹底を通じて、感染を最大限抑え込む。(緊急事態宣言下では自粛要請を維持。STAY HOME ・ STAY in TOKYO)
 ◆‥切なモニタリング等を通じて、慎重にステップを踏み、都民生活や経済社会活動との両立を図る。(感染状況や医療提供体制などの観点から7つの指標を用いて常にモニタリング。2週間単位をベースに状況を評価し、段階的に自粛を緩和)
  状況の変化を的確に把握し、必要な場合には「東京アラート」を発動する。(感染拡大の兆候を把握した場合には、「東京アラート」を発動し、都民に警戒を呼び掛け、それでも再要請の目安を上回った場合などは、必要な外出自粛・休業を再要請し、感染拡大防止を徹底)
  今後、発生が予想される「第2波」に対応するため、万全の医療・検査体制を整備する。(迅速に検査を受けられる体制を充実 ・症状に応じた医療提供体制を整備するとともに、患者情報を的確に把握し、モニタリングを強化)
 ァ.Εぅ襯垢箸猟垢だ錣い鮓据え、暮らしや働く場での感染拡大を防止する習慣 =「新しい日常」が定着した社会を構築する。(都民や事業者に向けて「新しい日常」の考え方とそれを支える施策を提示)

 この東京都のロードマップを見ると、感染の第2波が必ず来るので、それに備えて万全の医療・検査体制を敷くことと、感染防止のための「新しい日常」に慣れることが強調されている。そして、当面は3段階に分けて徐々に緩和していくこととする。解除していない現在の状況をステップ0とすると、

 ステップ1は、博物館、美術館、図書館を再開し、飲食店等は、営業時間の一部緩和(夜8時までから、10時までへ)。50人までのイベントも認める。

 ステップ2は、劇場、映画館、展示場なども、 入場制限や座席間隔の留意を前提に再開し、100人までのイベントも認め、商業施設も再開する。

 ステップ3は、ネットカフェ、漫画喫茶のような遊興施設、パチンコのような遊戯施設も入場制限を前提に再開する。飲食店等は、営業時間を一部緩和し、夜10時までから12時までへ。ただし、クラスターが発生した施設、すなわち接待を伴う飲食店、ライブハウス、カラオケ、スポーツジムはまだ認めない。


東京のPCR検査陽性者

東京のロードマップ

東京のモニタリング指標

外出自粛、休業要請等の緩和措置の内容

施設別の休業要請の緩和ステップ

第2波に備えた検査・医療等の体調整備


医療提供体制の整備

暮らしや働き方の「新しい日常」


(6) 西の雄、大阪府(吉村洋文知事)は、この5月21日より緊急事態宣言の対象から外れたわけであるが、実は5月5日頃から「大阪モデル」と言われる独自の基準で感染拡大状況をモニタリングしてきた。それが、とても良く工夫されたもので、なかなか面白い。それによると、

  感染拡大状況を判断するため、府独自に指標を設定し、日々モニタリング・見える化した。また、各指標について、「感染爆発の兆候」と「感染の収束状況」を判断するための警戒基準を設定した。その上で、以下の 銑の警戒信号全てが点灯した場合、府民への自粛要請等の対策を段階的に実施する。以下の◆銑い侶找信号全てが原則7日間連続消灯すれば、自粛等を段階的に解除する(病床使用率以外の指標は7日間移動平均)。

 (1) 市中での感染拡大状況
   /卦陽性者における感染経路不明者の前週増加比
  ◆/卦陽性者におけるリンク不明者数が
 (2) 新規陽性患者の発生状況 検査体制の逼迫状況
   確定診断検査における陽性率
 (3) 病床のひっ迫状況
  ぁヾ擬埃入重症病床使用率

 これらの指標を追いかけていくと、大阪府が緊急事態宣言の対象から外れた5月21日の時点では、上記,らい泙任了愽犬、確かに緑に点灯していた。

 ところで、新型コロナウイルスに関する国、東京都、大阪府のそれぞれの対策本部のホームページを見ていて、面白いことに気が付いた。まず国は、そのほとんどが文章で、図表があるのはきわめて稀だ。東京都は、もちろん文章が多いが、それと同じくらいに図表がある。ところが大阪府は、文章はほとんどなくて、その大半が図表ばかりなのである。なんとまあ、対照的なのだろう。ひょっとして、大阪の人は、文章だと読む気にならず、図表だと読む気になるのかという仮説を立ててみたが、どうもよくわからない。どなたか、教えていただければ幸いである。


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(7) 緊急事態宣言の解除

 4月7日に行われた新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言は、その後、事態の改善によってもはや緊急事態措置を実施する必要がなくなったとして、約1ヶ月半後の5月25日、「緊急事態が終了した旨の宣言」が行われた。(基本的対処方針

緊急事態宣言の解除



 その時点での人口10万人当たりの新規感染者の数は、首都圏1都3県が0.32人、うち東京都は0.34人であったが、神奈川県が0.62人、北海道が0.80人と、目安の0.5人を上回っていた。この点、慎重な意見もあったと聞くが、いずれも感染源が追えているとして、同時に解除されることとなった。


人口10万人当たりの新規感染者の数(5月26日。NHK調べ)


 5月26日午前0時の日本国内の感染者数は、1万6,632人(前日より21人増)、死亡851人(同13人増)、退院1万3,612人となっている。軽症の人なら退院まで2週間程度、中等症の人で2〜3週間、重症の人なら4週間前後で退院するのが普通である。その点、4月7日の緊急事態宣言から既に1ヶ月半と、その頃の入院であればそれなりの日時が経過しているので、退院した人の数がこれだけ増えているのは、誠に慶賀の至りである。

 毎日の感染者の数を見たところ、感染者のピークは4月10日前後で、そこからすると緊急事態宣言が同月7日と、やや出遅れた感は拭えないが、それでも医療崩壊がギリギリのところで避けられたのは事実である。やはり、緊急事態宣言と緊急事態措置の効果は、確かにあったと認められる。


日本国内の感染者数・死者数(5月26日。NHK調べ)

日本国内の感染者数(5月26日。NHK調べ)

日本国内の感染者数累積(5月26日。NHK調べ)

都道府県別の感染者数累積(5月26日。NHK調べ)

東京都の感染者数の推移

北海道の感染者数の推移>

神奈川県の感染者数の推移


 また、感染が収まってきたことは、東京都におけるPCR検査の陽性率からしても、よくわかる。4月10日から15日にかけては、30%を超す日が多かった。ところが、24日には、それがわずか1.3%となっている。医療従事者の皆さんは、ほっと胸を撫で下ろしているだろう。

東京都のPCR検査の陽性率



 次の課題は、遅くとも今年の秋にも来ると思われる感染の第2波に、どう立ち向かうかである。しかもその頃には、冷え込む経済との両立が課題となるだろう。この新型コロナウイルスは、これに感染しても8割ほどの人が無症状で、それでいてウイルスを排出して周りの人に感染を拡げてしまうという困った性質がある。だから、発熱や咳のような症状が現れてどうやら感染したらしいと判明しても、感染を防止するにはもはや遅いのだ。

 ところで、スウェーデンは、公衆衛生庁の方針で、集団免疫戦略でもって対抗しようという戦略をとっている。人々に対しては、“熱や咳があれば自宅療養、他人とはソーシャルディスタンスをとる、できれば在宅勤務、ぃ沓虻舒幣紊和梢佑叛椰┐靴覆い覆匹髻嵳彑繊廚垢襪、その他は普段通りにしてよい。そのうちに気づかないで新型コロナウイルスに罹った人が人口の6割程度を占めれば、そこで感染は自然に収束するというのである。しかし、人命第一の観点からすると、その戦略が奏効しているかといえば、そうでもない。人口が1,023万人の国で、感染者数34,440人、4,120人もの死者を出した。人口が半分の北欧諸国でいずれも都市封鎖に踏み切ったデンマークがそれぞれ11,428人、563人、ノルウェーが8,383人、235人というデータを見れば、やはり失敗したのではないかと思われる。

 実は、イギリスも最初は集団免疫戦略の考え方だったが、感染があまりに急拡大するものだから、3月23日、遂に耐えきれなくて都市封鎖に踏み切った。それでも、5月25日現在の感染者数265,227人、死者37,048人となっている。イギリスの人口は6,665万人と、スウェーデンの6倍だから、その比でいくと、イギリスに相当する死者の数は約6,000人になる。それが現実には4,120人と3分の2になっているのだから、スウェーデンは、かなり抑え込んでいるのかもしれない。ただ、社会防衛という観点からはそれでよいかもしれないが、可能な限り死者の増加を防ぎかけがえのない人命を守るという観点からは、経済を多少犠牲にしてもまずは都市封鎖で感染を防止するという日本を初めとする主要国の新型コロナウイルス対策は、間違っていなかったと思う。

(18は、5月15日、20日、23日、26日記)



新型コロナウイルス緊急事態宣言(第3部に続く)



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