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新型コロナウイルス緊急事態宣言 (第3部)
19.世界の感染者数と死亡者数の考察

(1) さてここで、全世界の新型コロナウイルスの感染者数と死亡者数の統計(5月20日現在)を見てみよう。次の表は、ニューヨーク・タイムズのもので、流行期まで分かる。これによると、アメリカとヨーロッパ主要国が軒並み酷くやられている。中でもアメリカは、感染者が153万人、死亡者が9万人と、目も当てられない状況だ。その一方、最初の発生地である中国は武漢の都市封鎖で完全に制圧したかのように見える。世上、押さえ込みに成功したとの評判が高い韓国と台湾の死者が非常に少ない。韓国は263人、台湾に至っては(余りに少ないことからこの表には載らないが)、わずか7人だ。それにどういうわけか自粛要請が奏効した日本は韓国と台湾に近く、感染者数は1万7千人、死亡者数は778人だ。


世界の感染者数、ニューヨークタイムス5月20日


 人口10万人当たりの感染者数は、アメリカやスペインは500人弱、イギリスやイタリアは375人程度、ドイツやフランスは210人強である。これに対し、韓国は22人、日本では13人、中国ではたった6人と、大きな差がある。同じく人口10万人当たりの死亡者数は、アメリカでは28人、イギリス、スペイン、イタリアでは50人台、フランスでは42人、ドイツでは10人である。それに対して、日本、中国、韓国では1に満たない。

 概して、感染者数と死亡者数が欧米主要国ではとてつもなく多いのに、東アジア諸国の日本、中国、韓国ではそれほどでもない。これは一体なぜだろうという素朴な疑問が浮かぶ。特に日本の場合は、強制措置を伴う都市封鎖(ロックダウン)ではなく、外出自粛などの弱い措置だったのに、なぜ被害を最小にとどめたのか、外国メディアでは「不可解な謎」、「ラッキーなだけなのか、政策が優れていたからなのか」と表現する向きもある(注)。

(注)5月26日付けの朝日新聞は、次のように報じている。

 「 新型コロナウイルスを抑え込んだかに見える日本の状況を、海外メディアは驚きと共に伝えている。強制力のない外出自粛やPCR検査数の少なさにもかかわらず、日本で感染が広がらなかったことに注目し、「不可解な謎」「成功物語」などと報じている。

 米誌フォーリン・ポリシーは日本の新型コロナ対策について「何から何まで間違っているように思える」と指摘した上で、それでも現状は「不思議なことに、全てがいい方向に向かっているように見える」と伝えた。「日本がラッキーなだけなのか。それとも優れた政策の成果なのか、見極めるのは難しい」との見方も示した。

 「不可解な謎」と題した記事を配信したのは、オーストラリアの公共放送ABCだ。公共交通機関の混雑ぶりや高齢者人口の多さ、罰則を伴わない緊急事態宣言を「大惨事を招くためのレシピのようだった」と表現。「日本は次のイタリアかニューヨークとなる可能性があった」と指摘した。

 海外ではこれまで、英BBCが「ドイツや韓国と比べると、日本の検査件数はゼロを一つ付け忘れているように見える」と報じるなど、日本のPCR検査数の少なさを疑問視する報道が相次いでいた。米ブルームバーグ通信はこの点について、「第1波をかわしたのは本当に幸運」「(第2波が来る前に)検査を1日10万件できるように準備しなくてはならない」という専門家の話をまとめた。

 英ガーディアン紙は「大惨事目前の状況から成功物語へ」とのタイトルで、日本人の生活習慣が感染拡大を防いだとの見方を伝えた。マスクを着用する習慣▽あいさつで握手やハグよりお辞儀をする習慣▽高い衛生意識▽家に靴をぬいで入る習慣などが、「日本の感染者数の少なさの要因として挙げられる」と指摘している。」



 先ほどの「全世界の新型コロナウイルスの感染者数と死亡者数の統計」の表の話に戻りたい。もちろんこの統計は、いい加減なものである。まず、感染者数はPCR検査をどれだけ、またどんな方法で確認しているかで月とスッポンの差があるから、当てにならない。日本では、当初から5月7日まで「37.5度以上の熱が4日続くこと」などという現実離れした基準を作って意図的に検査をサボって多くの国民に迷惑をかけたほどだ。検査そのものも、日本の専門家に言わせれば検体を取るのに技術が要り、検査にも熟練が必要というから、もしそれが本当なら他の国はどうやってこの感染者数を出しているのか、疑問だらけである。

 他方、死亡者数はまだ信頼できる気がするが、それも、陽性をちゃんと確認した人たちから出た死者なのか、それとも陽性を確認しないまま医師が症状から判断した死者数を新型コロナウイルスによる死者数としているのか、その厳密さが国によって異なる。その他、イギリスなどは途中まで介護施設での死者数をカウントしていなかったほどだ。それに、日本では、町で行き倒れた死者にたまたまPCR検査をしたら陽性だったというケースも散見されたので、本当に新型コロナウイルスで死んだ人の数は、もっと多いはずだ。これを正確な数字とするために例年同時期のトレンドと比べて超過死亡者数がどれだけあるかと調べていくアプローチもあるが、もちろんそれも推計に過ぎない。

(2) そういうわけで、いい加減な統計に基づいてあれこれ考えをめぐらすのもどうかとは思うが、でもこれしかないのだから、仕方がない。まずこの表から思うのは、なぜ、欧米諸国では多くの人が死んでいるのに、日中韓の東アジア諸国では死者の数が桁違いに少ないのだろうかということである。遺伝学的な差異か、社会的な違いか、それとも環境が異なるからか、これからの科学的な解明が待たれる。でも、現段階で、これを説明するアプローチとして、人種的な差、政治体制の差、人口構成の差、医療機関の差、基礎疾患や体型の差、社会的習慣の差、BCG仮説、感染源対策と国民意識の差などがある。ただ、いずれもごく一部しか説明することができない。

人種的な差

 要は遺伝子レベルの差異で、調べようと思ったらこれはもう人種別にDNAを比較するほかない。そのうち緊急事態が去ってよほど暇になったらやればよいが、何もこの時期に取り組む課題ではないだろう。それよりも、新型コロナウイルスに取りつかれたときに、8割の人が無症状である一方、直前まで普通だったのに、突然に重症化し、あるいは死に至ることがあると報告されている。どういう遺伝子の違いがあると、そうなるのかということをDNAレベルで調べた方が良さそうだ。(注)

 その有力な候補として、ヒト白血球抗原(HLA)を調べるプロジェクトが発足したそうだ。これは、免疫反応をつかさどる司令塔の役割を果たす血液中の因子で、これを重症化した患者と無症状の患者とで比べて特有の遺伝子を見つけるというもので、同じ調査研究を諸外国で行って比較すれば、因子をあぶりだすことができる。これが上手くいけば、あらかじめ血液検査で重症化の危険性を把握して、感染した場合に備えることができるし、創薬にも役立てることが可能となる。

(注)5月28日、NHKは、次のように報じている。

 「アメリカの民間の調査団体によりますと、今月26日の時点で、全米の40州と首都ワシントンでは、人口10万人当たりの死者は、白人が22人、アジア系が24人、ヒスパニック系が24人であるのに対し、黒人が54人と、ほかの人種と比べて黒人の死亡率が2倍以上になっています。

 また、感染がもっとも深刻なニューヨーク市が発表した調査によりますと、人口10万人当たりの死者数は、アジア系が100人、白人が106人なのに対し、黒人は214人、ヒスパニック系は225人と黒人やヒスパニック系の死亡率が白人の2倍に上っています。」


 ということは、アジア系の死者数は白人とほぼ同じだ。つまり、欧米諸国の国民と東アジア諸国の国民との間には、新型コロナウイルスに対する免疫力の人種的な差はないことになる。イタリアやスペインなどで起こった医療崩壊は、日本でも容易に起こりうるということだ。そうすると、彼我の死亡率の差は、/夕鐡な差に求めることはできず、次の以下の理由に求めざるを得ないものと思われる。



政治体制の差

 これは、西側の自由主義国家と旧東側の一党独裁制国家の比較である。中国が感染者数8万9千人、死亡者数4千人台にとどまっているというのは、まさにそれだと思うが、「こんなに少ないわけがないだろう、正しい数字を隠している。」と言われている。その一方、ロシアが感染者数29万人とヨーロッパ主要国並みなのに死亡者数は2千8百人と、これら主要国の10分の1になっている。しかし、これは中国と同じで、政治的に介入された結果、統計が歪められたと思っている人が多い。

 逆にシンガポールの感染者数2万8千人に対して、死亡者数はわずか22人というのは、どう解釈すべきか。これは非常に少ないと思いがちだが、実はシンガポールは当初からその警察力を駆使して街灯のカメラを使ったり、スマートフォンのアプリを通じて濃厚接触者を追うなどして、感染の押さえ込みに成功したと考えられていた。事実、感染者の数はずーっと千人台に押さえられていた。ところが、つい最近になって居住環境が悪い外国人建築労働者の間で急速に蔓延するようになった。この人たちはまだ若いので、幸い今の段階では死亡するには至っていないからだと思われる。

人口構成の差

 ところで、人口構成の差は、死亡者の数を各国比較をする上で大事な要素である。日本国内の感染者22,450人(7月16日午前0時の時点)に対し、7月15日午後6時時点では、新型コロナウイルス感染症による死亡率は全体で4.4%だが、20歳以下がゼロであるのに対して30歳代0.1%、40歳代0.4%、50歳代1.0%、60歳代4.7%、70歳代14.2%、80歳以上28.3%と、高齢者になるほど死亡率が急激に上がっている。ということは、国民の人口構成が若いほど死亡者の数が少ないことを意味する。これは、諸外国でも同じ傾向にある。2月17日の古い統計だが、中国では、30歳代までは0.2%、60歳代は3.6%、70歳代は8%、90歳代は15%となっていた。

 感染者数が5万9千人のサウジアラビアは、若い世代が多いから、死亡者数が329人と少ないのかもしれない(7月25日現在ではもっと増えて、それぞれ26万2千人と2672人)。もっとも、別の見方をすれば、この国も外国人労働者が多いので、さきほどのシンガポールと同じタイプなのかもしれない。マレーシアも若者主体の人口構成であるし、医療もそれなりに整っているから、感染者数6千百人、死亡者数114人となっている。

 その割には、高齢化社会である日本が、感染者数2万2千人、死亡者数984人に抑えている(7月16日午前0時の時点)というのは、なかなか頑張っている数字ではないかと思われる。これは、次に述べる医療機関の数や優秀さのおかげなのかもしれない。

 感染者数が5万9千人のサウジアラビアは、若い世代が多いから、死亡者数が329人と少ないのかもしれない。もっとも、別の見方をすれば、この国も外国人労働者が多いので、さきほどのシンガポールと同じタイプなのかもしれない。マレーシアも若者主体の人口構成であるし、医療もそれなりに整っているから、感染者数6千百人、死亡者数114人となっている。

 その割には、高齢化社会である日本が、感染者数2万2千人、死亡者数984人に抑えている(7月16日午前0時の時点)というのは、なかなか頑張っている数字ではないかと思われる。これは、次に述べる医療機関の数や優秀さのおかげなのかもしれない。

医療機関の差

 未だ有効な薬やワクチンがない中で、これだけ猛威を振るう強烈な感染症に対抗するには、優秀な医療機関で適切な処置を受ける必要がある。ところが、そういう環境にない国や人々では、死につながりやすい。アメリカでは、所得が低くて簡単には医療を受けられない黒人などの死亡率が高いといわれている。

 また、ヨーロッパ主要国では、あまりに短期間で急速に流行したため、イタリア、スペイン、フランス、イギリスでは、患者が病院に次々に運び込まれた。ところが、ベッド数が足りないものだから廊下にそのまま放置され、そこで亡くなることも多々あったという。これが「医療崩壊」というもので、今回の流行の当初に中国湖北省武漢で起こった悪夢を再度見ているような気がした。その点、ドイツは、患者数は他の近隣主要国並みなのに、ICU(集中治療室)と人工呼吸器などの施設設備や治療看護体制を十分に用意したので、医療崩壊は起こらず、その結果、ドイツの死亡者数は8千人と、他のヨーロッパ主要国の3万人程度と比べて4分の1程度になっている(しかし、それでも日本の死亡者数778人の10倍だ!)。

基礎疾患や体型の差

 新型コロナウイルスでは、経験的にみて、糖尿病、心血管疾患、慢性肺疾患、喫煙による慢性閉塞性肺疾患、免疫抑制状態等の基礎疾患のある患者とともに、高齢者、肥満、喫煙者が重症化しやすいというのは、ほぼ定説となりつつある。こうした患者や高齢者や喫煙者は、危ないだろうなということは、薄々わかる。ところが、肥満体の人がなぜ重症化するのか、まだよく分からない。

 そう言えば、欧米主要国には、本当に肥満体が多い。それも、小錦レベルのもの凄い肥満体である。現地で地下鉄に乗ったり、レストランに入ったりしたときの実感では、4割近い人が肥満だ。しかも不自然に太っている。よくあれで歩けるなぁと思うほどだ。こういう人々は、東アジア諸国では、まず見かけない。

 だから、新型コロナウイルスがこのような肥満体の人に取り付いたら重症化しやすいというのなら、死亡者数の彼我の差は、ある程度、説明できそうだ。

社会的習慣の差

 ヨーロッパでは、特にイタリアで最初の感染爆発が起こった。イタリアでは、握手は言うに及ばず、さほど親しい間柄ではないと思われるのにハグしたりキスしたりと、人と人との接触が非常に密接である。かつて私の一家がイタリアに行った時、娘がまだ小さくて(それなりに)可愛かったせいか、あちこちでキスをされそうになり、娘は嫌がって逃げ回ったほどである。

 また、イタリアでは家族の間柄が非常に密接なので、週に一度は祖父母の家に集まって皆で食事をするという習慣があるが、実はこれが裏目に出て、新型コロナウイルスが一気に蔓延してしまった。それに対して、日本人は挨拶と言えばお辞儀だから、握手、キス、ハグのような肉体的接触を伴う挨拶はない。これも感染予防に大いに役立っているのかもしれない。

 それに、なんと言ってもマスクの効果は無視出来ない。水野康孝医師のおっしゃるように、マスクにはウイルスの侵入を防ぐ効果はないかもしれないが、自分が感染者の場合に周りの人にウイルスを感染させないためにはマスクが実に効果的である。ということで、日本にはマスクを着用する習慣があり、人々は自然にそれを受け入れている。それだけでなく、たまたま2月から4月にかけては花粉症の季節だったので、日本人の2割とも3割とも言われる花粉症の方は、ごく自然にマスクをしていた。だから、この新型コロナウイルスの話を聞いただけで、ほとんどの人がマスクを着用するようになった。

 これに対して、欧米では、新型コロナウイルスの流行前は、マスクをするのは(潔癖症などの)よほどの変人か、あるいは本当に具合の悪い病人かというのが常識だったので、マスク着用が遅れたものと考えられている。

BCG仮説

 このほか、結核を予防するBCGワクチンが新型コロナウイルスに有効だったのではないかという仮説がある。結核と新型コロナウイルスとは全く無関係だが、しかしBCGワクチンは一般に免疫作用を促進するので、新型コロナウイルスにも効くというのである。なぜそういう説が出てきたかというと、日本、中国、韓国はBCGワクチンの定期接種国であるのに対して、感染爆発が酷いアメリカやイタリアは、定期接種国ではないからではないかというのである。ただ、この説は検証されていない。それどころか、イスラエルでBCGワクチンを受けた群とそうでない群を比較してみたところ、有意な差はなかったという報告があるそうだ。

 なお、BCG仮説を検証するため、ドイツでは、遺伝子組み換え技術を利用した新型BCGワクチン「VPM1002」ならば効くのではないかと考えて、5月に入って、新型コロナウイルスに対する免疫反応を強化するかどうかの臨床試験が始まっている。

感染源対策と国民意識の差

 日本では、流行の当初から、保健所が「濃厚接触者の調査」をしっかりと行い、感染源の追跡を行ってきた。これは、中国、韓国、シンガポールなどで行っている最新のGPS、クレジットカード利用履歴、防犯カメラなどのハイテクによる追跡と比べて、アナログそのものである。しかし、流行の当初はかなり有効で、その拡大防止にとても役立ったと言われている。ただ、感染規模が大きくなると、とても追いつかなくなった。これからは、やはりハイテクによる追跡を導入せざるを得ないだろう。

 もうひとつは、いわゆる「三密(密閉、密集、密接)すなわち(〔閉空間(換気の悪い密閉空間である)、¬集場所(多くの人が密集している)、L接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる))」という感染対策のスローガンで、今回の新型コロナウイルスのような特徴の感染症対策には、非常に有効であった。

 最後に、日本では2月初頭のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で起こった集団感染事件で、新型コロナウイルスとはこれほどまでに恐ろしいものかという記憶が国民に刻まれた。だから、日本で流行が始まり、(罰則を伴う強制的な都市封鎖ではなく)色々と自粛が呼びかけられたときに、国民が進んで協力しようという意識が自然に生まれたのではないかと考えている。法律による緊急事態宣言は4月7日と出遅れたが、結果的には上手く押さえ込んだと思われる。ただし、これはあくまでも第1波に過ぎないから、手放しで喜ぶにはまだ早い。

麻生太郎の民度説

 麻生太郎財務大臣は、6月4日の財政金融委員会で、次のような自説を述べていた。「死亡率が一番問題なんです・・・人口比で100万人当たり日本は7人ですよね。こういうのは結果は死亡者ですから。戦争も何もみんな、最終的に死亡者が何人でその戦争が勝ったか負けたかって言われるような話になりますんで。『なんかお前らだけ薬を持ってるのか』ってよく電話がかかってきた時、私どもとしては、これ、そういった人たちの質問には、『お宅とうちの国とは国民の民度のレベルが違うんだ』と言って、いつも、みんな、絶句して黙るんですけれども。このところ、その種の電話もなくなりましたから、何となく、これ定着しつつあるんだと思います・・・やっぱり島国ですから、なんとなく連帯的も強かったし、国民が政府の要請に対して極めて協調してもらったっていうことなんだと思います。」

 要は、「民度」という言葉を使って「あなたの国の国民と、日本国民とでは、そもそも出来が違うんだ。」などと、かなりひどい言い方の麻生節で説明したわけである。相手の外国人が「絶句して黙」り、二度と電話をかけてこないわけだ。もう少し外交的で、洒落た言い方はなかったものか。

国民皆保険、マスクの習慣、衛生意識

 舘田一博 東邦大学医学部微生物・感染症学講座教授(日本感染症学会理事長)は、インタビュー記事(注)で、次のように語っている。
(注)2020年6月21日付け。朝日新聞デジタル

 「5月に欧州であった感染症の国際会議のウェブセミナーで、日本の状況を説明した。向こうの人は、どうして日本は死者が少ないのかと不思議がられた。日本はPCR検査が少ないといわれ、実際弱点だった。最初のころは1日千件ですよ。

 でも、日本は国民皆保険で、みんなが医療にアクセスできる。当たり前のように思われているけど、ほかの国ではなかなかない。普段からマスクを着ける習慣があるのも大きかった。衛生に対する意識も高い。そういうことの重なりが、今の状況につながっているのではないかと思います。

 クルーズ船ダイヤモンド・プリンセスの集団感染を経験したことも大きかった。船内で感染が広がり、毎日報道されるようになった。対応には色々反省すべき点はあったが、国民への注意喚起になって、心の準備、行動の準備ができていたということがあるのかもしれません。」



 同様の趣旨をシカゴ・グローバル評議会ブライアン・ハンソン副会長が新聞紙上(注)で語っている。
(注)2020年6月18日付け。日本経済新聞

 曰く「日本は新型コロナウイルス対策に戦略性も一貫性もないように見えるのに、感染の拡大を抑えることができた。政策と現実とのギャップがこれほど大きい例はほかにない。・・・成功例から得られた教訓をあげるとすれば戦略と明確な目標が必要だということ。対策が超党派の支持を得ることも大切だ。日本は例外で、何が起きたのかは謎に包まれている。

 おそらく、成功をもたらしたのは政府ではなく国民ではないか。新型コロナの流行前から日常的にマスクを着けているし、あいさつの時に握手をしない。政策よりも人々がこうした習慣の延長線上で、行動に注意を払おうと決めたのが奏功したと考えられる。」
。要は、政府は役立たずだったが、国民が偉かったということか。

(19の,らГ泙任錬儀遑横夏、┐錬儀遑横菊、は6月5日、は6月21日記)


20.閑話休題

(1)ナイトクラブの新型コロナ対策

 今回の緊急事態宣言は、旅行、観光、小売、レストラン、製造業などの幅広い業種に大きな影響を与えた。東京都は、5月25日に緊急事態宣言が解除されてもステップ3として、クラスターが発生したことがある「接待を伴う飲食店等、カラオケ、ライブハウス、スポーツジム」については引き続き自粛要請を継続する姿勢である。

 先日、NHKテレビを見ていたら、団体「日本水商売協会」というものがあって、妙齢の女性たちが記者会見を開いていた。それにしても、そのものズバリの単刀直入な名前だなぁと思って見ていたら、何とこれが一般社団法人なのだそうだ。ひと昔前だと、とても認可されなかったと思うので、これにはビックリした。これも、社団法人改革の「成果」なのだろう。この法人は、東京都内のナイトクラブやキャバクラ店で働く女性たちによって構成されているそうで、今回の自粛要請により生活が厳しいと訴えている。

 それには同情を禁じ得ないが、「経営が厳しく休業要請の解除を待たずに営業を再開する店もあるとみて、専門家の監修を受け、独自に感染対策のガイドラインを作成した。」というのは、いただけない・・・それはいわゆる自粛破りではないか・・・。それに、あまり早まって営業を再開して、先日の韓国のナイトクラブでの206人もの集団感染のように、万が一、クラスターが発生したら、誰も来なくなるのではないだろうか。

 ところでそのガイドラインを見たところ、例えば、.泪好着用。飲み物を飲む時以外は外さない。検温による入店規制体温計(非接触型が好ましいが、接触型の場合、人ごとにアルコール消毒)、4鏡拡大大国からの入国後14日以上経過していない方の入店規制、ぅ宗璽轡礇襯妊スタンス(キャストとお客様のペアごとに1卓分あけて着席)、イ任れば、接客のキャストはチェンジなしの固定(接触者をできるだけ減らす目的)などとある。

 いずれも、まあ常識的な内容だが、ナイトクラブで女性がマスク姿というのは、これで商売が成り立つのかという気がする。マスク姿でお相手ができるのか、せめて透明なフェイスシールドにすべきではないか・・・ちょっと余計なことかな・・・などと思っていたら、記者会見に出たキャバクラ店の経営に関わる女性が、このように話していた。「やむをえなく営業する場合でもマスクを外すわけにはいきません。いつかマスクを外して『こういう感じの女性だったのか』という日が来るのを楽しみにしてもらいたいです」と。なるほど、ものは言いようだ・・・夜目、遠目、傘の内、そしてマスクの中か・・・しかし、そう上手くいくだろうか。ともあれ、ポスト・コロナの時代には、夜の世界も容易には立ち直れないほどの打撃を被りそうだ。


(2) 必要は発明の母というが、外出と営業の自粛で客も仕事もなくなってしまった「スナック」について、「オンラインスナック横丁」なるものを考えた人がいる。なかなかの知恵者というか、よほどスナックがお好きなのだろう。朝日新聞夕刊(6月15日付け)によれば、全国のスナック約500軒を訪ねたことがある五十嵐さんという方で、5月中旬から北は北海道、南は九州、海外もアメリカの10軒で始め、それから1ヶ月後には20軒余に拡大した。


オンラインスナック横丁


 利用方法は、「店を選び、『1対1』『ほかの客と相席』『グループ貸し切り』の3種あるチケット(いずれも1時間3千円前後)を購入し、タブレットなどの画面越しにママと向き合い、おしゃべりしたり、お酒を飲んだり」ということらしい。意外なことに、「利用者はスナック初心者が7割で、女性の一人客が4割を占めるという。『楽しかったから』と、再開した実店舗を女性客が『再訪』する現象」する見受けられるというから、新しい客層を開拓したことになる。


(3)トランプ大統領が抗マラリア薬を摂取

 5月18日のトランプ大統領の記者会見をテレビで見ていて、驚いてしまった。トランプ大統領は、「(抗マラリア薬の)ヒドロキシクロロキンを2週間ほど前から飲んでいる。いろいろと良い効果があると聞いているから。問題ない。まだ、ここに、こうしている。」と述べたのである。

 確かに、新型コロナウイルスについては、治療薬を新規に開発する時間的余裕がないため、既存の薬で効果のあるものはないかと世界各国で探索が続いている。ヒドロキシクロロキンもその一つで、もしかすると効果があるかもしれないということが言われている段階に過ぎない。そんな海のものとも山のものともわからない段階のものを、事もあろうにアメリカ大統領たる者が、何の科学的検証もせずに飲むものか、これは常識というものだ。こんな人が、核大国として核爆弾の鍵を握っていて、大丈夫なものだろうかと思ってしまう。

 ちなみに、この報道があったその直後の23日、BBCによると、「英医学誌ランセットは、ヒドロキシクロロキンを新型コロナウイルスの患者に投与しても、治療効果は見られなかった」と報じている。それどころか、「投与された患者は入院中に死亡する確率が高く、心拍異常がみられた」という。世界保健機構(WHO)も、新型コロナウイルス治療にヒドロキシクロロキンの使用を推奨する臨床結果は一つもないと表明している。

 6月15日、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、ヒドロキシクロロキンは新型コロナウイルスの治療にも、感染防止にも効果はなかったとして、治療への緊急使用許可を取り消した。感想を求められたトランプ大統領は、「2週間使って気分は良かった」と述べた。

(4)作りすぎた人工呼吸器の処分先

 笑い話のようだが、安倍首相がトランプ大統領と電話で連絡を取り合ったとき、大統領から「アメリカで作りすぎた人工呼吸器を引き取ってくれ」と頼まれたそうだ。アメリカでは、GMなどの異業種の企業に対し、戦時の法律を適用して「人工呼吸器を作れ」という大統領令を出して大いに作らせたのだが、感染の進行が一段落してそれが大きく余ってきたとのこと。日本側は、「足りているから・・・」と言ったのだけど、最終的には引き取ると約束したという。

(5)コロナパーティー

 共同通信によると、「新型コロナウイルスに感染して米南部テキサス州の病院で死亡した男性(30)が生前、感染者と同席してウイルスがうつるかどうかなどを試す『コロナパーティー』に参加していたことが分かった。死の間際に『間違いだったようだ』と後悔の念を口にしていたという。」(7月13日付け)。これは、いかにも怖いもの知らずのアメリカ人らしいエピソードである。若い人で重症化する人は稀で、ましてや死んでしまう人はほとんどいないという傾向にある。しかしそれでも、このように現に亡くなることがあるのだから、やはり新型コロナウイルス感染症は怖いと、老いも若きも正しく恐れるべきだろう。

(20(1)と(3)は5月25日、(4)は同31日、(2)は6月15日、(5)は7月13日記)



21.専門家による緊急事態対応の総括

(1)5月29日の専門家会議

 日本では、5月25日に緊急事態終了宣言が行われ、これで日本はとりあえず新型コロナウイルスの第1波を凌ぐことができたといってよいと考えられる。それでは、日本の専門家はこれについてどう考えているのか、5月29日の専門家会議の資料を読んでみた。これは、日本が講じてきた対策を総括するもので、そのさわりの部分は、次の通りである。

 (1−1) 現時点において、欧米の先進諸国などと比較して感染者数・死亡者数が低水準であることの主な理由として、

  々駝嘘保険制度による医療へのアクセスが良いこと、公私を問わず医療機関が充実し、地方においても医療レベルが高いこと等により、流行初期の頃から感染者を早く探知できたこと、
 ◆〜換颪棒鞍された保健所を中心とした地域の公衆衛生水準が高いこと
  市民の衛生意識の高さや元々の生活習慣の違い、及び、政府等からの行動変容の要請に対する協力の度合いが高かったこと
 ぁ.瀬ぅ筌皀鵐疋廛螢鵐札更罎悗梁弍の経験が活かされたこと
 ァゞ杁淹態宣言やその前からの自主的な取組の効果によって、新規感染の抑制がなされたことなどが挙げられる。

(注) 台湾は、2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)対応の際に、医療関係者を中心に数百人の感染者と70人以上の死者を出した反省と教訓があったほか、 _そEからの人々の移入の規模が台湾の方が少なかったこと 台湾の方がより早く水際対策による対応(2月6日に中国全土からの入国を禁止、3月19日からはすべての外国人の入国を禁止)を講じたこと。これに対し、日本では、2月1日に中国湖北省からの入国を禁止したが、イタリアの全域、ドイツ、フランス等欧州の大部分の入国を禁止したの は3月27日、米国や英国、中国全域等からの入国禁止は4月3日からであったことなどが要因として挙げられる。


 (1−2) これらに加えて、我が国が実行したクラスター対策の取組が感染拡大を抑える上で効果的であった。クラスター対策とは、積極的疫学調査を実施することで、クラスター感染(集団感染)発生の端緒(感染源等)を捉え、早急に対策を講ずることにより感染拡大を遅らせたり、最小化させたりするためのものである。我が国では、「効果的なクラスター対策」の実施によって、次のような効果が得られたと考えられる。

  .ラスターの連鎖による大規模感染拡大を未然に防止できた。
 ◆―藉の積極的疫学調査から多くのクラスターを見つけ、それに共通する「3密」の場や、歌うこと・大声で話すこと、といった特徴を指摘することができた。これにより、クラスター感染(集団感染)が生じやすい環境をできるだけ回避するための対応策を市民に訴えることができた。
  クラスターを中心とした感染者ごとのつながり(リンク)を追うことにより、地域ごとの流行状況をより正確に推計することができていた。つまり、リンクが追えない「孤発例」が増加することは地域で感染拡大を示すものと判断することができ、地域での早期の対応強化につながった。


 要は、国民皆保険制度による医療へのアクセスが良いこと、全国に整備された保健所による公衆衛生水準が高いこと、クラスター対策が功を奏したことなどを指摘している。いささか自画自賛的で、本当かという気がしないでもないが、一面は真実なのだろうと思う。それにしても、これだけITやAIが発達した世の中だというのに、クラスター対策のごとき100年前の古い手法がそのまま役に立つとは、何ともはや、面白いことである。

 ちなみに、この専門家会議は、次なる波に備えるため、以下のようなモニタリング体制の整備、医療提供体制の整備、保健所の強化などを提案している。感染の中休みのような今、こうした対策を着実に準備しておくことが大切である。


モニタリング体制の整備、医療提供体制の整備、保健所の強化などを提案

モニタリング体制の整備

各種検査方法の比較

医療提供体制の整備、

保健所の強化など

治療法の開発




(2)お隣の韓国は、携帯電話、クレジットカード、防犯カメラなどを通じて新型コロナウイルス感染者と濃厚接触者を徹底的に追跡することにより、感染拡大を4月中の早い段階で押さえ込んだとして、国際的に評判が高い。ところがそれでも、第1波の感染が沈静化して約1か月後の5月6日、ソウルの梨泰院(イテウォン)と江南(カンナム)にある複数の風俗店で集団感染が発生した。中でも、クラブ・キングという性的マイノリティが集うクラブでは、20歳代のたった1人の感染者(スーパー・スプレッダー)から290を超える人に感染が拡大し、7次感染と認められる例があったという。ところが、そういう場所であるために身元が知られないよう携帯電話の電源を切っていたりしたことから、韓国得意のITを活用した追跡が難しかったとのことだ。

 また、日本でも北九州市は約1ヶ月ほど感染者の発生はなかったが、突然、感染が確認されるようになり、5月31日現在、この9日間で91人がPCR検査で陽性となった。しかもそのうち、34人について、感染経路が不明である。これについて北九州市長は、「第2波の感染の真っ只中にある」と語っている。

 これはまだ一地方都市の出来事に過ぎないが、私は、遅くとも今年の秋にも、全国的に感染が再び拡がる第2波に襲われるという気がしてならない。よほどの幸運が重ならない限り、全世界の人々に打つワクチンの開発には少なくとも3年から4年はかかるだろうから、それまではロックダウンや外出自粛のような措置で対応するほかない。もちろん、来年の東京2020オリンピックも、かなり危ないと思っている。そうした中、一庶民としては、感染防止のための「新しい生活様式」に慣れ、何とか罹患しないようにやっていくしかない。




22.診療の手引き

 厚生労働省が、「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き(第2版)」を公開したので、それでこの病気の特徴を勉強させてもらっている。

(1)伝播様式

 【感染経路】 飛沫感染が主体と考えられ、換気の悪い環境では、咳やくしゃみなどがなくても感染すると考えられる。また、接触感染もあると考えられる。有症者が感染伝播の主体であるが、無症状病原体保有者からの感染リスクもある。

 【潜伏期・感染可能期間】 潜伏期は1〜14日間であり,曝露から5日程度で発症することが多い(WHO)。発症時から感染性が高いことは市中感染の原因となっており、SARS や MERS と異なる特徴である。感染可能期間は、発症2日前から発症後7〜14日間程度(積極的疫学調査では隔離されるまで)と考えられる。SARS-CoV-2 は上気道と下気道で増殖していると考えられ、重症例ではウイルス量が多く、排泄期間も長い傾向にある。発症から3〜4週間、病原体遺伝子が検出されることはまれでない。なお、血液、尿、便から感染性のある SARS-CoV-2 を検出することはまれである。

(2)臨 床 像

 多くの症例で発熱、呼吸器症(咳嗽、咽頭痛、鼻汁、鼻閉など)、頭痛、倦怠感などがみられる。下痢や嘔吐などの消化器症状の頻度は多くの報告で10%未満であり、SARS や MERS よりも少ないと考えられる。初期症状はインフルエンザや感冒に似ており、この時期にこれらとCOVID-19を区別することは困難である。嗅覚障害、味覚障害を訴える患者さんが多いことも分かってきた。イタリアからの報告によると約3割の患者で嗅覚異常または味覚異常があり、特に若年者、女性に多い。中国では発症から医療機関受診までの期間は約5日、入院までの期間は約7日と報告されており、症例によっては発症から1週間程度で重症化してくるものと考えられる。さらに重症化する事例では10日目以降に集中治療室に入室という経過をたどる傾向がある。

 【重症化のリスク因子】 高齢者、基礎疾患(糖尿病・心不全・慢性呼吸器疾患・高血圧・がん)、喫煙歴のある患者では、致死率が高い。

 【合 併 症】 若年患者であっても脳梗塞を起こした事例が報告されており、血栓症を合併する可能性が指摘されている。また、軽症患者として経過観察中に突然死を起こすことがあり、これも血栓症との関連が示唆される。小児では、川崎病様の症状を呈する事例もあることが欧米から報告されている。


新型コロナウイルス感染症の経過

年齢別にみた新型コロナウイルス感染症の致死率



(3) その他、色々な雑誌や新聞記事などを総合した結果をとりまとめておきたい。

 新型コロナウイルスは、初期の段階では「新型コロナウイルス肺炎」とされ、肺炎を引き起こす病気だと思われていたが、最近ではそれに加えて、血管中の血栓を引き起こす全身性の病気だと認識されるようになってきた。そのため、脳や目の粘膜、肝臓や腎臓、手足の指などに炎症を引き起こす。

 それには、サイトカインストームという現象が関わっている。サイトカインとは、ウイルスが侵入してきた時に免疫系が分泌するたんぱく質で、他の細胞に命令を伝えてウイルスに対抗する役割を果たす。ところが、これが数多く分泌されてしまって嵐のような状態(サイトカインストーム:免疫の暴走)になると、正常な細胞まで傷付け、それが血栓になることから、臓器に多くの障害が発生するという仕組みである。

 新型コロナウイルス重症患者の2割から3割に、血栓が見られるという。そういう場合には、上記の診療の手引きでも、「Dダイマー」の指標が正常値を超えていれば、血液が固まるのを防ぐ「へパリン」を使う治療を勧めている。(23ページ6.)

 中国での疫学調査によると、新型コロナウイルスに罹っても、8割の人が軽症か中程度で、入院を要するのは2割、そして重症化するのは5%だという。

 アメリカの科学雑誌「サイエンス」によると、感染者の咳やクシャミの飛沫中に含まれる新型コロナウイルスが、鼻や喉から人体に取り込まれると、その辺の細胞の表面に沢山ある受容体の「ACE−2(アンジオテンシン転換酵素2)」に取り憑いて細胞に侵入してくる。そしてどんどん増殖していって、発熱、空咳、味覚や嗅覚の喪失を招くという。

 さらにウイルスが侵入していって肺に達すると、肺細胞にはACEー2が多いので、これを足掛かりにどんどん侵入されて大きなダメージを受ける。 ACE−2は、血管、脳、目、肝臓、腎臓、腸にも多く、これらに侵入されて全身性の多臓器不全を引き起こす。また、手足の指にも血栓ができて、霜焼けのような症状を引き起こし、欧米では子供に川崎病のような症状が見られることがあるとのこと。

 なお、ACE−2は、子供にはあまり多くないので、子供が新型コロナウイルスに罹っても、ほとんど重症化しないし、現に死者もゼロに近いと言われている。重症者や死者の大半は、65歳以上である。

 BBCによると、イギリスのオックスフォード大学の研究チームの報告では、「安価で手に入りやすいステロイド系抗炎症剤『デキサメタゾン』が重症患者に効果・・・人工呼吸器を必要とする重症患者の致死率が3割下がり、酸素供給を必要とする患者の場合は2割下がった。」ということで、サイトカインストームを抑える役割をしているようだ。(なお、日本の臨床では、前述のように血液をサラサラにする「ヘパリン」を投与して効果を上げている。)
(21・22は、6月1日記)


23.東京アラート初の発令

 東京都は、新型コロナウイルスによる休業の自粛要請を緩めていく計画を予め「ロードマップ」として示し、その中で3段階で緩和することとし、その施設の種類を5月26日に公表していた。同日からの緊急事態宣言の解除を受け、まずステップ1として、博物館や図書館への自粛要請を解除した。感染状況が落ち着いてきたことから、当初の予定に沿って6月1日からステップ2に移行することを決定した。その中には、学習塾、スポーツジム、商業施設が含まれている(スポーツジムは、当初のステップ3から2になった。)。おかげで、私も今週から室内テニス場に通えることになり、本日3日から早速プレーをしに行ってみることにした。ところで、夜の歓楽街の接待を伴う飲食店やライブハウスは、ステップ3に位置づけられており、未だ解除されていない。

 そういうことで、やっと自粛要請が解除されたばかりだというのに、早くも6月2日には、感染者の数が1日で34人と、それまでの概ね1桁台から跳ね上がってしまった。このため「東京アラート」を初めて出すことを余儀なくされた。大阪府が解除した時に大阪のシンボルである通天閣をグリーンにライトアップしたのに向こうを張って、東京都では、新宿の東京都庁舎のみならず、お台場に繋がるレインボーブリッジを真っ赤に点灯した。(注)

(注) 時事通信マレーシアによると、大阪府が通天閣を新型コロナの感染者数に基づいてライトアップしているのに倣って、ペナン州政府が同様にしてペナン島の世界遺産地区ジョージタウンにある商業施設「コムター・タワー」について、ライトアップを始めた。感染者がゼロはグリーン、20人まではイエロー、40人まではオレンジ、それを超えるとレッドだそうだ。ちなみに、現在はグリーンだという。こんな所にまで、日本の「大阪文化」が輸出されているとは思わなかった。

 ところでこの「東京アラート」、これが出されたからといってまた自粛要請に直ちに繋がるものではない。その時点で都民に警戒を呼び掛けるものに過ぎないが、気になるのは、これが既に感染者が出ている病院のほか、新宿などの夜の歓楽街を中心に出ていることである。とりわけ夜の歓楽街は、韓国の例を見るまでもなく、感染者の追跡が難しい。6月2日までの1週間で判明した新規の陽性者数合計114人のうち、夜の繁華街が感染源とみられるのは32人で、その3割近くを占める。その他の指標は、週単位で比較した陽性者数で、これは前週の2倍強である。また、直近7日間平均での感染経路不明率は50%となっている。


(注)東京アラート (東京都のHPより)
   崚豕アラート」は、都内の感染状況を都民の皆様に的確にお知らせし、警戒を呼び掛けるものです。
 ◆‥毀韻粒様は、夜の繁華街など、3密のリスクが高い場所には十分ご注意ください。
  手洗いの徹底とマスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、「3つの密」を避けた行動など、「新しい日常」を徹底して実践してください。
 ぁ〇業者の皆様には、都や各業界団体が策定するガイドライン等を踏まえて、適切な感染拡大防止対策の更なる徹底をお願いいたします。また、出勤に当たっては、テレワークや時差通勤の活用をお願いいたします。


検査陽性者の状況、新規患者に関する報告件数の推移

モニタリング指標(1)新規陽性者数

(2)新規陽性者における接触歴等不明率、(3)週単位の陽性者増加比

(4)重症患者数、(5)入院患者数

(6)PCR検査の陽性率、(7)受診相談窓口における相談件数



(23は、6月3日記)


24.愛知県知事が東京と大阪が医療崩壊と酷評

 愛知県の大村秀章知事は、記者会見で、「東京と大阪では医療崩壊が起きている」と何回も指摘している。もう、酷評といってよい。とりわけ5月11日の記者会見では「病院に入れないということと、それから救急を断るという、この二つはやっぱり医療崩壊ですよ。それが東京と大阪で起きているわけですから、それはですね、よその国の話ではないんですね。ですから、私はそれはですね、絶対に起こしちゃいかんと。起こしたらやっぱり負けだと思いますよ、僕は。行政としては負けですよ、それは。何をうまいこと言い繕ってもね、結果ですから。」などと述べていた。また、緊急事態宣言が解除された26日には特に首都圏や大阪圏について、「病院で受け入れ困難だった感染者数や救急件数などの情報公開と検証が必要とし、ひと山越えて目出たしではない。検証しないとまた同じことになる。」とも述べた。

 他の県のことまで失礼なことを言うものだと思っていたところ、その一方で大村知事は、「愛知県は入院やクラスターの状況を日々情報公開しているが、こういう対応をしているのは私たちだけだ。予想される第2波に備え、既存の施設を活用した新型コロナ専門病院を計画し、増床準備をしている。」などと語っているから、東京と大阪の状況を引き合いに、愛知県の対策を自画自賛しているもののようだ。

 案の定、そこまで貶された大阪府の吉村洋文知事は黙っていない。翌27日、ツイッターで、「大阪で医療崩壊は起きていません。何を根拠に言っているのか全く不明です。一生懸命、患者を治療する為、受け入れてくれた大阪の医療関係者に対しても失礼な話です。東京もそうですが。根拠のない意見を披露する前に、県は名古屋市ともう少しうまく連携したら? と思います」と投稿した(注)。

(注)この最後の名古屋市との連携部分には、笑ってしまった。大村知事は、河村たかし名古屋市長との間で、昨年の「あいちトリエンナーレ2019」を巡る紛争その他諸々の事件を抱えているので、その状況を大きく皮肉ったからである。

 すると更に翌28日に大村知事は、「私は公表されている厚生労働省の公表データや報道された内容をデータを元にしている・・・病院に入れていない、救急を断るという状況を医療崩壊。間違いなく東京と大阪はそういう状況にあった。事実関係を検証し、二度とそういうことがないようにやっていただくことが必要と申し上げている。もし違うというなら、データを持って、言わなければいけない。もっともっと事実関係を公表した上で、ものを言われたほうがいい。そうでなければただ単に言い訳をしてるだけにすぎない。」と述べた。同格の知事に対して、まるで学校の先生が生徒を諭すような調子で、かなり上から目線だ。

 もちろん、吉村知事は黙っていない。その当日、記者に対して「感染症が広がったとき、医療状態が逼迫したのは事実です。これは東京、大阪に限らずです。医療崩壊が起きて、きちんと看なければいけない人を看ることができていない状況ではない。なぜ、そういうことをおっしゃったのか、理解不能ですので、あんまり相手せんとこ」とまで言う。「相手にせんとこ」という大阪弁がこれまた面白い。

 吉村知事と同じ「日本維新の会」の松井一郎大阪市長もこの論戦に参入し、「救急受け入れを止めた病院はあるが、一般の重症患者さんは他の医療機関を受診してもらっただけだ。(大村知事は)愛知全体の危機管理をやればいい」と語った。一方、東京都の小池百合子知事は「ほかの自治体の方がどうおっしゃるのかについて、一つ一つお答えする気はない。東京に集中したい」と、大人の対応をみせた。

 そうこうしているうちに、話はどんどん大きくなり、6月2日、地元の美容外科院長の高須克弥氏が大村秀章知事の解職請求(リコール)運動を始めると発表した。理由は、昨年のあいちトリエンナーレと今年の新型コロナウイルスへの対応だという。報道によると、吉村知事も賛成、河村市長も応援の立場だそうだ。

 なお、愛知県の新型コロナウイルス感染症に関する問題とは、5月5日の午前中の45分間、県のウェブページ上に、県内発生事例1例目から495例目までの患者に関する非公開情報を誤って掲載した事件である。その誤って掲載した内容は、「患者の氏名、入院先医療機関、入院日、転院先医療機関、転院日、退院日、発生届提出保健所、クラスターの名称及び分類」というが、原資料そのものを掲載したため、中には「恋人」「愛人?」などという機微な人間関係にまで言及していた例もあったというから、穏やかでない。個人情報の漏洩もここに極まれりだ。愛知県も、他県のことをとやかく言う前に、まずは自らの足元を固めることが先決ではないか。


愛知県の新型コロナウイルス感染症に関する情報漏洩のお詫び



(24は、6月4日記)


25.特別定額給付金

(1) 今回の新型コロナウイルス対策の第一次補正予算を使い、4月20日の閣議で「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」が決定され、そのうちのひとつの施策として全国民に一律10万円を支給する「特別定額給付金」が決定された(注)。元々の案として支給対象を絞って一世帯30万円を支給するはずだったところ、連立与党の公明党からの強力な申入れで、このような形になったものである(10(2)参照)。そのときの外向きの説明は、「そんなことをしていたら審査に時間がかかって支給が遅れてしまう。緊急経済対策なのだから、全国民に直ちに届けられるようにすべきだ。」というものだった。それもあってか、郵送での申請方式に加えて、マイナンバーカードの所持者ならオンラインでの申請方式も使えるし、その方が早いという触れ込みだった。


特別定額給付金パンフレット表


特別定額給付金パンフレット裏



(注) 特別定額給付金の概要

 令和2年4月20日、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」が閣議決定され、感染拡大防止に留意しつつ、簡素な仕組みで迅速かつ的確に家計への支援を行うため、特別定額給付金事業が実施されることになり、総務省に特別定額給付金実施本部を設置いたしました。

 (1)施策の目的

 「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」(令和2年4月20日閣議決定)において、「新型インフルエンザ等対策特別措置法の緊急事態宣言の下、生活の維持に必要な場合を除き、外出を自粛し、人と人との接触を最大限削減する必要がある。医療現場をはじめとして全国各地のあらゆる現場で取り組んでおられる方々への敬意と感謝の気持ちを持ち、人々が連帯して一致団結し、見えざる敵との闘いという国難を克服しなければならない」と示され、このため、感染拡大防止に留意しつつ、簡素な仕組みで迅速かつ的確に家計への支援を行う。

 (2)事業費(令和2年度補正予算(第1号)計上額)12兆8,802億93百万円

   給付事業費 12兆7,344億14百万円、事務費 1,458億79百万円

 (3)事業の実施主体と経費負担

   実施主体は市区町村、実施に要する経費(給付事業費及び事務費)については、国が補助(補助率10/10)

 (4)給付対象者及び受給権者

   給付対象者は、基準日(令和2年4月27日)において、住民基本台帳に記録されている者    受給権者は、その者の属する世帯の世帯主

 (5)給付額 給付対象者1人につき10万円

 (6)給付金の申請及び給付の方法

   感染拡大防止の観点から、給付金の申請は次の(1)及び(2)を基本とし、給付は、原則として申請者の本人名義の銀行口座への振込みにより行う。なお、やむを得ない場合に限り、窓口における申請及び給付を認める。その際、受付窓口の分散や消毒薬の配置といった感染拡大防止策の徹底を図る。

    〕港申請方式・・・市区町村から受給権者宛てに郵送された申請書に振込先口座を記入し、振込先口座の確認書類と本人確認書類の写しとともに市区町村に郵送
   ◆.ンライン申請方式(マイナンバーカード所持者が利用可能)・・・マイナポータルから振込先口座を入力した上で、振込先口座の確認書類をアップロードし、電子申請(電子署名により本人確認を実施し、本人確認書類は不要)


(2) それで蓋を開けてみたら、市役所や区役所などの地方自治体の窓口が大混雑となった。緊急事態宣言下で「3密(密閉、密集、密接)」は避けよということになっているのに、まさにその3密そのものの風景が各地の窓口で現出し、広く報道された。一体、何をやっているのかというと、まずはオンライン申請をするために、この際、マイナンバーカードを作ってもらおうという人たちだ。そもそも、この騒ぎが始まる頃までに、マイナンバーカードの保有率は、全国民のうちわずかに15%しかいなかった。その残る85%の人の一部が押しかけてきたのだから、それは混雑するはずだ。ただ、こんな混雑時にカードを発行してもらうには、早くて1ヶ月半、普通なら2ヶ月もかかると聞いて、諦めた人も多かったと言われている。

 次に、既にマイナンバーカードを保有している人たち、つまり15%のうち、申請に必要な暗証番号を忘れた人たちが、窓口でそれを聞こうと集まってきているのである。こんな外出自粛の非常事態宣言下で、まるで趣旨に反することが行われている。こういう事態になったのも、マイナンバーカードの使い勝手が悪くて、誰も持つ必要性を感じていなかったからだ。数年内に、健康保険証として使えるようになるというが、それまでは身分証明書として使う以外には、メリットが全く思いつかない。

 ちなみに、私と家内は、マイナンバーカード制度が始まってから1ヶ月経たないうちに二人で区役所に行って、作ってもらった。発行用の区役所のパソコンが時々フリーズする中だったが、それでも1週間ほどで入手できた。それ以来、使ったのは税務署にe−Taxで確定申告するときだけで、それも医療費領収書などの書類の保管が面倒に感じて、また紙ベースに戻してしまった。

(3) ところで、私のようにマイナンバーカード保有者は、今回の特別定額給付金を受けるためには、マイナンバーカードと自分の銀行口座を紐づけないといけない。税務署に申告するときは、税金を納付したり、納めすぎの税金の還付を受けたりするときに、自分の銀行口座を申告しているし、その情報は地方自治体の課税当局にも行くから、その口座を使ってくれるのかと思いきや、どうも法律で雁字搦めに用途を絞っているために、そんな融通無碍なことは出来ないようだ。アメリカの場合は、社会保障番号と銀行口座が紐づいていることから、決定からわずか2週間で振り込まれたそうだ。

 これというのも第一に、行政の電子化といっても既存の仕組みをそのままにしてバラバラに電子化を進めてきたために、情報が横断的に使えないからだ。第二に、個人情報保護を過度に恐れすぎて、電子化自体に消極的になっていることだ。台湾は、マスクを配給制にするときに、全国民に配布しているカードを利用した。エストニアは、行政手続の99%を電子化している。もっとも、それぞれ隣国の中国、ロシアという潜在的脅威の存在があったからこそできたものかもしれないが、日本もこれからの人口減少や高齢化の時代に、行政効率を飛躍的にあげるために必要な施策だろうと思う。

(4) 特別定額給付金は希望者にのみ配付されることから、別に困っていなければ、貰わないという選択肢もある。しかし、今や私も「年金生活者」だし、これまでせっせと納税してきたことから、「貰う」ことに決めた。そうしたところ、たまたま、文京区役所から「固定資産税・都市計画税納税証明書」が届いた。それがまるで図ったように「97,600円」と、ほぼ10万円だったのには参った。なるほど、国も地方も、転んでもただでは起きない。うまい仕組みになっている。この際、国が発行した国債で国民に10万円を配るが、それがそのまま地方公共団体の財源になるということだ。これは一種の地方交付税交付金なのである。ぬか喜びをしてしまった。

(5) 特別定額給付金の申請には、郵便による方式とマイナンバーカードを使ったオンライン方式があるというので、早そうなオンライン申請を試してみようとした。しかし、その頃からオンライン申請の方が時間がかかるという報道が溢れるようになった。なぜなら、オンラインで二重に申請してきたり、同居者を間違えたり、振込み口座番号を書き間違えたりするのが多くて、それを人海戦術で住民票などと照らし合わせ、必要なら本人に電話する作業でてんてこ舞いだというのである。

 私は、てっきりオンライン申請は住民票データベースと紐付いていて、そんな作業は自動的に行われるに違いないと思っていたけど、とんでもない。総務省の特別定額給付金アプリケーションと、住民票データベースとはプッツンと切れているのだ。こんな「名ばかりオンライン」では、時間がかかるわけだ。それに、二重申請をチェックできないなんて、初歩的なミスとしか言いようがない。なお、中には「二重」どころか、「十五重申請」というのもあったそうだから、そんなことをする申請者の方も、どうかしている。

 結局、郵送での申請が早そうだと思い、オンライン申請はやめた。そして、待っていたら、ようやく6月6日になって文京区役所の「緊急経済対策推進室」から、書類と返送用封筒が送られてきた。その内容を確認し、「要」のところに丸を付け、印鑑を押し(これだけ印鑑を止めようという時代なのに、まだ、印鑑を求めている)、それに運転免許証と銀行預金通帳のコピーを貼って送り返した。さて、今月中に送金されてくるだろうか。

記入要領 1


記入要領 2


(25は、6月7日記)


26.パルスオキシメーター

 私が初めて「パルスオキシメーター(酸素濃度測定機器)」という医療用器具の名前を知ったのは、4月24日のニューヨークタイムスの記事だった。それは、ニューヨーク在住で、30年間救急医療に携わっている現役医師によるドキュメンタリーものだ。ちなみにそのときは、新型コロナウイルス感染症の病態がどういうものか、まだ明らかになっていない段階のときだった。

 その医師は、「肺炎では患者は通常、胸部の不快感や呼吸時の痛みなどの呼吸障害を発症する。しかし、新型コロナ肺炎の場合、当初患者は酸素量が低下しても、息切れを感じない。しかしその間、驚くほど酸素濃度が低下し、中等度から重度の肺炎(胸部X線写真で見られる)になっていく。正常な酸素飽和度は94%から100%だが、私が見た患者の中には、酸素飽和度が50%にまで低下していた例もある。」という。

 そして、「新型コロナ肺炎を患う患者をより多く迅速に特定し、それらの患者をより効果的に治療するひとつの方法がある。その方法では、病院または医院でのコロナウイルス検査を待つ必要はない。普及型の医療器具を使って無症候性の低酸素症を早期に発見することが求められる。その器具とは『パルスオキシメーター』であり、ほとんどの薬局で処方箋なしに購入できる。パルスオキシメーターは、体温計と同様、複雑なものではない。この小さな機器はボタン1つで起動する。利用者が指先に装着すると数秒で、酸素飽和度と脈拍数を表す2つの数字が表示される。パルスオキシメーターは、酸素化障害および高心拍数を検知する器具として非常に信頼度が高い。」とのこと。

 私はこれを読んで、早速、アマゾンのサイトを見てみた。すると、「パルスオキシメーター」なるものがあるではないか。あれ、どこかで見たことがあると思ったら、義理の母が老人ホームで毎日測ってもらっていたあの器具だ。大型のクリップのような形をし、クリップ部分を開いたときに指先を突っ込んで血管中の酸素濃度を測るのに使い、98%とか何とかやっていたあれだ。値段は、2,865円とある。これは安い。我が家では、家内に基礎疾患があって、薬の副作用で免疫が低下しているから、もし新型コロナウイルスに罹患したとすれば命に関わる危ない状況だ。それでは、買ってみようかという気になった。注文したら、配送は、何と6月中旬になるという。1ヶ月以上先だ。それまで、新型コロナウイルスに罹らないようにしなければならない。

 ちなみに、一般社団法人「日本呼吸器学会」のHPを見ると、パルスオキシメーターについて、次のような説明があった。

「 皮膚を通して動脈血酸素飽和度(SpO2)と脈拍数を測定するための装置です。赤い光の出る装置(プローブ)を指にはさむことで測定します。

 肺から取り込まれた酸素は、赤血球に含まれるヘモグロビンと結合して全身に運ばれます。酸素飽和度(SpO2)とは、心臓から全身に運ばれる血液(動脈血)の中を流れている赤血球に含まれるヘモグロビンの何%に酸素が結合しているか、皮膚を通して(経皮的に)調べた値です。プローブにある受光部センサーが、拍動する動脈の血流を検知し、光の吸収値からSpO2を計算し表示します。

 酸素飽和度(SpO2)は肺や心臓の病気で酸素を体内に取り込む力が落ちてくると下がります。主に病院や在宅治療の患者さんで、必要に応じて測定します。睡眠時無呼吸症候群の簡易診断にも利用します。加齢によってもある程度低下し、労作時にも変動します。

 一般的に96〜99%が標準値とされ、90%以下の場合は十分な酸素を全身の臓器に送れなくなった状態(呼吸不全)になっている可能性があるため、適切な対応が必要です。慢性に肺や心臓の病気のある患者さんでは、息苦しさや喘鳴などの症状が強くなり、SpO2が普段の値から3〜4%低下した場合は、かかりつけ医に連絡するか受診をしてください。

 操作自体は簡単で、家庭での購入も可能ですが、測定値のもつ意味はその人の状態やかかっている病気によっても異なるため、測定値の判断は主治医など医療専門の方の指導を仰ぐことをお勧めします。」


 その後、5月2日に、「新型コロナウイルスの感染拡大で、血液中の酸素濃度を測るパルスオキシメーターと呼ばれる医療機器が不足し始めていて、メーカーは、感染の有無を判断できる機器ではないとして、一般家庭での購入はできるだけ控えるよう呼びかけています。」という記事が載ったが、もう取り消せない。だいたい私が注文したのは中国製のようだから、少なくとも国内メーカーの製品の需給には、むしろ緩和する方向に働くはずだ。

 それから、まだ来ないなぁと首を長くして待っていたら、6月6日になってようやく配送された。中国からの直送だ。包装を解いてみると、どうもチャチな製品だと感じる。外から配線が丸見えだ。これで得られる数字は、信頼できるのかとすら思う。ええっと、標準値は96%から99%か・・・ではまず最初に、万が一感染したら危なそうな家内の指を測ろう。

 電池を入れ、白い頼りない電源ボタンを押し、家内の人差し指をちょっと挟む。全然痛くない。表示がピコピコと動いて、98、72という数字が出てくる。ははぁ、酸素飽和度が98%というわけか、96%〜99%の範囲内だ。72というのは、脈拍だ。結構、結構。では次に、私の番だ。ピコピコと動いた後に出た数字は、98、77だった。これ以降、毎日の朝晩の検温の際に、併せてこの酸素飽和度も測ることにしている。確かに、96%〜98%の範囲内で推移しているので、今のところ安心だ。


パルスオキシメーターの測定値


(26は、6月8日記)


27.新型コロナ川柳


近所に咲く凌霄花の花




 COVID-19とは 俺のことかと コロナ言い

ギョエテ並み


 エレベーター 肘で押すのが 上手くなり

ボタンは感染源


 朝昼晩 女房と食う 三度の飯

仲が良いのか迷惑か、外出自粛


 帰りがけ 一杯の酒なし 小遣い余る

外出八割減、飲み屋十割減


 在宅も ズームズームで 飽きてきた

在宅テレワーク勤務疲れ


 おやお宅も コロナ太りで 体重計

在宅勤務で平均2キロ増


 アベノマスク 洗ってしまえば コドモノマスク

ただでさえ小さい


 十万円 マイナンバーで 大混雑

自治体職員の悲鳴、特別定額給付金




近所に咲く紫陽花の花


(27は、6月12日記)

28.東京アラート解除・ステップ3へ緩和

(1) 東京都は、6月11日、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着きつつあることから、2日に出した警戒情報「東京アラート」をこの日をもって解除し、それとともに翌12日から、休業要請の段階的な緩和措置につき現状の「ステップ2」から「ステップ3」へ移行することにした。これにより、飲食店に求めていた午後10時までの営業時間制限がなくなり、カラオケ店、遊園地、ゲームセンターなど遊興・遊戯施設への休業要請もなくなった。NHKの統計などは、次のように伝えている。


東京都の日ごと感染状況(6月11日まで)

東京都の累積感染状況(6月12日まで)

東京アラート解除の指標

ステップ3へ(6月10日まで)

政府の方針



(2) 新型コロナウイルス感染防止から、外出自粛や施設使用制限で傷みに傷んだ経済の正常化へと大きく舵を切ったものだ。しかし、未だに有効な治療薬やワクチンがない中、感染の再拡大を懸念する声が多いのも事実である。現に世界を見渡してみると、早目に都市封鎖を解除したイランでは、第1波を上回る感染拡大の波に襲われている。

退院基準等

WHO(世界保健機関)の退院基準等


(3)6月11日に東京アラートが解除されたというのに、東京都内、特に新宿歌舞伎町などの夜の繁華街を中心として、新たな感染者が相次いでいる。14日には東京都で47人が判明し、そのうち歌舞伎町の同一ホストクラブで働くホスト18人だという。しかもほとんど自覚症状がない人ばかりというから恐ろしい。東京アラートの解除が早すぎたのではないかという批判がある中、西村康稔担当大臣が「接待を伴う飲食店などでの感染防止を図るためのガイドライン」を公表した。(民間のナイトクラブ・ガイドライン

 それは次の通り共通の対策と3つの業種別の対策から成るが、これは大変だ。たとえ法律をもってしても、守ってもらうのは難しいと思われるものばかりだ。結局、「そんなことをしてまで夜の町に行きたいのですか」ということになりそうだ。しかし、それでも、好きな人は行くに違いない。まさに、「死ななければ治らない」ということか。

【共通の対策】
  店内においては対人距離を確保し人数を制限(できるだけ2メートル、最低1メートル確保)
  飛沫防止のためテーブルやカウンターへのアクリル板やビニールカーテン等の設置
  客や従業員へのマスクやフェイスシールドなどの着用に努める
  店内の換気や消毒を徹底
  客に名前や連絡先の記入を求め、当面の間、保存する


【キャバクラやホストクラブ、スナック等接待を伴う飲食店】
  利用者の横に着いて一緒にカラオケやダンス等を行うなどの接客は、当面の間、自粛
  利用客の近距離で行うライブ、ダンス、ショー等は当面の間、自粛
  利用客同士のお酌、グラスのまわし飲みは避けるよう注意喚起


【ライブハウス】
  出演者(演奏者・歌唱者等)と観客の間の距離は、なるべく2メートル確保し、それができない場合には、飛沫が拡散しない対応をする(発声場所を中心に、遮明の遮蔽物を設ける等)
  オンラインチケットの販売やキャッシュレス決済を推奨
  公演前後および休憩中に、人が滞留しないよう段階的な会場入り等を工夫。


【ナイトクラブ】
  過度な大きさ・頻度の声出しの禁止を促す
  飛沫の過度な拡散を制御するため店内の音量を必要最小限に調整
  多くの人を集めるイベントは、当面中止ないし延期
  感染追跡アプリ運用が始まれば、導入を入場条件にする
  当面の間、都道府県をまたぐ来店は遠慮してもらう


(28(1)〜(3)は6月11日、(4)は6月14日記)




新型コロナウイルス緊急事態宣言(第4部に続く)



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