<< 徒然260.ドリーム夜さ来い祭り | main | 和紙人形と富士山の日没 >>
徒然261.新宿御苑 菊花壇展 2012年

新宿御苑菊花壇展の第一露地花壇


 新宿御苑 菊花壇展(写 真)


 新宿御苑の菊花壇展の季節となった。同じ菊の花を使った展示といっても、新宿御苑の菊花壇展は、そんじょそこらの菊人形展の雰囲気とは大いに違う。菊人形は人形の頭を付けて、菊花の玉からできた衣装を身に付けるいかにも庶民的な楽しみである。これに対して新宿御苑はその日本庭園の回りに特有の上屋(うわや)を設けて、雅びた様式で展示するいわば貴族的な楽しみである。それもそのはずで、この菊花壇展は、宮内省が明治11年に赤坂の仮皇居で催した「菊花拝観」に端を発する。それが昭和4年から観菊会として新宿御苑で行われるようになったというのである。

懸崖作り花壇


 この菊花壇展のそれぞれの花壇は、パンフレットの説明によれば「順路に沿って観ると最も美しく鑑賞できるようにデザインされている」とのことであるが、実は私は、今回初めて、その順路に沿って巡ってみた。まず最初は、第一露地花壇で、背の高い黄色と白色の菊の花の回りに背の低いピンク色の菊を配した美しい花壇である。懸崖作り花壇「野菊が断崖の岩間から垂れ下がっている姿を模して、1本の小菊」を長い三角の形に大きく垂れ下がる株に仕立てている。大正5年から作り始めているそうだ。

伊勢菊


丁子菊


嵯峨菊


 次の伊勢菊、丁子菊、嵯峨菊花壇は、独特な雰囲気がある。まず丁子菊はダリアを思わせるように花の中心がこんもりと盛り上がって咲く。別名アネモネ咲きというらしい。そのような丁子菊とは真反対に、伊勢菊と嵯峨菊はいずれも紐を思わせる細い細い花びらを持っているが、この2つはその咲く方向が反対だ。伊勢地方で育てられた伊勢菊は、細長くて縮れた花びらを下にだらりと垂らしている。逆に京都の嵯峨野で発達した嵯峨菊は、細長い花びらが真っすぐ上を向いている。この3種類の菊を一堂に集めて観るのが、この花壇なのである。その作り始めは、昭和30年とのこと。

大作り花壇


 大作り花壇は、いうまでもなくこの新宿御苑を代表するもので、その豪華絢爛たる優美な菊作りの技法は、一度見たら忘れないほどである。これは「初冬に出てくる芽を1年がかりで枝数を増やし、1株から数百輪の花を半円休に生前と仕立てて咲かせる」ものということだ。今年は、白と黄色の2色しかなかったが、例年なら、これにピンク色の株がある。見ていて、そのシンメトリーな様式美の美しさに感動するだけでなく、これがたった1本の木から出来ているとは、とても信じられない気がする。作り始めは、明治17年。

江戸菊花壇


 さて、日本庭園の上の池を渡って江戸菊花壇に行く。これは、私に言わせれば「乱れ咲き」であり、細長い花びらがあちこち勝手な方向に向いて咲く。説明によると「江戸菊は江戸時代に江戸で発達した菊で、花が咲いてから花びらが様々に変化し、色彩に富んでいるのが特徴で、そうした花の変化を鑑賞する菊」とのこと。新宿御苑の菊花壇の中では最も歴史が古くてその作り始めは、明治11年とのこと。

一文字菊、管物菊花壇


一文字菊


管物菊


 一文字菊、管物菊花壇は、いずれも白い紙に支えられた菊である。説明では「一文字菊は、花びらの数が16枚前後の一重咲きの大輪菊で、花の形から御紋章菊と呼ばれ・・・管物菊は、筒状に伸びた花びらが放射状に咲く大輪菊でも糸菊とも呼ばれている」というそうな。大正14年から作り始めている由。特に一文字菊は、この白い紙がなかったら、どうなってしまうのかと気になるほどである。それにしても、「管物(くだもの)」とは、よく名付けたものだ。

肥後菊


 肥後菊花壇「古くから肥後地方で作られた一重咲きの古典菊で、主に武士の精神修養として発達し、その栽培方法や飾り方は江戸時代に熊本で確立した秀島流の厳格な様式にもとづいて」いるとのこと。ただ、花の盛りが違うようで、ここにいわれる精神修養の糧になるかどうかは、わからなかった。作り始めは、昭和5年。

大菊花壇


大菊


 大菊花壇は、これも大作り花壇に続く本花壇展の白眉中の白眉で、これほど粒のそろった大菊が一堂に会している姿は、なかなか見られない。大菊とは「菊の代表的な品種で、花びらが名の中央を包み込むように丸く咲くのが特徴で、それを神馬の手綱模様に見立てた『手綱植え』と呼ばれる新宿御苑独自の技法で39品種311株の菊を、黄・白・紅の順に植え付け、全体の花がそろって咲く美しさを鑑賞」すると良いとの由。作り始めは、明治17年とのこと。誠に、目の保養になった。帰り際には、第二露地花壇があり、第一露地花壇とはまた異なる美しい幾何模様と色合いのものである。




第二露地花壇




(2012年11月10日記)


カテゴリ:徒然の記 | 23:08 | - | - | - |