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徒然258.秋の園遊会

秋の園遊会


 秋の園遊会が赤坂御所で開催された。私のところにも招待状が届き、参加することが出来た。ドレスコードは、モーニングコート、制服又は背広ということなので、まあ普通はモーニングを選ぶのが無難だろう。私も、そういうことで、モーニングを着用して出掛けることにした。予め配布されたマークを付けた車に乗り、午後1時45分頃、赤坂御苑内に入った。下車してテントの前の係の方に半券をお渡しし、それから差し出される飲み物のグラスを手にする。上司、同僚、知己と交々挨拶を交わして雑談し、時にはモクモクと煙をあげているテントまで行って、そこで焼かれている焼き鳥やジンギスカンにまで手を出したりした。そうしてまた色々な話題が飛び交う場に戻り、和やかな時を過ごす。眼を上げれば、空はもうすっかり秋だ。真っ青でどこまでも続く空の中に、白い筋雲が浮かぶ。芝生の前には、懸崖造りの菊の花や大輪の菊の鉢が並べられていて、いかにも秋らしい。その横にある紫色の花は何かと思って近づくと、杜鵑(ほととぎす)ではないか・・・しかも花が集まって咲いている。こんなに杜鵑の花が集合しているのは、見たことがない。隣には、大きな丸い緑色の葉っぱから出る長い茎の上に黄色い花がある。ああこれは、石蕗(つわぶき)の花である。

秋の園遊会


秋の園遊会


 はて、前回はたくさんの各国大使がいたが、今日はいないなぁ・・・と思ったら、それは春の園遊会のことで、この秋の園遊会には外交団は招待されないそうだ。前回は、特にアジア各国の大使さんたちとよく話が合った。これというのも、私が若い頃に東南アジアに3年間いたことがあるので、良いことも悪いことも含め、それぞれのお国の事情がわかるからかもしれない。これに対して、ヨーロッパの大使たちは仲間内だけで集まる傾向にあり、あまり接触する機会はなかった。それにしても、アフリカの大使夫人たちの衣装のカラフルなこと・・・まるで熱帯の鳥のような華やかさである。今日は、またあの方々と話しが出来るかと期待していたが、それは叶わなかった。

秋の園遊会


 しばらくして、まず皇太子殿下と秋篠宮殿下ご夫妻、そしてその他の皇族方が車から降りられて、芝生の上に一列に並んだ我々のところまで来られて、ひとりひとりに会釈をされた。皇太子殿下は、やや臙脂がかったモーニングコートを着用されてグレーのシルクハットを手でお持ちになり、にこやかに、そしてさわやかに次々と軽く会釈をされていった。そしてちょうど列の終わりまで来られたときに、くるりと来た道を戻って行かれた。間もなく天皇皇后両陛下が到着されるからである。時計を見たら午後2時10分過ぎ、両陛下の車がお着きになった。そして、車からお出ましになった両陛下は、その直前に皇太子ご一行がされたように、列をなして並んでいる我々のひとりひとりに、端から端まで挨拶をされようとした。陛下が我々のいるところまで来られたときのことである。何とまあ、恐れ多くも、陛下の頭に赤トンボがとまったではないか・・・私は、ああっと思ったが、陛下は何事もなかったかのように、にこにこと自然な笑みを招待客に向けて通り過ぎられた。私はいったん目礼をしたあとで頭を上げてもう一度、陛下の頭に目をやると、すでに赤トンボの姿は消えていた。だからそれは、ほんの数秒間の出来事だったのかもしれない。

 それを見て、私の隣にいた友人の奥様がいたく感じ入ったようで、陛下が去って行かれたあとで、「赤トンボ 陛下の頭で ひと休み」と詠んだ。のどかで素直な句だ。するとその友人は、「私のは、あんな子供っぽい句ではないからね」といい、「御苑の宴 不敬知らずに 秋あかね」を披露してくれた。ははぁ、なるほど、彼がこれほど句心のある人だとは思わなかった。お見それした。それを見て私も負けじと詠んだのが次の句だが、我ながら川柳風なのが悲しい。どうも私には、句をひねる資格はあまりなさそうだ。

 「此は何処と 心得るのか 秋あかね」


秋の園遊会





(2012年10月25日記)


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