<< 徒然246.向島百花園の夏 | main | カラビ=ヤウ多様体 >>
徒然247.八王子祭り


八王子祭り



 八王子祭り(写 真)


 八王子市で、八王子祭りが行われるというので、カメラと三脚を肩に出かけて行った。iPhoneの乗換案内を見ると快速で御茶ノ水から52分ということで、やや遠い気がしたものの、先週、花火大会を見に行った立川を過ぎたら案外早くて、すぐ着いた。駅前に立つと、いやこれはなかなかの大都会である。八王子といえば、私などは高尾山に行く手前の街という印象しかなかったが、どうしてどうして、八王子がこれほどの都市とは迂闊にも知らなかった。





八王子祭り


 しばし駅前を眺めていたが、やがて人波に混じって西放射線ユーロードなる道を歩いて行った。というのは、その入り口には、たくさんの提灯でゲートが作ってあって、その上に「祝 八王子祭り」と書いてあったからだ。その道すがら、子供向けにカラーボールを掬わせる台が置いてあったり、またお囃子に合わせて狐が踊るという舞台(居囃子というらしい)もあったりして、否応なくお祭り気分が盛り上がる。その舞台を見ていると、踊り出した狐さんが、わざわざ体を曲げて、小さなお子さんと握手をしている。いろんなお子さんたちが次々に握手を求めてくるものだから、なかなか踊れないほどだ。いやいやこれは、子供さんに優しいお祭りである。こういうのは、これまで見たことがない。





八王子祭り




八王子祭り


 パーク壱番街通りの、とある交差点に差し掛かった。するとそこでは、三つの山車がお互い舞台を付き合わせるようにして、それぞれの芸を見せているではないか・・・。まるで、競うように山車の上で踊り、かつお囃子を奏でている。書かれた提灯の字を読むと、「三和会」、「駅前銀座」、「パーク壱番街」とあった。ひとつめは、獅子舞。ふたつめは、白と赤の狐。みっつめは、おかめとひょっとこが主役らしい。山車には、細かい彫刻が施されて、これ自体が動く文化財のようだ。それに乗った囃子方が太鼓や笛でお祭り囃子を奏でる。その調べに合わせて、狐さんなら、手首を折る独特の手つきで狐踊りを披露するかと思えば、おかめさんとひょっとこさんが、いかにも剽軽な仕草で踊る。獅子舞は、お正月によく見かけるあれと同じものだが、特に上下方向への動きがダイナミックである。それらが面白くて、見入ってしまった。20分ほど経っただろうか、三台の山車がそれぞれ勝手な方向へと散っていくその瞬間まで見物してしまった。最後に、正面の山車の屋根の上に乗っている法被の人たちが、色つきテープを投げて終わった。ああ、面白かった。それにしても、最後のテープは、一体どういう意味なのだろうか?





八王子祭り




八王子祭り


 甲州街道に出た。「下地区」という大きな表示がある。ここは舗装された幅広の通りだが、両側の歩道には屋台が出て、多くの人通りがある。屋台は、綿菓子、焼きそば、かき氷、焼き鳥、お好み焼きなど、なんでもござれ状態だ。車道は、先ほど見物していたような山車が何台も往復するようになっていて、山車を引っ張る町内の人たち、整理するおじさん、それに通行人が混然一体となって、日暮れを迎えた。通行人は、浴衣を着ている人の数が多いし、子供は甚平スタイルだ。大人のかなりの人が、ビールを入れた紙コップを持って飲んでいる。右を見ても左を見ても酔っ払いがいる。山車の祭囃子がそこここで響く中、夕暮れの青い空に輝く山車の明るい灯火が映える。そこに、山車の屋根の上に乗った数人が、提灯を掲げて叫ぶ。ああ、これがお祭りだという気がする。





八王子祭り


 あれあれ、あれは横山町三丁目の山車で、年配のおじさんの笛に合わせて、ひょっとこ踊りを披露している。うまいものだ。ちなみに、この山車はというと、「平成六年に再建された三層鉾台方式、建造は新潟県村上市の伽藍師細野実、細野幹雄ほか、山車人形は三代目原舟月作『織田信長羅陵王』」とのこと。ははぁ、これは新しいんだ・・・。では、古いものはというと、あった、あった。南町の山車で、「一本柱の人形山車として明治三九年に建造され、工匠は小野小三郎、彫工は小松光重。戦災で焼失した三人立ちの山車人形『応神天皇を抱く武内宿禰と龍神』が平成一八年に復元されました」という。古い文化財と最近の復元とが混じり合っている。





八王子祭り


 駅でいただいたパンフレットによると、「八王子の山車祭りとして有名な江戸時代から続く市街地の氏子を中心とする山車祭りは、八幡八雲神社の祭礼として下の祭り、多賀神社の祭礼を上の祭りとして親しまれ、江戸中期から明治中期にかけて人形山車の祭りとして、明治後期以降は、彫刻を全面に施した彫刻山車の祭りとして、関東一円に名声を博していました。しかし昭和20年に戦火に遭い8台の山車が焼失、失われた山車も、上八日町、横山町三丁目、八日町一・二丁目三町で山車の再建を果たされ、現在19台の山車が八王子祭りに参加するようになり、毎年甲州街道を舞台に華麗な山車祭り絵巻を繰り広げています」とあった。





八王子祭り


 そんなことで甲州街道を多数の山車が行ったり来たりを繰り返しているが、山車どうしがすれ違うときに、あれあれどうしたことか、お互いまるで磁石に引かれるように近づいていった。そして、相互に見合うような態勢をとって、狐踊りやひょっとこ踊りを見せ合っている。大音量のお囃子付きだ。これは何かというと・・・例のパンフレットにこうあった。「ぶっつけ・・・山車がすれ違うとき、山車を寄せ囃子を競い合うこと。相手に囃子に釣り込まれた方が負けです。2台に限らず、3台4台がぶつかりあうことがあります」とある。これだったようだ。いくつか見たが、あるとき、山車どうしが別れる際に、うち一台の山車の屋根の上に乗った法被の人たちが、色つきテープを投げて終わった。これって、勝利の意味だったのだろうか?まあ、それはまた次の機会にやって来て、誰か地元の人に聞いてみることにしよう。それにしても、このような地域の伝統的行事に小さい頃から自然に参加できる地元の人たちが、とっても羨ましい気がする。

 ところで、今回、私が見たのは、3日間にわたる八王子祭りのごく一部らしい。ちなみにパンフレットを参考にして来年以降また来た場合のシャッター・チャンスがありそうな催しを記録しておくと、次のようなことになる。

8月3日(金)18:30以降   宵宮の舞(八王子芸妓)、西放射状ユーロード
8月4日(土)14:00〜16:00 関東太鼓大合戦
8月4日(土)18:00〜21:30 山鉾巡行と御輿渡御(今回、山鉾だけ見物した)
8月5日(日)15:00〜18:00 多賀神社宮御輿「千貫みこし」渡御
8月5日(日)16:00〜18:00 獅子舞(氷川神社獅子舞保存会等が披露)
8月5日(日)17:00〜21:30 (下地区)山鉾巡行と御輿渡御
8月5日(日)17:00〜19:00 (下地区)御輿連合渡御
8月5日(日)18:00頃 八日辻・横山辻にて山車辻合わせ(それぞれの辻に山車が集結し、囃子の競演を行った後、木遣りが入って揃いびきが始まる)
8月5日(日)18:00〜21:30 (上地区)山鉾巡行と御輿渡御
8月5日(日)19:00〜19:20 (上地区)御輿連合渡御(八幡辻に9基の御輿が集結)
8月5日(日)19:00〜19:20 (上地区)(八幡辻に9基の山車が集結)
8月5日(日)19:50〜20:30 (上地区)山車八幡大辻合わせ(八幡大辻に10台の山車が集結し、木遣りが入り囃子の競演を行った後山車が巡行し「ぶっつけ」を行う)

 これを見ると、最も合理的な撮り方は、8月5日(日)にやってきて、15:00から多賀神社宮御輿「千貫みこし」渡御、16:00から獅子舞、17:00から下地区の山鉾巡行と御輿渡御、18:00頃から八日辻・横山辻の山車辻合わせ、19:00から上地区の八幡辻の山車の集結、19:50から上地区の山車八幡大辻合わせに行くというものだが、猛暑の中をあちらへ行ったかと思うと、またこちらへと向かわなければいけない。これは大変なことになる。それに、8月3日(金)18:30以降の宵宮の舞というのも、なかなか捨てがたい。まあ体力勝負になりそうだが、それでも祭りの魅力には勝てない。できれば来年、また撮りに行ってみよう。なお、光の関係から写真がブレずに撮れるのは、せいぜい日没直後の19:00までだ。それ以降は、動きのある被写体は、どうしてもブレてしまうので、なるべく人や山車の動きが止まった瞬間をとらえたいものである。




(2012年 8月 5日記)


カテゴリ:徒然の記 | 22:55 | - | - | - |