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東京の桜 2012年(10) 新宿御苑(続き)


新宿御苑の八重桜・関山(かんざん)




  新宿御苑の八重桜(下)(写 真)


(10) 新宿御苑(続き)

 あれから2週間が経ち、再びカメラを持って新宿御苑に出かけた。というのは、新宿御苑の八重桜の最後を飾る関山(かんざん)をぜひ見たかったし、それと桜なのに緑色の花をつける御衣黄(ぎょいこう)を撮るためである。新宿門を入ってすぐに右手に向かう。前回は八重桜をたくさん付けていた一葉(いちよう)はすっかり散ってしまって、もはや見る影もない。ところがその近くにあるハンカチの木が花を付けているというので、それを見物に行った。ボランティアの方の説明が聞くともなしに耳に入ってくる。それによると、この木は植えられてからちょうど20年といういわば青年の木だから今が盛りとのことで、こうやってたくさん花を付けている。ところでこの花は、中国四川省雲南省付近が原産で、プラント・ハンターだったアルマン・ダヴィッド神父が西洋に報告した(西洋世界にとっては、「発見」というわけだ)。このダヴィッド神父は、その意味でパンダも発見したそうで、むしろそちらの面で有名になったそうだ。



ハンカチの木



関山(かんざん)



関山(かんざん)


 あった、あった、関山(かんざん)の花が。なかなか赤みが強い。それがもっこり、ぼとっという感じで咲いている。それだけ花が付いていると重たいのでもちろん下向きに咲いているが、それを下から見上げるように撮ると日光に透かしてとても美しい。しばし、その美しさに感じ入って見とれていた。これだけでも、ここにやってきて良かったと思う。さて、そのまま進んでいくと、もうすぐ5月だけあって、ツツジが真っ赤となっており、これも迫力があって非常に美しい。その向こうには、代々木のドコモ・タワーがあり、これらを合わせるとなかなか近代的な風景だ。ここでもまた、しばし見とれたのである。このツツジという花、集団として見ると非常に自己主張が強い花であるが、近づいていると一個一個の花は誠に単純素朴であるから、その落差が何ともいえず可笑しい気がする。



代々木のドコモ・タワーとツツジ



ツツジ


 普賢象(ふげんぞう)という赤味の強い桜の花があった。一見すると、関山(かんざん)のようだが、色がややピンクがかっている。これもまた、満開の時期を迎えている。花弁がひとつひとつ分厚い感じがして、その花びらが地面に落ちたところをみると、ぽっこりもっこりしている。面白いので、その写真もカメラに収めた。



普賢象(ふげんぞう)



普賢象(ふげんぞう)



普賢象(ふげんぞう)の花びらが地面に落ちたところ



普賢象(ふげんぞう)の花びらが地面に落ちたところ


 ああ、これも大輪の桜である。関山や普賢象を見慣れていると、これは白っぽく思える桜である。松月(しょうげつ)という名前らしい。眺めていると、誠に品の良い桜に思えてきた。あまり知られていないけれど、染井吉野には飽き足らず、さりとて関山のような本格的な赤っぽい八重桜はどうも、という向きには適している桜である。



松月(しょうげつ)



松月(しょうげつ)


 うむ、これが鬱金(うこん)というものか・・・淡い黄緑色をしている桜で、しかも大輪の八重咲きである。そもそも桜のうちで黄緑色の花を咲かせる品種はあとは御衣黄(ぎょいこう)しかないが、それにしても珍しい品種である。花弁に葉緑素が入ったということだろうか。ちなみにこの名前は、ショウガ科のウコンの根を染料に用いた鬱金色によるものとのこと。



鬱金(うこん)



御衣黄(ぎょいこう)


 それでは次に、御衣黄(ぎょいこう)を探さなければと思い、地図を広げる。おっと、行き過ぎだった・・・ということで、御苑の中心部へと戻る。レストハウスの近くで、やっと見つけた。何しろ桜といってもピンク色ではなくて薄緑色だから、周囲の色に紛れてしまうのだ。新聞記事によると、飛鳥山公園にもこれが一本だけあり、「開花が進むにつれて、花の色が淡い緑から黄色、そして最盛期には花弁の中心に紅色の縦線が現れて赤みを帯びる。かつて貴族がまとっていた御衣(衣服)の色と、この花の緑色とが似ていることから名付けられた」という。なるほど、そういうことかと改めてじっくり眺めた。赤色の縦線が現れつつあるので、これは最盛期が近そうである。ちなみに、全国の桜のDNAを調べている先生がいて、その最新の調査結果によると御衣黄も鬱金も、DNAは全く同一だったとのこと。つまり枝変わりのものを育てて行って品種が別のように思われてきたらしいというのである。



白い花水木(はなみずき)



白い花水木(はなみずき)



赤い花水木(はなみずき)


 あった、ここにあったのか・・・花水木(はなみずき)である。4つの花びらの先端がいずれもタバコで焦げたような色と形になっていて、ほかにこのような花は見たことがないという不思議な存在である。花びらが成長して満開となると、四方に伸びて十字形となるけれど、そこに至るまではひとつひとつの花びらが丸まっていて、まるで両手で頭を隠しているような格好となるから、面白い。ここでは、白い花の木と赤い花の木が隣り合って植えられている。その写真をぱちぱち撮っていると、年配の男性が、「これは、何という花ですかねぇ」と聞いてきたので、「ああ、花水木ですよ。アメリカでは、Dogwoodといいます」というと、「なんでDogwoodというのですかねぇ」と聞くので、「さあ、わかりません。でもこの木は、むかし東京からワシントンDCに桜の木が送ったときに、しばらくしてそのお返しとしてアメリカから送られた北アメリカ原産の木なんですよ」と答えた。ところで、後からWebのウィキペディアで調べたところによると、「dogwoodの語源には諸説あるが、一説には17世紀頃に樹皮の煮汁が犬の皮膚病治療に使用されたためと言われ、他には木製の串(英古語:dag,dog)を作る材料に使われる堅い木であったことからとも言われる。」とのことだった。しかし、これくらいのこと、もうiPhone時代に入っているわけだから、その場で調べればよかった。



その名も小手毬(こでまり)


 最後に、面白い花を見つけた。白くて可愛い花がいっぱい集まって、丸くて愛らしい形をしている。その名も小手毬(こでまり)という。花言葉は「友情」とのこと。




(2012年 4月28日記)


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