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徒然226.東京に住まう者の醍醐味


銀座ランウェイ





銀座ランウェイ


 銀座・有楽町・丸の内(写 真)は、こちら

 朝からしとしと小雨が降る中だったが、もう春めいてきて、それほど寒くはない。久しぶりに家内と銀ブラでもしようと、出かけた。千代田線から日比谷線に乗り換えて、銀座四丁目に着いた。地下鉄の狭い階段を上がってみると、銀座の中央通りあたりがどうも騒がしい。松屋から三越にかけて車道に細長く仕切りがあって、その中にずっと細い道のようなものが作られている。その道の両端には大きなテントが置かれていて、中の様子はうかがえない。これは何のイベントだろうかと思い、iPhoneで検索すると、「銀座ランウェイ」と称する初の屋外ファッション・ショーだった。中央通りに広島の貝原さんが提供した100メートルのデニム生地を敷き、その上でファッション・ショーが行われるらしい。しかも、あと30分ほどで始まる。これは、経済産業省が推進する「Creative Tokyo」の一環で、仕掛け人は太田伸之さんだという。ああ、この方は、昔からファッションの世界では有名な人である。お若いころ、確か東京ファッションデザイナー協議会を立ち上げた方ではないかと記憶している。今回は、銀座松屋のMD戦略室長として、公道の貸切りと関係先との調整を経て、やっと開催にこぎつけたという。テーマは、デニムとのことだ。うーむ、なかなか渋い・・・プロ向きの渋さだ。






銀座ランウェイ





銀座ランウェイ


 私が着いた午後2時過ぎには、幸い小雨も上がり、見物できる雰囲気となった。何の気なしにアップル・ストアの向かい辺りにいたら、そこは通行の支障になるというので、三菱東京UFJ銀行のATM付近、ちょうど教文館の真向かい辺りまで移動した。しばし待っていると、車道中央のデニムの道の直前まで動いてよいとのことで、そこまで進出した。その前には、座る席が用意されている。これはインターネットで販売されたらしく、もう完売状態で空いている席は全くないというので買うのは諦め、そのまま立って待つことにした。予定では午後2時半から始まるというのに、なかなか開始されなかったが、ようやく45分になって始まった。





銀座ランウェイ





銀座ランウェイ


 軽快なリズムに乗って、黒い服を着た何人かの女性が、まるで前衛創作ダンスのようなものを踊り始めた。何の意味があるのかと訝し気に思っているうち、いつの間にかそれは終わった。すると、銀座松屋前のテントからモデルさんたちが次々に歩いてきた。ところがその歩く速さの早いこと、早いこと・・・ファッション・ショーでは、もっとゆっくり歩くはずなのに・・・。私の位置からは、左右45度の範囲でしか撮れないので、モデルさんが私の視界の右に現れたかと思うと、もう目の前に来て、すぐに左手へと去っていく。つまり、右手に現われた段階でピントを合わせても、あっという間に目の前に来て、そのときにはもうピントがずれている。その修正をバタバタしているうちに、視界からすっと消え去るというものだ。なぜこんな、小走りのような歩き方をするのか・・・衣装をゆっくり鑑賞できないではないか・・・。先週は、湯島神社の梅に現れたメジロの動きの速さに手こずったが、まさか今週も同じような経験をするとは思わなかった。湯島のメジロは、近くの桜にピントを合わせておけば良かったが、このファッション・ショーではそれができない・・・ということで、仕方がないから、カメラをシャッター・モードにして手当たり次第に適当に撮っていった。こういうときには、連写機能が生きる。





銀座ランウェイ


 最初は、デニムのことはあまり意識しなかったが、ファッション・ショーも後半になって、上下ともにデニム生地が多くなってきた。藍というか紺色のグラデーションが効いていてなかなか良いし、またどこか古い日本の色だなと感ずるところもあり、デニムの良さというものを見直した。しかしその一方、今の若い人たちがこんなものを着るのか・・・かなり地味な色合いだし、着心地はごわごわしている・・・という気もして、私は懐疑的な気分になった。でも、色とりどりの刺しゅうの組み合わせれば、流行に乗るかもしれないという気もする。それとも、織り方を工夫して、なめらかな着心地になっているのか・・・そう思っているうち、モデル・ウォークが一巡した。すると、銀座泰明小学校の児童たちが出てきて、恥ずかしがりつつ、みんなで可愛らしく歩いていたが、よく見るとその先頭でニコニコしながら児童の手を引いている男性は、刺しゅう入りのデニム地のジャケットを着た枝野幸男経済産業大臣その人だった。





プラント・ハンターの仕事





プラント・ハンターの仕事


 それを見終わって、銀座から有楽町方面へと歩き出した。すると、桜が咲いているではないか・・・やっと梅が咲いたというのに、桜とは早すぎると思って近づくと、それは「Sakura Project」というイベントである。全国47都道府県から桜の木を集めてきて、しかもそれらを一斉に咲かせるという離れ業だという。西畠清順さんというプラント・ハンターの仕事だそうだ。ちなみに、この人は、これまで世界中を駆け巡って数千種類の植物を集めてきたそうな。





丸の内仲通り





丸の内仲通り





丸の内仲通り


 さらに歩いて、丸の内仲通りに出る。そこを東京駅方面に歩いて行った。途中で歩道の、私の頭の高さに吊り下げられている花が綺麗だ。ロンドンの町中にも、このようなお花でいっぱいのポット(ハンギングバスケット)が人の背の高さに置いてあったのを思い出す。なかなか、良い。それと、歩道の脇に置いてあるポットに、チューリップなどが植えられている。なるほど、最近公表された地価の調査で、丸の内の地価が銀座のそれと頭を並べた理由がわかる。この通りは全体に品がよく、ブランド・ショップも軒を並べているし、置かれている彫刻も趣味がよろしくて街並みの雰囲気に合っているから、歩いていて気持ちがよい。三菱地所が力を入れてきただけのことはある。三菱1号館の中を通り、設計段階でいろいろと議論を呼んだ東京郵便局ビルを通り過ぎる。そして、ビルに沿って建物の一番上を見上げたところ、あれあれ、自分の目がおかしくなったのではないかと、一瞬思った。というのは、見上げた東京郵便局ビルの東京駅正面に向いている建物の一番上の線が、「く」の字形に曲がっていたからだ。家内にいうと、「あれは、そういう設計なの」とのこと・・・何でも知っている。確かに、建物の途中から外壁がややへこみはじめ、それが一番上の階にいくと、「く」の字のように見えるのである。





東京郵便局ビル


 さて、丸ビルに入った。一階の広場に、大きな恐竜のレプリカが置かれている。恐竜展だそうだ。春休みを狙ったようだが、来て見ている子供たちは、いずれも元丸の内OLらしき女性が連れて来ている幼児ばかりだ。それはともかく、このTレックスのような恐竜は、アクロカントサウルス・アトケンシスといい、白亜紀前期のもので、アメリカのオクラホマ州で発見された。面白いので、その写真を撮っていたら、ちょっとした工夫を思いついた。恐竜の目の位置に空間があいているから、そこに背景のライトを入れて撮ったらどうか、迫力が出ないかというもの。試しにそうやって撮ってみたら、うまくいったように思えた。ところが帰ってからパソコンで拡大した見ると、何だ・・・目に相当するライトが二つ写っているではないか・・・これでは使えないかもしれない・・・。もうひとつ、恐竜の説明があった。それは翼竜で、上の方に吊り下げられていた。





アクロカントサウルス・アトケンシス


 きょうは、ファッション・ショーに、桜に、そして恐竜の日か・・・妙な一日だった。どれも、全く知らないで行き、そこで出会ったイベントだから、面白いではないか・・・。あちこちで、無数の人が限りないエネルギーを注いで、それを形に表している大都市だからこそのイベントの数々だ。これこそ、東京に住まう者のみが味わえる醍醐味かもしれない。(2012年 3月24日記)





六本木ヒルズの草間弥生さん作・やよいちゃん


 と、ここまで書いたその翌日、今度は六本木に行ってみたら、昨晩から六本木アートナイト2012というイベントをやっていたようだ。あちこち、イベントばやりである。六本木ヒルズのアリーナでは、やよいちゃんという草間弥生さん作のビニール人形があり、なかなかの存在感を放っていた。草間弥生さんらしく、赤と白の水玉模様があるから面白い。その近くでは、テレビ朝日の人形が、小さい子の写真を撮っていて、これもかなりの人気だった。




テレビ朝日のイベント




東京ミッドタウンのいつつのゆびわ


 六本木ヒルズから今度は、東京ミッドタウンに向かった。こちらでは、入り口に淡いパステルカラーの置物があり、「いつつのゆびわ」というそうだ。その脇を通り、建物の中に入ってみると、巨大なこけしがあった。3階分近い高さがある。これはなかなかの見ものである。「花子」という名前がついている。しかも、くぐもった声で、何かしゃべっていた。これは、超近代的なビルと実に日本的なものとの組み合わせだが、非常に良くマッチしていたのは、私にとって新鮮な驚きだった。




東京ミッドタウンの大こけし・花子





(2012年 3月25日記)

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