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上野動物園のパンダ

上野動物園のパンダ


 動物園というのは、カメラの試し撮りには、ちょうど良いところである。何しろ相手は動物だから、肖像権などという問題は生じないし、美術品ではないから撮らないでなどとは言われない。その代わり、動物を驚かしてはいけないから、フラッシュは使うべきではない。これは制約ではあるが、室内で撮るのではなくて基本的には野外で撮る場所だから、何とでもカバーできる。まあ要するに、フラッシュ以外は撮りたい放題というわけである。その代わり、動物は動き回るし、こちらに向かってポーズを決めてくれるわけでもないから、シャッター・チャンスを待つという忍耐が必要である。ただ、こちらも時間の余裕がそうあるわけでもないから、行き当たりばったりで行き、しばらく粘ってたまたま良い写真がとれれば、それで良しとしなければならない。

 そういうわけで、第3回目のE−P3の試写対象の場所として上野動物園を選んで、行ってみた。といっても、我が家から歩いて15分と近いので、ご近所で済ませるという感覚で、気楽なものである。上野動物園といえば、今年2月21日に雄のリーリー(力力)と雌のシンシン(真真)の2頭がやってきて、私も4月下旬に見に行ってきた。あれからあの2頭、どうなったかというと、かなり太ったらしい。以前、上野公園にいたパンダの場合には一日2回しか与えていなかった主食の竹やタケノコを、今度の2頭には一日6回与えるようにした。すると、竹をむしゃむしゃ食べて、2月の来日時と比べて体重が20キロも増えたそうな・・・しかし、いわゆる健康太りというもので、心配ないとのことである。

 朝一番で不忍口から上野動物園に入り、イソップ橋を渡ってそのまま正門近くのパンダ舎へと直行した。前回は押すな押すなの人混みで、確かここで30分近くも待たされただけでなく、入ったら入ったですぐに出て行くように言われて、パンダをよく見る暇もなかった。ところが今日は、9月の最初の土曜日なので、もう夏休みは終わっているから、学齢期のお子さんがおらず、ほとんどが小さいお子さん連れの家族連ればかりである。しかも、その数は少ない。おかげですぐに入ってじっくりとパンダを見て、写真を撮ることができた。しかも、前回は天候は晴れで、天井から鋭い日光が入ってきて明と暗の差が大きくて、カメラの設定のしようがなかった。ところが幸いなことに、今日は台風14号が近づいてきているせいで曇りの天気で、天井からの光は気にする必要がない。だから、シャッター優先モードで十分に間に合った。いや、パンダは動きがゆっくりしているから、Pモードでも全く問題がなかった。


上野動物園のパンダ


 ところで、そのパンダ、雄のリーリーと雌のシンシンは、むしゃむしゃと、まあそのよく食べること食べること。竹を一日60キロも食べるそうだ・・・ひっきりなしに口と手を動かしている。うれしそうに竹のところへ行き、手で竹をもって口に入れ、首をゆっくり左右に振って、それを食べる。目を細めたりして、実にうまそうだ・・・栄養など全然ありそうもない、あんな竹のどこが良いのか不思議だが、これが主食なんだそうな・・・。うろ覚えながら、以前に読んだパンダの歴史を記憶をたぐっていくと、こういうことらしい。パンダの先祖はもともとは熊の仲間で数千万年に出現した。もともと肉食系だったが、氷河時代がおとずれ、生息地に食べ物がなくなった。そこでやむを得ず、その辺にたくさん生えていた竹を食べ出したそうだ。それも、食物としては貧弱なあの竹から栄養が取れるようにと、体を適応させたというのである。どんな適応形態だったのか詳しくは忘れてしまったが、たとえば、大量の竹を口で擂りつぶせるように、確か奥歯の臼歯が大きくなったのではなかったか・・・いずれにせよ、厳しい自然環境に適応してきたことは確かである。

フラミンゴ


ペンギン


蓮の花


 ひとしきり、パンダの写真を撮った後、そこで満足し、他の動物を撮りにパンダ舎を出た。動物の写真は、目にピントを合わせるのがコツだという。そこで手始めに、超望遠レンズ(35ミリ換算で400ミリ)をフラミンゴに向けて、顔の写真を撮った。そのときはわからなかったが、家に帰ってその写真をパソコンの画面で見て、びっくりした。フラミンゴというのは、あの優雅なスタイルに似合わず、とても鋭い厳しい目をしていたからである。当たり前だが、やはり野生の生き物なのだ。しかしこのカメラE−P3は、フラミンゴの紅色の発色がよいし、あれだけ遠くから撮っても、生えている羽毛のひとつひとつが写っていて、素晴らしい。ついでにその隣のペンギンを撮ったが、水の青色もよく写っている。正確には水の色というよりは、壁の色なのだろうが、よく撮れている。園内の池に、まだ蓮の花が一輪だけ咲いていた。その中心部を撮ると、種の一粒一粒がくっきりと写った。E−P1と比べてE−P3では画像エンジンを一新したというけれど、確かにその効果は現われてると思った。ついでに、鳥のハシビロコウに言及しておくと、まあこれは不思議な存在感のある鳥である。これは、距離が近かったので、E−P1で撮ったが、E−P3と比べると、いささか色が薄い気がした。

ハシビロコウ


虎


 ライオンと虎のところに行った。ライオンは、お腹が満ち足りて、いぎたない格好でお昼寝中だったから、写真の撮りようがなく、これはパスした。虎は、ちょこちょことよく動き、行ったり来たりし、雨水に濡れていた木の根で、すべったりしている。意外とそそっかしいのだ。その様子を写真に撮る。せかせかと動き回っているが、E−P1と対比してE−P3ではカメラの焦点合わせが早くなったようで、虎がこちらを向いた瞬間、目に焦点が合って、うまく撮れた。向こうも、何か気配を感じたようで、一瞬動きが停止したように感じた。少し、名人になったような心境というと、大袈裟か?

上野動物園のお猿さん


 お猿さんは、見物人が猿山を上から見下ろす形となっていて、猿の表情が撮れないのが、何とも、もどかしい。餌のやり方も、全然だめだ。餌は山の麓の一番の底のところにあるから、それを採って食べるというのが一番の見世物のはずなのに、この猿山の構造は、わざわざそれを見えなくしているからつまらない。餌がないものだから、山の中腹など上の方に上がってくる猿は、大抵は力のないひ弱な猿である。ボスの精悍な目つきが撮りたいのに、撮るような設定となっていない。だいたい、この猿山の構造は、今はもう30歳代の真ん中にもなろうとするウチの子たちがごくごく小さかった頃から、全然変わりがない。この辺り、旭山動物園に見習って、もっと展示方法を再考すべきである。

上野動物園の西ローランド・ゴリラ


 西ローランド・ゴリラのところへ行った。いたいた、しかもゴリラ舎で見物人とゴリラを隔てているガラスが汚れていないから、写真を撮りやすい。まず、横向きで背中が白い大きな雄のゴリラは、たぶんハオコだ。この家族の長である。その脇で、ぼろ切れにくるまっているのは、子供好きの雌ゴリラのナナに違いない。去年、私の孫がここに来たとき、めざとく見つけて駆け寄ってきて、手を伸ばして抱こうとした、あのゴリラである。ああ、その近くに、去年生まれたコモモがいる。女の子らしい。体つきが華奢で、きょろきょろとあたりを見回して、好奇心旺盛である。そのコモモが近寄っていく先に、肝っ玉お母さんのモモコがいる。地面にどっかと座って、いかにも女傑といった雰囲気を辺りに漂わせる。写真に撮りやすい被写体だ。パンダに次いで、たくさんの写真を撮った。

上野動物園の西ローランド・ゴリラ


上野動物園の西ローランド・ゴリラ


 遠くから象を撮ったところ、体に刻まれている皺の一本一本までよく写った。カメラのおかげか、それともパナソニック製のレンズのせいかはよくわからないが、これは、すごい性能である。その次は、激しく動き回る手長猿で、毛色が黒い猿と茶色の猿がいる。茶色の方が室内の真ん中の所にいるので、撮りやすい。サッサと動いてきて、木の枝にちょこんと座った。あちこちを見回している。横を向いたとき、子供の顔を見たのか、にやりとした表情をしたように思えた。鳥のコンドルに至っては、非常に精悍な目つきをしている。トキ色コンドルというのは、飛び立とうとする姿が誠に勇ましい。振り返って毛つくろいをしながら、こちらをじっと見る目つきには、一瞬、猛禽類のハンターの本能を感じて、胸がドキリとした。鳥のケージには、もちろん鉄の柵があるが、超望遠レンズで撮り、しかも被写体がある程度遠くにいれば、その柵が写らないので、なかなか都合が良い。これは良い写真が撮れた。最後のキリンの写真も、同じような理屈で柵を消して撮ることが出来た。

上野動物園の象


上野動物園の手長猿


上野動物園のトキ色コンドル


上野動物園のキリン


 まあ、そんなわけで、このカメラE−P3は、焦点合わせは早いし、発色も美しい。気のせいか、撮った写真に奥行きすら感じる・・・というわけで、及第点を与えたい。



 上野動物園のパンダ(写 真)は、こちらから。



(2011年 9月 3日記)


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