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東日本大震災 [Day36 〜41]
 東日本大震災については、被災地の方では徐々に復興に向けての体制が整いつつあるし、福島第一原子力発電所の事故は長期戦になりそうである。そこでここからは後々のため、それぞれの日に何が起こったかを主体として記録にとどめておくこととしたい。



東日本大震災
[Day36]

 4月15日、東京電力は、福島第一原子力発電所の事故によって避難を余儀なくされた方々に対して、仮払補償金を支払うことを発表した。約5万世帯を対象として、一世帯当たり100万円、単身世帯は75万円というもので、4月中に市町村を通じて支給するという。ただし、農産物の出荷制限や風評被害、中小企業の事業休止は対象には含まれない。総額で500億円となる模様である。



東日本大震災
[Day37]

 4月16日になった。4月6日以来、東京電力は第一号機に対して窒素を注入してきた。目的は、水素の濃度を4%未満に下げて水素爆発の危険を防ごうというものである。それで、17日の朝までに、注入量は予定の6000立方メートルに対して6500立方メートルと、既に予定量を超えた。ところが妙なことに、原子炉格納容器内の圧力は、この注入によって上がるはずなのに、小幅変動にとどまっている。ということは、水素ガスが弁や配管から抜けている、つまりベントしたのと同じ結果となってしまったのではないかと思われる。また放射性物質の放出がされてしまったらしい。原発周辺の放射能のモニタリングをしっかりやってほしいものだ。

 ところで、第二号機前のトレンチには、原子炉格納容器から漏れ出したと思われる高濃度の汚染水が溜まっている。これを除去しなければ、冷却装置を動かせないとして、何週間もかけて玉突きで移送先を確保した。それでタービン建屋の中の復水器をようやくカラにできたので、地下に溜まっている汚染水をその復水器に入れた。すると、トレンチの立坑に水位が下がった。東京電力の人がいかにもうれしそうに発表していたのが印象的である。しかし、数日して再び水位が上昇してきた。このままでいくと、元の木阿弥になりそうである。つまり、この2〜3週間余りの努力が無になるだけでなく、海への汚染水の排出が減ったとはいえ相変わらず続きそうである。これでは、東日本の海産物を安心して食べられないではないか・・・。

 このトレンチの汚染水の話と合わせて、第一号機に対して窒素を注入したことにより、水素とともに放射性物質が漏れ、それが大気を通じて飛んで来そうな予感がする。それやこれやで、まだまだ放射能の影に怯える日々が続くかと思うと、うんざりする。私や家内のような年齢なら別に気にする必要もないが、それよりも子供や孫の世代の人たちの健康が心配だ。新聞には各地の放射能のモニタリングの結果が載っているが、これは1日遅れの情報だから困る。今回も2号機が爆発した直後の3月16日頃に、放射性物質が大量放出されたが、こういうことがあったら、緊急地震速報並みの早さで国民に知らせるべきだろう。東京電力も政府もマスコミも、果たしてそういう体制にあるかどうか、いささか心許ない。大量の放射性物質が出てしまってから、「たくさん出ちゃいました。御免なさい」と言われても、何の役にも立たないからである。

 なお、こんな話を聞いた。チェルノブイリ事故の経験からして、特に子供さんは、放射性物質は甲状腺に集まって甲状腺ガンにかかりやすくなる。これを防ぐには、原発事故発生から1時間ほどして、安定ヨウ素剤という薬を飲むとよい。これは、放射性ヨウ素に先駆けて甲状腺に集まっていわば先に座席を占めてしまい、放射性ヨウ素が甲状腺に侵入する余地をなくすという薬である。そういうように正しく使うと、93%の予防効果があるという。しかし、飲むタイミングが遅れると、予防効果は3割程度に下がる。この薬は早く飲み過ぎても、何の効果もない。それにこの薬は、使用は1回にすべきで、2回3回と飲むようなものではなく、これを飲み過ぎると子供では知恵遅れその他の発達障害になるおそれがあるなどの副作用が出るという。



東日本大震災
[Day38]

 4月17日、日曜日だが、福島第一原子力発電所について東京電力は記者会見を開き、かねてより政府に促されていた事態解決の工程表を示した。原子炉と使用済み核燃料貯蔵プールの冷却、放射性物質の放出の抑制、環境のモニタリングの3つがポイントであるとし、[ステップ1]として今後3ヶ月程度を目途に、第一から第三号機の原子炉で再び水素爆発が起きないようにするほか、第二号機にある2万トンもの高濃度汚染水を海へ流出させない対策をとる。[ステップ2]として今後6〜9ヶ月程度をかけて、放射性物質の放出が管理され、線量が大幅に抑制されるようにする・・・ということだが、果たしてこれだけの大事故の処理をこんな短い期間で確実に実施できる根拠があるのかどうか、私にはよくわからない。とりわけこれから3ヶ月の内には梅雨もあり、工事が滞ることが懸念されるし、また大きな余震もあるだろう。いずれにせよ、先は長いと覚悟しなければならない。



東日本大震災
[Day39]

 4月18日、月曜日となった。福島第一原子力発電所の第一から第三号機の原子炉内にある核燃料棒の状態について、原子力安全保安院が初めて報告したところによると、まず、説明の前提として燃料の損傷には三つの段階があるとする。すなわち、(1)「炉心損傷」→ジルコニウムの被覆管が損傷して内部の放射性物質が外へ漏れ出ること、(2)「燃料ペレットの溶融」→それが進んで核燃料棒の内部の燃料ペレットが溶融してしまうこと、(3)「メルトダウン」→溶け落ちた燃料棒が原子炉の下部に落ちて炉心溶融を起こしているという三つの段階に分けるとすれば、現在は(2)「燃料ペレットの溶融」段階にある。ただし、制御棒とともに溶けた燃料ペレットは、原子炉の下部に溜まった水で冷やされて、水面付近で再び固まっているという。これが本当だとすると、再臨界して急激な核分裂反応を起こす危険は遠のいたことになる。

 また、この日は、原子炉建屋内で、アメリカのアイロボット社の無人ロボットを使った調査が行われた。キャタピラで動くもので、800メートル離れたところで操作ができ、アームで扉を開けて入っていった。それによると放射線量は第一号機で毎時10〜49ミリシーベルト、第三号機で毎時28〜57ミリシーベルトだった。これだと、その場に1時間いるだけで、かつての作業基準の100ミリシーベルトを上回ってしまう高い線量である。建屋内で作業ができる状態ではない。

 さらに東京電力によれば、第二号機の原子炉建屋内の使用済み核燃料貯蔵プールの流出水から、通常では検出されない放射性セシウム134が検出され、しかもその濃度が1立方センチメートルあたり16万ベクレルと、前日採取した第四号機のプールの1820倍もの高濃度だったことが明らかになった。流出水そのものの放射線量は毎時3.5ミリシーベルトであった。第二号機の原子炉建屋はその一部が壊れているものの、全体としては健全なため、どうしてこのようになるのか理由が不明であるが、おそらく使用済み核燃料が損傷しているというよりは、放射性物質を含む水蒸気が建屋の上部に溜まってそれが水滴となってプールに落ちてきたのではないかと推定されている。

東日本大震災
[Day40]

 4月19日、福島第一原子力発電所の第二号機の原子炉建屋内に溜まった高濃度の汚染水を、同発電所の敷地内にある集中廃棄物処理施設へ移送する作業が開始された。これは約1万トンあり、移送には5月14日までかかるという。とりわけこの2号機には、通常運転時の10万倍もの高濃度汚染水が溜まっていて、トレンチを通じて海へと流れ出ていたのをようやく今月6日に止めたばかりである。しかし、そのためにタービン建屋の中の汚染水が5000トンも増えてしまった。このまま放置すると再び海へと流れ出しかねないことから、作業を急いでいる。なお、この移送した1万トンの汚染水は、浄化し、淡水化処理をした上で、原子炉やプールの冷却に再度使用することとしているようだ。

 東日本大震災の発生から40日がすぎた本日午後6時現在の人的物的被害であるが、警察庁の資料によれば、死者の数は1万4001人、行方不明者の数は1万3660人で、合計して2万7661人となった。負傷者は4938人である。建物については、全壊が6万2112軒、半壊が2万5002軒、流出が6軒、一部破損が19万3921軒となっている。


東日本大震災
[Day41]


第三号機を調べるロボット


 東京電力は、福島第一原子力発電所の第一号機と第三号機の原子炉建屋内部にアメリカ製の遠隔操作ロボットを入れて、内部の放射線量などを計測したときの写真を公表した(上の写真は、第三号機の調査)。それによると第一号機の原子炉建屋内の放射線量は最大毎時49ミリシーベルト、第三号機は同57ミリシーベルトだった。第二号機については、内部に瓦礫が散乱していて、ロボットは進めなかった。これほど壊れていると、作業員がこれから原子炉建屋の中に入って冷却装置が動くようにするのは、かなり大変のように思えてきた。3日前に東京電力が事態解決の工程表を発表したが、本当にこれから9ヶ月以内に解決できるのか、私にはかなり疑問に思えてきた。

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