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徒然192.東京スカイツリー609m

東京スカイツリー609m


 東京スカイツリーがとうとう600メートルを超え、自立式電波塔としては世界で一番高くなった。地上350メートルのところにある展望台には、つい数日前に報道陣が入れてもらったようで、そこから地上を眺めた写真が新聞に載っていた。現在は、その展望台からさらに伸びて、本日の高さは609メートルだというから、設計上の高さ634メートルに達するまで、あと少しのところに迫っている。そこで、自宅のマンションの屋上からその勇姿を写真に収めようとした。

 朝早く、自宅のマンション屋上から写真を撮っているとき、おかしなことに気が付いた。私のマンションは、東京スカイツリーのほぼ真西の4キロメートル強ほど離れたところにある。そこから上野公園の緑越しに、ほぼ遮るものがなく写真が撮れるという位置にあるから、写真撮影には非常に好都合な場所といえる。デジタル一眼カメラを使た撮影時、撮影の補助線となる縦と横の十字形(グリッド)をスクリーンに出し、それに東京スカイツリーの縦の線に合わせて写真を撮った。すると、あれれ・・・地面がやや斜めにかしいでいる。右が高くて、左が低い。これはまた、どうしたことかと思って、今度は地面の線とその十字形の横の線を合わせて撮ってみたところ、あらら・・・今度は逆に東京スカイツリーが傾いてしまった。

 東京スカイツリーが地面に対して直角ではないのか・・・そんな馬鹿なことあるはずがない・・・、とすると、地面、この場合は上野公園の緑の木々一帯が南が高くて、北がそれよりやや低くなっているのか?? いやいや隅田川は北から南へと流れているから、その可能性は低いし、そもそもこれほどの高低差があるとは思えない・・・あるいは、東京スカイツリーの断面が下は三角形だけれども上へ行くに従って円形になるというから、それによる目の錯覚かなぁ・・・でも、撮った写真で見誤るということは、あり得ない。ううむ、わからない。そういうわけで、私にはどうにも理解しかねる現象であった。

東京スカイツリー609mの錯覚しやすい写真


 そこで、もう一度よくよく写真を眺めて、はたと気がついた。地面の水平線を上野公園の緑の木々でとらえると、そういえばやや南側が高く、北側が低い。ところがその向こうのビル群の線を結ぶと、そちらの方が水平に近い。それに気がついて、撮影の補助線となるグリッドの横の線を公園の向こう側のビル群の線に合わせたところ、見事に東京スカイツリーが垂直になった。ははあ、これは長方形の上野公園を斜めから見ていることから、公園の手前のビル群の形とも相俟って、そういう錯覚に陥ったらしい。公園を角から見ていると、その一辺が地面と水平であるわけがないのである。

 ちなみに、この難問を目にした瞬間、どういうわけか半世紀ぶりに、algebra(代数)とgeometry(幾何)という言葉を思い出してしまった。その当時、中学校から高校にかけて、数学には大いに悩まされたせいかもしれない。だから今回も、難しい数学の問題が解けたときの快感ではなく、問題を目にしてさっぱりわからなかったときの困ったときの気持ちを先に思い出したのだから、我ながら情けない。



(2011年 3月 8日記)


東京スカイツリーからの眺め(エッセイ)


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