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大田黒公園の秋

大田黒公園の銀杏並木


 杉並区の荻窪の南に、大田黒公園というものがある。私たちは以前、杉並区に住んでいたこともあって、ときどきここを訪れていた。とりわけこの季節は、入り口から続く巨大な銀杏並木と、日本庭園の池の周りにある紅葉やハゼの木の紅葉が素晴らしい。それもそのはずで、ここは大正から昭和にかけて活躍した音楽評論家であり、文化功労者であった故大田黒元雄氏の屋敷の跡地が元になって整備された公園である。大田黒元雄氏は裕福な家庭に生まれてロンドン大学に留学するなどしたが、経済を勉強するかたわら西洋音楽についても学び、帰国してからモーツァルト、ドビュッシーなどを次々に紹介し、啓蒙家としての役割を果たしたという。

大田黒公園の紅葉


 その大田黒元雄氏が長年住んでいたのがこの荻窪の台地で、自然の地形を生かして回遊式日本庭園を備えている。いかにも和風という趣の正門を入ると、白い御影石を敷いた路が数十メートルも伸びていて、その路の左右には樹齢が70〜80年といわれる銀杏の大木の並木が続く。とりわけこの季節になると、銀杏の葉が真っ黄色に美しく色づいて、しかもその独特な匂いがあたりに満ちている。その路をたどっていくと、池があってその中に東屋が突き出している。池の周囲には、真っ赤な紅葉が今が盛りと燃え上がるようであり、池の中の赤い緋鯉よりも更に赤みが勝っているのはすごい。

大田黒公園の紅葉


その東屋で、しばし腰を下ろして休みをとった。ああ、池の向こう岸には、紅葉の赤とちょうど対比色となる緑色の芝生が一面に敷き詰められている。その中には、あちらこちらに赤松、楢、欅などの大木が地面からにょきにょき生えている。その間を、傾いた太陽から放たれた木漏れ日がきらめく。こういう家に住んでいると、創作意欲が湧いてくるのも宜なるかなという気がする。

大田黒公園の西洋家屋


 東屋から出て、樹木が鬱蒼と茂るそちらの方へと進んでいくと、煉瓦色をしたの西洋家屋がある。こちらが、大田黒さんのかつての仕事場だったようで、ピアノ、レコード、蓄音機などが並べられている。暖炉の上には、太田黒さんと奥様らしき美人が写っている写真が飾られている。なかなか、知的な容貌の方だったようだ。心の中で、写真の大田黒さんに挨拶をして、その建物を後にした。

大田黒公園の暖炉






 大田黒公園の秋(写 真)は、こちらから。



(2010年11月27日記)

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